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エホバの証人二世のトラウマ世界〜12年間の歪んだ教育⑧

この文章はある特定の組織や人物を誹謗中傷したり、傷つけたり、貶める意図は全くありません。また、信仰の自由を否定するものでもありません。個人的な感情を凝縮した文章です。古い記憶の中には、間違いや歪曲が多々あり時系列もバラバラだと思いますが、本筋には問題はないので確認作業はしません。

カルトに抵抗した子供の悪夢

母親との適切な距離が解らなかった僕は就寝時、そっぽを向いて寝ながら、足の裏を少しだけ母親の体に付け、眠りにつきました。

カルトの教えに毎日を支配されていた子供の頃に見た夢の話をします。何度も何度も繰り返し見た鮮明に覚えている4つの夢があります。同じ夢を繰り返し見る人はいると思いますが、僕にとってのそれは、その当時の心の内面がとても現れてると感じる夢です。

ピエロ団地

一つ目は、記憶している限り生まれて最初の悪夢。今でもその光景も空気感も鮮明に憶えている何度も見た悪夢。小学校に入学する前に繰り返し見ていた夢です。

ーーー細い赤土の道を1人歩く僕。右も左も一面の草原。強くも弱くもない風が吹いています。僕はその先にある石造りのアーチ型の橋を渡ろうとしています。何か使命感のような脅迫のようなものにかられながら足早にその橋に達します。その橋を越えながら、川に目を向けると青い魚が泳いでいるのが見えました。

橋を渡り終えると同じように使命感と脅迫を抱えた僕の前にまだまだ土の道は続いています。今度は右と左に紫と赤のたくさんの花が咲いています。心なしか道幅は狭くなっています。

どんどん歩く僕の行く先にまた石造りの橋がありました。アーチ型なのでその先は見えません。渡り始めてその頂上に達する時、向こう側にコンクリートでできた団地のようなものが見えました。それはベランダ側で50室はあるように見えました。

橋を越えどんどん近づくと、ポツリポツリとベランダから顔を出している人が見えました。どんどん近づく度に、その顔は増えました。

そして、その表情を確認できるところまで近づいた時、全てのベランダからピエロがケラケラと声をあげ笑いながらこちらに一斉に手を振り始めました。なかには柵から身を乗り出して、「こっちに来い!」と乱暴に叫んでいるピエロもいました。

僕は今でもピエロが苦手です。ピエロを見る度にフラッシュバックが起こります。


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繰り返し見た悪魔の夢

二つ目は、小学生1、2年生の時に幾度か繰り返しみた夢。

ーーー畑の間の通学路を下校している時、後ろから声を掛けられて振り向くと、数種類の果物がいっぱいに入った(お見舞いに持っていくような)バスケットを持ったスーツ姿の男の人が二ヤーとした笑顔を僕に向けながら、「ねぇ君。Tさんのお家はどこかな?」と僕に訊きました。「僕の家だよ。一緒に行きますか?」僕は母親を訪ねてきたお客さんだと認識しました。

2人で家に向かう途中、僕はそのフルーツはお土産かな。パイナップルにバナナ、りんごにメロン。後で僕も食べれるかな。嬉しいな。と思いながら歩きました。ふと見るとその男の人は、先程の笑顔とは違い無表情のまま、僕に一瞥もくれず、正面の一点を見つめたまま僕について来ました。

玄関のドアを開け、家の中にいるであろう母親に、「ママーお客さんだよー。」と声を掛けました。奥から顔を出した母親は、無表情のまま無言で頭を下げました。男の人は何も言わず、靴を乱暴に脱いでズカズカと部屋に入り、ダイニングテーブルにフルーツ入りのバスケットを投げるように置き、椅子にドカッと座りました。

なんか怖い人かも、母親の態度もなにかいつもと違うと感じながら、ダイニングチェアに座る男とキッチンでお湯を沸かしている母親の背中が見える床に座り見上げたその瞬間、ダイニングチェアに座っていた男は飛び上がると同時に、悪魔に姿を変え、真上にあるシーリングライトに両手両脚を引っ掛け、ぶら下がっていました。

その姿は一見するとコウモリの様な体と羽を持ち、全身が真っ黒で、背中を鈍く光る茶色の体毛が覆っていました。細く長い尻尾もありました。尖った牙と尖った耳、豚のような鼻のついた人間の顔をしていました。

恐怖のあまり声が出せない僕に、逆さまになりながら、先程と同じニヤーとした笑顔で僕を見ていました。そして次の瞬間、口から細く長い舌をダラーっと出し、バスケットから黒く変色したバナナをその舌に巻き付け、ヨダレをダラダラ流しながら口に運びました。

お茶をお盆にのせ振り向いた母親は、無表情のまま、天井からぶら下がる悪魔を見る事もせず、テーブルにお茶を出しました。今でも天井からぶら下がる悪魔と無表情の母親の顔は忘れる事ができません。

この夢は現実とダブってしまい、度々家の天井に悪魔がいる気がしてハッと見上げることがありました。

つづく


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北乃 扉
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