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森保監督のリーダーシップはエベレスト・アナロジーだった?(大学生向け)

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:エベレスト・アナロジーの実例。なぜ、いま「シナリオ・リーダーシップ」の時代なのか。森保監督が使ったエベレスト理論。トップ画はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3BmqhB2

シナリオとはなにか

エベレスト・アナロジーの続きだよ。

エベレスト・アナロジーとはプランじゃない、シナリオだ、と言った。

でもキミは反論するだろう。

経営者はある事象に取り組んだら、多かれ少なかれその展開を予想し、つまりシナリオを描いて、そしてそれにどう対処するかを考える、つまり計画をたてるだろう。

すべてはシナリオから始まるし、シナリオに基づいて計画も立てるだろう。

シナリオとプランは一体で、どちらが重要ってことはないだろう、という反論だ。

そのとおりだ。

じゃあ、こう言えばもっとわかりやすくなるかな。

そうさ、すべてにおいてこれからどうなるかのシナリオを描いて、計画をたてることが必要だ。

しかし、これから求められる計画は「変化に対応できる柔軟な計画つまりコンティンジェンシー・プランニング(contingency planning)なのだ。

それは詳細な計画じゃなくていい。

もっと言うと、計画よりも、シナリオつまりこれからどうなるかのフレッシュな想像力こそが、これからのリーダー、マネジャーに求められるということだ。

いま、アメリカで色々なところで教えられているエベレスト・アナロジー(シナリオ・リーダーシップ)は、まず、受講者のリーダーたちに、直面する課題について新たな視点からシナリオを想像する訓練を課すことを、重視している。

その意味するところは、もっと自由にその事象がどう展開するかを想像しろ、ということにある。

いままでは、ありきたりのシナリオに、ありきたりのプランがついていたに過ぎない。

もっと想像力を働かせて、いろんなシナリオを立ててみようよ、ということだ。

シナリオを立てたら、そうなったときのための計画は必要だが、それはアバウトでいい。

もっと多くのシナリオを作れ、それがエベレスト・アナロジーの主張だ。

これまでのリーダー(マネジャー)の欠点は、詳細な計画を立てすぎることにあったのだ。

なぜ、詳細な計画が意味がないのか

ボストン・ストラテジー・グループ(Boston Strategy Group)のマネージング・パートナー、セオドラ・クレーンさん(Theodore Klein)はこう言う。

「曖昧さ、予期せぬ結果、そして急速に変化する環境は今や当たり前だ。エクゼクティブは新しいリーダーシップが絶対に必要だ」。

セオドラ・クレーンさん

エクゼクティブ・アナロジーは、別名シナリオ・リーダーシップとも呼ばれる。

新しい時代には、今までの感覚や発想でシナリオを描いてはダメなのだ。

今のリーダーに必要なものは、新しい感覚で「これからどうなる」を予測する能力なのだ。

そして、シナリオごとに、計画をたてるのだが、この計画というのは実践的で、どんなアクションを具体的に取ったらいいのかを重視する。

米学校で行われているエベレスト・アナロジー

実はアメリカの学校区では、すでに広く使われている。

例えば、明日雪が降るか、という現実の命題に直面したとしよう。

これは実にエベレストの状況に似ているではないか。

誰もそんなことはわからない。

でも、予兆から、シナリオが描ける。

例えばこんな感じだ。

BusinessWeek2022年2月14日号より、まとめ

このケースが教えることは、エベレストもそうだが気候的なリスクは、予兆があればシナリオを描きやすく、それがある程度の確率で当たる、ということだ。

アクションは関係者がどう行動すべきかの他に、予測されるリスクに対処するのにどんなリソース(資源)が必要かも明らかにする。

同じことは天気だけでなく、健康、安全に関することにも応用可能だ。

森保采配はエベレスト・アナロジーだった

天気、健康、安全に関しては、ある程度予測が立てやすいかもしれない。

しかし、シナリオは無限にあり、いちいちそれに対処できないし、それを指示したところで全部覚えられる部下もいない。

誰もがチェスのチャンピオンの予測/対応能力を持っているわけではないからだ。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3Hk33iU

前掲BusinessWeekはこう言う。

「現代のリーダーシップは終わりのないフットボールのシーズンに、ずっとヘッドコーチをやらされているようなものだ」。

BusinessWeek

しかし、シナリオへの対策はキリがないといったが、エベレスト・アナロジーで最も大事なことがある。

それはコミュニケーションを取る、ということだ。

あらゆるシナリオを共有できなくても、チームの全員でシナリオの対処をコミュニケーションすることが、成功への道だという。

さっき、森保監督のNHKインタビューを見ていたのだが、森保監督は、これをやっていたのだ。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3W8z4i9

チーム全員で監督の戦術、戦略を共有し、その意図するところを理解しようとしたのだというのだ。ベテラン選手がその中心にいた、という。

森保監督も、エベレスト・アナロジーを使っていた?

今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。

じゃあ、また明日会おう。

                             野呂 一郎
                清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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