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イギリス、早くもEU復帰のシナリオが浮上。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:イギリスのブレキジットを巡る最新世論。イギリスの深刻な経済不況が、ブレキジットを是認した背景まで忘れさせつつある恐ろしさ。経済がすべてを決める、というやるせない現実。
ブレキジット(Brexit)はミステーク
ブレキジット、英国EU離脱の国民投票から早や6年半、未曾有の経済不況に苦しむイギリスで、この問題をめぐる異変が起きています。
それは、EU離脱に対する国民感情の急変です。
最新の世論調査では、今やEU離脱は「よかった」という人はたった32%、「ミステイクだった」が56%に及んだのです。
英国高官筋から流れたとされる情報では、英国が近く何らかの妥協をするのではないかといわれています。
それはスイスに倣ったもので、スイスはイギリスと同じくEU離脱したものの、EUの公庫に金銭を支払い、特定のルールに従う見返りに、特定国との交易を許されています。
しかし、スナク首相はこれを言下に否定、EUの規則や法律に従うつもりはまったくない、ブレキジットは我々によいことしかもたらしていない、と弁明に必死です。
その必死さが、何かを隠そうとしていると勘ぐられる原因になっており、EU復帰問題が取り沙汰されているのです。
前任者たちの努力を忘れたのか
前首相のボリス・ジョンソンは「ブレキジットをやり遂げるんだ!」と息巻き、その前任のテリーザ・メイは「ブレキジットったら、ブレキジットなのっ!」と強硬で、メイ氏はブレキジットを巡る戦いが原因で首相の職を辞しました。
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ふたりともブレキジットは国家主権に関わる重大事であり、これ以上移民が入ってくるとますます国として収拾がつかなくなることを恐れての、ブレキジット賛成だったのです。
しかし、今ここに来て世論は急速にイギリスのEU復帰を待望し始めました。
前任者の努力や犠牲を考えると、EU復帰はそうやすやすとできないし、スイス式の妥協案も保守党としては受け入れがたいのが現実です。
イギリスの経済的苦境が、どのくらいブレキジットに関係するかはわかっていません。しかし、ヨーロッパ各国との交易問題を早急に改善しなければ、イギリス経済に光は見えてきません。
身も蓋もない現実
イギリスの10%を超える未曾有のインフレが、人々にブレキジットの正義を忘れさせようとしています。
キングス・カレッジ・ロンドン(KIngs College London)で欧州政治の専門家・アナンド・メノン教授(Anand Menon)はこう言います。
「ブレキジットは経済的視点で検討されたことはなかった。文化と価値観の違い、これだけだった。しかし、今はすべて経済が問題にされる。でもGDP(国民総生産)を上げるために、ブレキジットをやめようというのは行きすぎだ」。
降って湧いたような、イギリスのEU復帰問題。
この騒動から我々が得られる教訓は、
「背に腹は代えられない」
「人は過去を忘れやすい」
ではないでしょうか。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー