#ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.4
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#ロンドンのウソつき 「キッカケ」 No.4
停電が始まって30分くらいした頃、周りのアトリエのデザイナーなども外に出てタバコを吸っていたり、マグカップを持ちながらスマホを見ている。
イギリスでよく見ることが多い自分で巻くスタイルのタバコは、巻く時に紙を舌でペロッと舐める。
僕はその仕草を見る度に「あー、ロンドンに住んでいるんだなぁ」と実感する。
僕はタバコを吸わないが、友達の巻きタバコを借りてタバコを巻くところだけ体験させてもらったことがある。
意外と難しくて面倒で、手巻き寿司と同じで中身の分量がポイントなんだと思った。
そんなことも思い出しながら、僕は松下に説明を始めた。
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眠い。朝の6時に目覚ましが3つ鳴った。
僕はいつも遅刻をすると次回への対策として1つ目覚まし時計を買い足すことに決めている。
過去2回、専門学校の授業に寝過ごして遅刻したことがあった。
なので今、毎朝の目覚まし時計は3つだ。
学校は春休みだけれど、アルバイトがあるから毎朝早く起きる生活。春休み前にイギリス留学を決めたこともあり、アルバイトはフルで入るつもりだ。
今日は日雇いの引っ越しアルバイト。
眠たい気持ちのままふらふらとリビングへ行き、テレビをつけてコーヒーとパンを掻き込む。
父親まだ寝ているし、母親は早朝からパートの仕事へすでに出ている。テレビをつけて耳だけテレビに集中しながら、歯磨きと着替えを済ました。
家を出ないといけないギリギリの時間に外へ出てバイクのエンジンをかけた。
校則が割と自由な高校に通っていたため二輪免許を取っていたし、バイクも16歳からずっと乗っている。
エイプ100という100ccの小さなバイクだけれど、気軽に乗れて長年気に入って乗っている。
マフラーと呼ばれるバイク部品を一部改造し、乾いた大きなエンジン音が鳴るバイクはちょっと近所迷惑で申し訳なさもあった。
今日のバイトは引っ越し。引っ越し業者の事務所に集合だったため、家から30分の道のりだった。
集合時間の7時半にギリギリ間に合うぐらいだったので少し急ぎながらバイクを走らせた。
早朝の道路はどこも静かで交通量は少ない。
それぞれの車を横目に「みんな朝早くから出勤してるんだ」とバイクに乗りながら勝手な連帯感を感じていた。
時々止まるのは信号待ちくらいで横断歩道を渡る歩行者はポツポツいるかいないかだった。
20分くらい大通りを走った後、いつも近道も兼ねて住宅街を通ってバイト先の事務所へ向かう。
一方通行など入り組んだ道が多く、最初の頃は何度か迷うこともあった。
今日も大通りから小さな路地に入るため左折する。その時、同じく目の前を軽バンが左折して走っていた。電気工事の現場に向かうであろうハシゴを屋根に積んだ車だった。
「なんだ、同じ道かよ。。」
少し急いでいる僕は前方に車が走っていることが少し気に食わなかった。
それに軽バンは現場となる家がすぐ近くなのか、周りを見渡しながらトロトロと走っている様にも感じた。
「早く進めよー。」なんて思いながら僕はある程度の車間距離を取りながら軽バンの後ろを走る。
そのうち軽バンは右へ道が伸びているト型の交差点を右折した。
僕はその車を横目にアクセルを今以上に強く握って直進した。
。。。つもりだった。
続く
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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。