プロレス&マーケティング第72戦 プロレス100年の計-10代のファンを育てよ。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:今のプロレスを支えているのは、実はオールドファンと言われる、50代、60代以上のファンだ。なぜファンを続けているのか。それは10代の頃のいい思い出があるからだ。翻って今の10代のファンはどうだろうか。
10代のファンを育てよ
これで4日連続かよ・・・プロレス&マーケティングのシリーズが続いちゃっています。
どうもプロレス界に言いたいことがつのっちゃってるんでしょうか、さて、今日はプロレス・マーケティングの核になる10代の若者ファンを育てよ、というテーマでお話します。
これは、明日、マクドナルドの最新戦略でお話する予定なのですが、マクドナルドは9歳から28歳のZ世代と呼ばれる層を育て、売上を伸ばしているのです。
マクドナルドは、今後100年安泰だと思うんですよ。
なぜならば、マクドナルドのファンであるZ世代をうまく育てたからです。
この20年間、マクドナルドは3歳から10歳くらいのティーン未満からティーンの若者に、「好かれる努力」をしてきたのです。
ポイントは10代の青春時代に、マクドナルドに関するいい思い出を創ることでした。
それから20年たって彼ら彼女らはZ世代になったわけですが、マクドナルド愛は健在なのです。
なぜかと言うと、マクドナルドは10代のファンを育てるために、10代のカリスマ・ラッパー、トラビス・スコットをずっとCMに起用してきたからです。
要するにポジティブで楽しい思い出を、マクドナルドとリンクさせれば、子どもたちの洗脳が完了というわけです。
50年後プロレスは生き続けるか
マクドナルドの”若者洗脳戦略”(勝手に僕が言ってるだけですよ)を、プロレスに応用すればいいのです。
10代のプロレスファンの若者に、プロレスの楽しい思い出を作ってあげれば、20年後もファンにとどまってくれます。
Z世代のプロレスファンは、一生ファンをやめないでしょう。
だけど、それができてないんです、今のプロレス界は。
毎週プロレス事件の生き証人になれない不幸
おととい長州力の「噛ませ犬事件」をプレイバックしましたけれど、あの頃のファンって、この歴史的な「長州事変」もリアルタイムで見ているし、タイガーマスク登場、猪木シン、最強タッグでファンクスとブッチャー、シーク組が激突、四天王プロレスなどなど、毎週これでもかというくらい、濃密な激闘をテレビを通じてライブで見、事件の生き証人になっていたのです。
いまの10代のプロレスファンは、どうでしょうか。
ファンの夢だった、「まだ見ぬ強豪ガイジンレスラー」などというのはいません。
ブッチャーやシンは高くて呼べません。
テレビがついてないから、カネのかかる大物は呼べません。
昔は、毎週事件があった「プロレス中継」が、三局で競うように放映されていました。
10代の若者は、毎週のプロレス事件という楽しい思い出なんて、ない、んです。
悲惨というしかないではないですか。
テレビは、新日本プロレスが深夜帯で30分放映されているだけです。
30分ではドラマが作れませんよ。
でも短時間に見どころを詰め込まされるから、12分の試合は頭のてっぺんからかかとまで、息もつかせぬ大技のオンパレード。
見てる方は、怪我しないかハラハラしているだけです。
女子新団体・マリーゴールドぉ?
そもそも女子のプロレスなんて、テレビもついてないから、ジュリアもSareeeも知らないって。
こんな状況で、若いプロレスファンを教育できるのでしょうか。
プロレス団体は結束してテレビ局と交渉せよ
プロレスの明日を創るマーケティング戦略は、ただ一つ。
10代のファンに、毎週楽しいプロレスの思い出を作ってあげることです。
それは、ビッグマッチだけでもテレビ中継を実現させることです。
ネトフリだとか、スポティファイだとか、ダゾーンだとかではダメですって。
無料のメディアでなくては。
家族で楽しめなくては。
思うに、プロレス団体は企画書を書けないんじゃないかな。
戦略が描けないとだめだ、よかったら僕が手伝いますよ(笑)
なぜ、このカードをテレビ生中継するのか、テレビ局にどんなメリットがあるのか、それを局側に説いて聞かせるのです。
プロレス評議会だの、オール・トゥギャザーだのの、大同団結ムードがでてきている今こそ、プロレス団体は一致団結して、企画書を持って東京12チャンネル、いやさ、テレ東に交渉にいきましょう。
なぜ、テレビ東京か。
この局は、プロレスというものに理解があるからです。
レギュラー放送こそなかったものの、過去テレ東は、
「猪木vsカール・ゴッチ」「ラッシャー木村vsビル・ロビンソン」を中継した実績があります。
いずれも玄人好みの最高のカードで、プロレスに理解がなくてはとても中継できません。
さあ、各団体の領袖の皆様、迷える子羊である10代のプロレスファンに、今すぐ楽しいプロレスの思い出を与えてあげて下さい。
週イチじゃなくてもいいから、せめて月イチくらいは。
でなければ、プロレスは生誕100年を迎えられないかも、です。
野呂 一郎
清和大学教授