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プロレス&マーケティング 第18戦 アントニオ猪木の精神的レガシー。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:現代における経済戦の勝者の条件とは何か。勝ち負けよりはるかに大事なものとは何か。アントニオ猪木の残した精神的遺産レガシーとは。

何を書いてもプロレスなのかな

プロレスばっかりで、普通の記事がない当ブログですが、最近ある人にこういう指摘をされたんです。

「お前のnote、よくよく見てみると、普通の記事の中にも「なんだ結局プロレスじゃん」、が、含まれてるな」。

某友人のことば

結局人間っていうのは、書くものにその本性が隠されていて、僕の本性も頭隠して尻隠さずとはまさにこのこと、お前の拙い文章にみ~いんな丸出しだよ、ということなのでしょう。

自分で解説するのも野暮なんですが、この拙い書き物はある意味で問題解決を説いているのですが、それって「プロレス流とんち」にすぎないってことなんですよね。

それが単なるへそ曲がりでないことを、祈るばかりです。

もう一つはプロレス=戦いという図式が、この書き物に反映されているともいえます。

見ている方は見ているものなのですね、恥じ入る次第です。

現代経済戦の新しい覇者は誰だ

ところで、プロレス=戦いの話ですが、現代においてドンパチの戦争は、経済戦に置き換えられているわけです。

そしてそれは単に勝った負けた、つまり売上において、利益において、マーケットシェアにおいて、ライバルに勝ったから勝利だ、とはならないのです。

それは、アントニオ猪木が示してくれた、大いなる遺産ともいうべき真実です。

奇しくも今日はアントニオ猪木のお別れの会でしたね。

それはこういうことです。

「勝敗より、インパクトを残したほうが勝ち」。

堅実な戦いぶり、つまり普通の営業、宣伝、販売を手堅くやって、マーケットシェアを維持するよりも、「これがあったか」「こんなことをやるのか」「攻めすぎだろ」みたいな、驚きと戸惑い、ある種の共感を巻き起こしたほうが、未来に向けて市場の支持を得るかもしれない、ということです。

最近だと、湖池屋の「プライドポテト」がそれです。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3kTsFKE

カルビーという巨人には勝てないと思われていた、湖池屋は数年前から「プライドポテト」のシリーズ名(昨日のプロレスのシリーズ名みたいなもんですこれは、数年間これで湖池屋と戦うという意味合いで)で、原材料からこだわり抜いた逸品で勝負をかけてきました。

ローソンの「盛りすぎ!チャレンジ」にも驚かされましたね。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3ZJHttX

価格据え置きで重量を約47%増量した、おにぎり、調理麺、ベーカリー、デザートなど計12品を毎週4品ずつ、投入という、この「盛りすぎ!チャレンジ」も、まさに期間限定ですから、プロレスのシリーズと同じで、シリーズ名もプロレスを彷彿とさせます。

なにか思うんですけれども、もちろんこのニ社の企画を出した方は、プロレスファンでも、ましてや猪木ファンでもないと思うんですが、アントニオ猪木の影響が日本全体の無意識に伝播しているんじゃないか、と。

と、またシュワルツの仮説みたいな、見えないエネルギー論をぶつけようとしている僕でした。

猪木の経済理論「ホーガン編」

その猪木の「勝ち負けよりインパクトが大事」という、これは一種の経済理論と言ってもいいと思うんですが、ちょっと2つ紹介したいと思うんですよ。

一つは1984年6月14日に行われた、第2回IWGPトーナメント決勝戦で、猪木がハルク・ホーガンと戦って負けた試合です。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3L3oHdg

ご存じの方も多いでしょうが、あの試合、誰もが猪木が勝って、世界最強を証明して、これから新日本プロレスの時代が始まるというワクワクの未来図を描いていました。

それが結果は、まだ世界的スーパースターになる前の、無名とも言えたハルク・ホーガンに惨敗。

それもホーガンの必殺技アックスボンバーで失神、その時に舌を巻き込まないように自ら舌を出したということで「舌出し失神事件」という、ある種不名誉なレッテルまで貼られてしまった、出来事でした。

これは、猪木がわざと負けた、という世評が支配的です。

もちろん、真相は藪の中ですよ、でも、今日の流れで「猪木は敗けて、勝った」としましょう。

なぜ負けて勝ったのか。

猪木は失神して東京女子医大に緊急搬送され、一時は命の危機を報じられたのです。

猪木の死さえ連想させる、あまりにショッキングな敗戦だったためか、普段はプロレスなど報道しない四紙も、一部これを翌日の一面で報道、時ならぬ「一般紙プロレス一面」が実現し、日本全国この話題プロレスで沸騰したのです。

ある種この敗戦は、マーケティング効果も生みました。

勝ったハルク・ホーガンには「あの猪木を無様に失神させた」という、無形の価値がついたのです。

ハルク・ホーガンがこの試合をきっかけに、世界のスーパーヒーローにのし上がっていったのは、決して偶然ではありません。

もちろん、その後新日本プロレスは、ハルク・ホーガンを金のなる木として、ビッグマッチに招聘、ビッグマネーを生ませたことは言うまでもありません。

タイガー・ジェット・シンの場合

この試合はいつだったか忘れましたが、猪木がNWF世界王座を「狂虎」タイガー・ジェット・シンに奪われ、猪木が挑戦者として、蔵前国技館でシンと対決した試合です。

猪木が負けるんです。

でもそれは、絶対に観客は見たくなかったシーンなんですよ。でも負けた。

僕に言わせれば、ハルク・ホーガン戦よりも、それゆえインパクトがあったんですね。

何で負けたかというと、エプロン越しのブレーンバスターです。

実際のシンのブレーンバスター。https://qr.quel.jp/pv.php?b=3Zq5N4h

僕の半世紀に渡るプロレス観戦歴でも、一番すごいブレーンバスターでした。

タイガー・ジェット・シンというと、それまで蹴って殴ってコブラクローで締めてとか、狂乱ファイトだけで正統な技など出したことがなかったので、このブレーンバスターが飛び出した時、場内は驚きに沸き返ったのです。

本当のところは、僕もわかりません。

でも僕は猪木が「負け」を演出した、そう思っています。

もちろんタイガー・ジェット・シンの商品価値も上がりました。

本当に観客が求めているのは、勝敗まっとうなことなんでしょうか。

これは、プロレスだけじゃなく、あらゆるビジネス関係者に、今の時代だからこそ、突きつけられている問い、ではないでしょうか。

今日のプロレス&マーケティングを他業種に応用する

1.企業は現場で戦っているマーケティング担当者に、「アドリブ」という絶対判断権を与えるべき。

例えば、新製品のお菓子のキャンペーン会場に子供が来て、お小遣いが足りずに泣いて帰ろうとした。

内規では、売らないとならない。でも担当者の判断で、タダで一箱あげることができたら、どうだろう。

それはわざたらしい美談として炎上などせず、エモい実話としていやでもリツイートされまくるのではないだろうか。

正解は時と場合によって変わる。担当者は「勝負を変えてもいい」のだ。

2.マーケターは場の雰囲気をよく感じろ

商談は「勝て」と厳命されているはず。しかし、「負け」てもいいのだ。情にほだされて格安の取引を受けても、後で大きなお返しが来るかもしれない。

そういう直感を発揮させない上司は、大きな損を会社に与えているのだ。

3.ディールという駆け引きに勝て

交渉事、商談は英語ではディール(deal)つまりやり取りであり、駆け引きがその本義である。

ディールの達人こそがディーラーと呼ばれる。ディーラーとは、長い目でもしくは多角的な視点でディールの勝ち負けを判断できる手練のこと。

上司の命令など無視できることが、その一つの条件となる。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

じゃあ、また明日お目にかかりましょう。

野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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