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トランプ復活は無理だ

巨大SNSと民主党の連合軍に負けた?

先ほどNHKで、トランプ前大統領が久しぶりに大衆の前で演説したことを報道していました。「選挙が盗まれた」と訴訟を起こしたはいいが全敗、例の議事堂乱入を先導した容疑で大統領弾劾に追い込まれ、自身の経営する会社が訴えられたりと、トランプ氏の復活ロードは厳しいものがあります。

そんな中、トランプ氏はThe Wall Street Journal2021年7月9日号にこんな投稿をしています。

なぜ、私は巨大テクノロジー企業を訴えているのか(Why I’m suing big tech)というタイトルで、フェイスブック、ツイッター、YouTubeを非難しているのです。相変わらず国民の感情に訴えるトランプ節は健在です。トランプ氏のこの投稿からなにか読み取れるか、少し皆さんと考えてみましょう。

トランプ氏の主張のキーワードは、以下です。フリースピーチ(free speech言論の自由)、センサーシップ(censorship検閲)、コンスティテューション(constitution憲法)。いずれも国民に訴えるパワーワードを戦略的に選んでいます。トランプ氏の国民に訴えるコミュニケーションスキルは独特だが、やはり高いものがあるといえるでしょう。

トランプ氏の主張をまとめるとこうなります。

「フェイスブック、ツイッター、YouTubeは自由な意見を検閲している。それは彼ら巨大ITプラットフォーマーが、ユーザーの書き込みに関して法的に責任を負わないことをいいことに、反トランプ派の煽動に負けて共和党の見解を検閲し、気に入らない発言をブロックしているのだ。これは憲法が認めた言論の自由を侵害している。」

トランプは言います。「フェイスブック、ツイッター、YouTubeは私を検閲した、となると彼らはあなたを検閲する。私のいうことを信じろ。本当に奴らはやる」。

彼らの行為をトランプ氏は、受け入れがたい、憲法違反、アメリカの価値観に反する(unacceptable, unconstitutional ,unamerican)とアジるあたり、トランプ節健在という感じですね。

巨大IT企業群にギブのトランプ

昨年トランプがバイデンに敗北した時、トランプは自分でSNSを立ち上げる、というウワサがありましたが、断念したようですね。

もはやフェイスブック、ツイッターは、トランプの影響力がはるかに及ばない巨大すぎる存在になってしまったのです。いかにトランプがツイッターのアカウントの影響力が大きかったかを思い知ったかということ、トランプの巨大IT企業に対するおそれが読み取れます。

政敵の主張を検閲して、云々はあり得るとは思いますよ。

出版社と違って、電子掲示板に何を書かれても巨大テクノロジー企業の責任を問われない、逆にいうと独自の基準で選んでいいわけですから、フェイスブック、ツイッターは密かにどことでも組めるでしょう。

アメリカの大新聞を含めたマスコミだって、政治的に中立はありえないからです。結局トランプは、アメリカ全体のパワーゲームに破れたのです。

自由な言論を検閲とトランプは言うけれど、法的な判断も難しく、トランプがアカウントを奪回できる可能性は極めて低いでしょう。

アメリカ人共通の価値観に訴える戦略は有効か

トランプは最後にこう言い放ちます。「訴訟を通じて私はすべてのアメリカ人の言論の自由を回復する、共和党、民主党、リベラルに関係なく。そして私は戦うことをやめない、アメリカ人の憲法上の権利と神聖な自由を守るために」。

僕は今回のトランプ投稿は、トランプの感情的なトーンが抑えられていて、公平性をにじませるというトランプらしからぬ言葉遣いも散見するなど、弱気とまではいわないが、らしくない穏健さを感じたのです。

2025年の噂されるトランプ再出馬は、民主党の致命的な敵失か、バイデンさんの噂される認知症が重篤にならない限り、ありえないのではないでしょうか。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

また明日お目にかかりましょう。

あ、ついでにこれも見てね。

                            野呂 一郎

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