日本の「おでん文化」が失われた30年の原因だった!
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:これでキミの頭がもっとよくなる!最新脳科学に学ぶ。キミのお父さんが20年間悩み続けたものの正体とは。お父さんがやっているしょうもない仕事を暴く!日本企業の「おでん文化」とはなにか。日本が反転攻勢を仕掛けるにはどうしたらいいか。
頭を良くする意外な方法
高校生の皆さん、こんにちは。
ところでみんなは、「タイトルに引かれて思わず買っちゃった」っていう本はないかな。
ぼくはあるよ。
それは「頭がよくなる」っていう言葉がタイトルについてる本だ。
頭が悪いことを自覚しているので、どうしても気になって買ってしまうんだ。
最近も買ったよ、英語の本なんだけれど、タイトルはまさに直球で「あなたの頭をよくするMake your brain smarter」っていう本なんだ。
期待に胸を膨らませ、どんな変わったエクササイズを、荒行をやるんだ?と思って読んだら肩透かしを食った。
ということなのだ。もちろん読み進めればもっと面白い方法論が書いてあるに違いないのだが、著者はこの2つこそが、頭をよくする基本だ、というのだ。
脳の仕組みに逆らわないことが頭をよくする
その理由は「人間の脳はマルチタスクができない」、からだという。
マルチタスク、つまり同時に複数の仕事を処理できない、という最新脳科学の教えだと言う。
だから優先順位をつけてやるべきことを決め、情報もいたずらに分散させず、もっと絞ってとりかかるべき、だというのだ。
そうすれば頭がよくなる、と。
どんな新しい瞑想や呼吸法を教えてくれるのかと期待した僕は、
拍子抜けしてしまった。
猪木が教えてくれた最強頭脳開発法
「こ、これが頭をよくする究極の方法なのかよっ!」、僕は騙されたと思いつつ、それでもページをめくり続けると、アントニオ猪木のあの名セリフ「やる前に負けることを考えるバカいるかよ」、を思い起こさせるような、こんな言葉が目に飛び込んできた。
ちょっとイノキ的に意訳が過ぎた感じはあるけど、プロレスファンの読者のキミには、伝わったんじゃないかな。いや、無理か、この猪木の言葉は昭和のそれで、キミは生まれてないもんな。
とにかく、僕もこの言葉に、射抜かれてしまったんだ。
そうか、俺たちはゾウを仕留めるはずが、ウサギばかりに気を取られて、結局バカになっているのだな、そう気がついたんだ。
日本のビジネス文化が日本人をダメにしている
キミたちのお父さん世代が、日本を悪くしたっていま、非難されてるんだよ。
この30年間、給料が上がってないじゃないか、日本は成長してないじゃないか、40代、50代、60代のせいだ、ってね。
でもこの本の主張を考えてみると、合点がいく。
僕もサラリーマンだったから、この意見に賛成なんだ。
でも、正確に言うと、キミのお父さんのせいではない。
日本のビジネス文化のせいなのだ。
どういうことか。
日本の会社は大人数が秩序なく大部屋に閉じ込められていて、「仕事に集中する」という文化がないんだよ。
お父さんは部長だから、会社の戦略を練ることが仕事なのに、部下がひっきりなしにしょうもない仕事を持ち込んでくる。
部下A 「部長、ここだけの話ですが、社員AとCが不倫をしています。おまけにW不倫。文春が動いているという噂もあります。どうしましょうか?」
お父さん「どうしましょうってお前、あまり突っ込んでも、恋愛の自由ってのもあるし・・・多様な人間関係を認めるのが世界の・・」
そこに部下Bがきて、こんなことを持ち込んできた。
部下B 「取引先のサイトがランサムウェアに感染しました。部長、取引を停止しますか?」
お父さん 「うちはさ、サイバーセキュリティなんてゼロなんだって。オレもお手上げだよ」
お父さんはこんな日常で、会社の戦略を作ることが仕事なのに、この重要な仕事がまったく進んでいないんだよ。
これが「ゾウを仕留めなきゃなんないのに、ウサギにかまってる」状態なんだ。
日本の会社って、みんなそうなんだよ。
ゾウを追わずにウサギの世話をする日本人
本来ならお父さんは、ゾウのハンターなのに、目の前でぴょんぴょん飛び跳ねるウサギの世話に追われてしまい、戦略の勉強もできないし、サイバーセキュリティのセミナーにも行かれない。
これはね、お父さんのジョブ・ディスクリプション(job description具体的に、するべき仕事を明らかにした契約書)がないからなんだ。
だからお父さんは出なくてもいい電話に出たり、部下の悩みを聞いたり、社内の不倫を解決したり、そんなことばかりに気を散らせて、会社を成長、発展させる本来の仕事ができず、会社が儲からないから、給料も上がらないんだ。
悪循環。
これは日本のビジネス文化、「悪しきカオス文化」とでも言うべきものなのだ。
そこには合理性がない、一貫性がない、流れがない、部分が全体に繋がらない。
あるのはカオス、つまり混沌、混乱だけ。
しかし、その混乱こそが独特の活性を生み、混沌こそが組織の知を生み出し、それが日本の組織のチカラなのだ、と主張する論者もいないことはないし、一理はある。
でも僕に言わせれば、「悪しきカオス文化」ではなく、「おでん文化」だ。
いろんな具材がタコ部屋という大鍋に所狭しと入っていて、色んな味を出していて、全体としておいしい。
しかし、ひとつひとつの具材の本当のおいしさは発揮されておらず、他の具材の味が染みてるだけだ。
ウインナーや、大根が美味しいのは、煮出されたおでんの汁で程よくのんびり浸かり、ころあいになってるだけの話で、本来の旨さが発揮されているわけではない。
おでん全体の味に、だまされてはならない。
そう、お父さんに伝えておいてくれないか。
野呂っていう、組織の落ちこぼれががそうほざいていた、と。
いや、マジで。
野呂 一郎
清和大学教授
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