コロナ禍で証明された終身雇用の先進性
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:コロナ禍で企業が気づいたもっとも重要なこと=優秀社員の引き止め。ワーケーションは、コロナの落し子にすぎない?「安定」こそが個人と組織にとって最も守るべき勝ちという正論。トップ画はhttps://guidable.co/work/lifetime-employment-in-japan/
村神様を引き止めろ
ヤクルトスワローズのスポンサー企業が、村神様こと村上宗隆選手がホームラン新記録を立てたら1億円の家を建ててあげると約束した、そんな報道がありました。
これは大リーグ入りを噂される村上選手の引き止め工作の一つ、そう捉えることもできなくはないですよね。
日本に、それもヤクルトの本拠地東京の一等地に、豪華で安らげるマイホームがあれば、村上選手も里ごごろがつき異国に行きたくなるかも、と考えているのならなかなかヤクルトも戦略的です。
さて、この1億円豪邸提供の話は、ヤクルト球団のみならず、世界中の企業が真剣に考えていることなんです。
コロナ禍でもう3年がたとうとしていますが、世界中の企業が痛感していることがあります。
それは「優秀な社員をどう引き止めるか」です。
コロナは世界中の働く人に、本質的な問いを投げつけました。
「そもそもなんで私は働いているの、何のために。この仕事をここで続けていていいのかしら。」と言うクエスチョンです。
多くの人が、
と結論したのです。
いま、優秀な社員が逃げ出して、世界中の大企業が困っています。
人材引き止め作としてのワーケーション
今日のThe Wall Street Journalオンライン版には、企業はその解決策として「ワーケーション」を真剣に考えている、という記事があったので紹介しましょう。
ワーケーションとは皆様ご存知のとおり、work とvacationをあわせた単語で働きながらバケーションを楽しむことを意味します。
海辺で寝っ転がりながら、パソコンでビジネスメールを書いているようなイメージが浮かんできます。
記事では、最近はbleisure(ブレジャー。ビジネス+レジャーbusiness+leisure)という言葉がメジャーになりつつあります。
企業はこの新しいビジネストリップを、パークス(perks=perquisite 手当、特典)として押し出し、できる社員の囲い込みに使っているというのです。
日本企業は時代の先を行っている?
ここのところ僕はこの連載で、日本の終身雇用を世界に誇るシステムとして、持ち上げています。
日本企業もコロナ禍で職を離れた優秀な社員はいますが、欧米企業ほどではありません。
それは、そもそも日本には、社員ができるだけ長く会社にとどまる仕組みがあるからです。
そう、終身雇用制度です。
企業は終身雇用が基本ですし、日本の文化として転職せず一生一つの会社で働くことが依然として美徳です。
社会での成功の王道は、大企業や官庁に就職して一生を終えることで、これもほとんど変わっていません。
このパターンが今も盤石なのは、金銭的な合理性がこのキャリアパスを支えているからです。
転職しないで一生同じ企業で働くことが、賃金、退職金、年金などを総合した生涯報酬のトータルでもっとも有利なのです。
それがわかっているからこそ、コロナが来ても日本人の就職意識にはさほど変化は見られず、大企業から大量離職者が出る、などということはないのです。
一方、欧米の大企業はできる人材が大量にいなくなり、にわかじこみの人材引き止め戦略におおわらわで、そのひとつが「ワーケーション」であり、「ブレジャー」なのです。
終身雇用はもちろん日本の文化の申し子には違いありませんが、「安定」という組織にとっても個人にとっても、もっとも重要な真理を中心に据えている制度といえるでしょう。
「安定のない人生」で、人は幸せでしょうか、なにか社会に意義のある仕事ができるのでしょうか。
いま、コロナ禍で人材ひきとめに苦心惨憺している欧米企業は、日本の終身雇用に尊敬のまなざしを向けているのです。
ロシア最大の失敗
結局、国でも企業でも、優秀な人材を手放さないことこそ、成長の唯一の方法です。
今回の戦争でロシアの最大の誤算は、ITをはじめ先端分野で優秀な人材がこぞって国外に逃げたことです。その数300万人ともいわれています。
仮にウクライナに勝ったとしても、ロシアの長期的な成長の展望はなくなりましたね。
アララ、今日は欧米ワーケーションの最前線をお伝えするつもりだったのですが、日本の終身雇用の先進性を証明しようとしただけに終わったかな。
そんなことで明日は、そのお話をしますね。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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