Taipei Tea Trip3 猫空-千島湖-石碇老街
竹里館、Wangtea Labと訪れた翌日は、こちらのツアーに参加しました。
山に囲まれた台北市、市街地からほど近い地域にも茶の生産地が存在しています。
「木柵鉄観音」「文山包種茶」など、このあたりの地名を冠したお茶も有名のようです。
朝、台北市内のホテルにガイドさんとドライバーさんが車で迎えに来てくれて、猫空(マオコン)のロープウェイ駅へ向かいます。近くには動物園もあり、人でにぎわっていました。
ロープウェイで移動し、まず訪れたのはこちら。
猫空 台北市鉄観音包種茶研発推広中心
台北市が運営する展示施設です。
実物の機械や、製茶の工程の説明などが展示されています。
前日にも竹里館で烏龍茶の製造工程のレクチャーを受けていたので、そのうえで実物の機会を見れたのはリアリティがあってよかったです。
また、「烏龍茶の茶葉が丸い形に成形されるのは、同じ体積でより多くの茶葉を運搬できるように密度を高めるためでもある」など、ガイドさんの解説もあり、非常に興味深く面白かったです。
施設の一角では生産者さんが試飲と販売で出店していて、鉄観音をいただきました。私たちの隣では英語での解説付きでお客さんにお茶を入れていました。
茶葉も購入し、近くのお店で昼食を。
景色もよく、とてもにぎわっていました。茶葉を使った料理が有名とのことで、個人的に特に茶葉で燻製したチキンが美味しかったです。あと暑い日だったので、食後のおまけにもらった鉄観音のアイスキャンディーがナイスでした。めっちゃ硬かったけどw
食後、しばらく山道を車で進み、次の目的地へ。
千島湖 八卦茶園
千島湖と茶畑を望む八卦茶園へやってきました。
こうして山の斜面の茶畑を実際に目の当たりにすると、奇麗な景色であるとともに、生産の大変さを想像します。管理にしても収穫にしても、機械を入れるのは難しく、一つ一つ手作業。お茶の貴重さを実感します。
千島湖はダム建設によって生まれた貯水湖で、台北市街地に生活用水を供給しているということです。
また、茶畑の近くに生えている木が、檳榔(ビンロウ)の木だと教えてもらいました。檳榔は台湾古来の嗜好品で、実を口に含み奥歯で噛む、噛みたばこのようなもの。檳榔の文化は昔に比べれば廃れているものの、眠気が覚める効果があるため、今もトラックドライバーなど肉体労働者を中心に需要があり、植物として栽培しやすく、今も檳榔で生計を立てる人が一定数いるというお話でした。確かに台北市内を歩いていて、「檳榔」と書かれた看板を何度か目にしました。
茶園の売店でガイドさん一押しの豆腐のアイスクリームを。醤油をかけるのがおすすめだよとお店の人。しっかり大豆の風味がするので、確かに醤油があいました。さっぱりしていておいしい。
石碇老街 逢春茶荘
石碇(シンディン)老街という谷あいの地域にやってきました。
もともと石炭が採掘されていた地域で、炭鉱労働者が集まり街が形成されましたが、狭い谷筋のため平地が少なく、川に柱を立てて、建物がその上に建てられているのが特徴とのことです。
水がよく、いまでは豆腐で有名な地域とのことです。なので先ほども豆腐のアイスだったのですね。
そしてツアーの最後の目的地、逢春(フォンチュン)茶荘へ。
ここも、お店の裏手が川に面していて、とても落ち着く素敵なお店でした。
ガイドさん曰く、ここの文山包種茶が美味しいのでお勧めとのことだったのですが、なんと当日は売り切れ!人気なのですね。
気を取り直して、台湾茶の体験を。
前日体験した功夫茶とはまたいくつかの手順や道具に違いがあり、ご主人曰く、
功夫茶は伝統的なものだけど作法のルールは多く、現代ではここで教えているのが台湾茶の作法として一般的といえる。お茶は日常のものなので、気軽に行えるというのも大切なこと。とのことでした、なるほど。1度の旅行で両方体験できた自分はラッキーでしたね。
ここでは凍頂烏龍茶と紅烏龍茶を。おいしいお茶をいただいてツアーは締めくくりとなりました。
体験の価値はどこから来ているか
非常に満足です。初めての台湾でなかなか行かないルートなのではないかと思いますし(自分の読んだ限りのガイドブックには載っていなかった)、慣れたドライバーさんが運転してくれるので移動も快適。
ガイドさんや他の参加者と移動中や食事中に他愛もない会話ができるのも良い思い出になります。
台湾茶というテーマがあるツアーなのも良いですね。
猫空の台湾市運営の施設は、個人でそこだけ訪れても多分物足りないのではないかと思いますが、この工程の一部に組み込まれているととても良かったです。施設自体は無料で利用できる所ですが、民間のツアーがこの施設を工程の一部に使うことでサービスとしての経済的価値を産んでいるのも面白いと思いました。
そうなんです、個人で回ろうとするなら、ざっくりですが、
施設は無料、千頭湖も茶園も入園料はありません。ロープウェイのチケットはせいぜい120台湾元。台湾茶の体験は実際の金額は分かりませんがお店のフェイスブックページを見るに、おそらく800台湾くらいと推測します。
対してツアーの参加費は3400台湾元(大体17000くらい)。ちなみに食事代とお土産の茶葉代は別です。
車、ドライバー、知識と語学力を持ったガイドがいれば、きちんとサービスとして価値を創造できるのだと分かりましたし、今はベルトラなどネットのプラットフォームが利用できるので申し込みも簡単です。
なおかつ、観光拠点の台北市内から程近くにお茶の産地があることも、台湾観光に気軽に組み込めて良いなと思いました。
日本では?
これを日本に置き換えると、たとえば京都市内に宿泊して、宇治茶の産地を回るツアーが考えられるのではないかな、と思って調べてみました。
「宇治 ツアー」で検索すると、一番上に宇治市によるガイドツアーが出て来ました、参加費無料だそうです。
「高級ブランドとして有名な宇治茶の産地。」「町の発展を支えてきた宇治茶のルーツを巡る旅に地元ガイドがご案内します。」と文面にありますが、宇治茶という産業が稼いできたからこその発展ではないでしょうか。先人が築いた貴重なブランドを無料で案内してしまって、ちゃんと消費に繋がる導線は設計されているのでしょうか、疑問です。
https://www.tripadvisor.jp/AttractionProductReview-g298564-d25150090
https://www.tripadvisor.jp/AttractionProductReview-g298564-d12960369
(リンクが長いのか、埋め込みが上手く機能しないのですが)一方、多言語、多通貨で表示できるトリップアドバイザーで海外からの観光客も利用できるツアーもありました。こうした取り組みを応援したいですね。
インターネットによって、気軽に現地のツアーを探して参加できるようになりました。台湾茶のツアーに参加して楽しかっただけでなく、台湾茶そのものも好きになって購入につながっています。
日本茶も独自の歴史や文化を持つ産業です。消費者としてどう支えることができるのか、海外を観て、日本のことを考えるきっかけにもなったツアーでした。