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菅首相退陣に見る、なぜ「原稿棒読み」がダメなのか
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:原稿棒読みのリスク。日本のコミュニケーション風土の理解。メッセージの本質。
なぜ、棒読みがダメなのか
菅首相が退陣に追い込まれた理由として、The Wall Street Journal2021年9月3日号は、こう記述しています。
Mr. Suga compounded his difficulties with a wooden public style. He gave frequent news conferences, but usually read his answers from briefing papers. 無表情で無味乾燥なスタイルが彼の窮状を一層悪化させた。彼は記者会見を人並み以上にやったが、ブリーフィング・ペーパー(報告資料)をただ読んでいただけだ。
高コンテキスト文化と低コンテキスト文化
よく日本の文化圏は高コンテキスト文化と呼ばれます。コンテキストとは文脈、つまり前後関係という意味です。
高コンテキスト文化とは、前後の脈絡から相手のいっている意味を把握する度合いが高い社会、つまり、コミニケーションにおいて察しだとか、忖度だとか、言外の意味だとか、遠慮だとかの占める割合が大きい社会ということです。
これに対して、欧米は低コンテキスト文化圏です。
こうした文脈やワケのわからない空気などは読みません。頼りにするのは言葉のみです。菅さんが棒読みで平気なのは、日本人が言葉を大事にしないから、とも読めます。棒読みが許されるのはこうした言葉に対する文化の違いともいえるでしょう。
ザ・グレート・ムタが驚いたこと
悪魔の化身ザ・グレート・ムタが世界最大のプロレス団体WWEに参戦した時、電話帳2冊分はある”契約書”を渡され仰天したことは、プロレスファンによく知られています。
レスラーのリング内外でのしていいこと、悪いことを中心にこれだけ書いてあるのです。日本のレスラー?そんなものはないですよ。
プロレスは八百長などとしたり顔に言う人がいますが、すべてにルールと契約書に基づく規制があり、それに則ってファイトは行われているだけなのです。
原稿棒読みのリスク
棒読みとは何か。
それは心がこもっていないことです。情熱がないことです。訴えたい中身がないことです。
当然聞き手にはなにも伝わりません。心も、情熱も、訴えたい中身も。
しかし、一方で棒読みが伝えるものもある。やる気のなさはよく伝わります。そして真剣じゃないこともよく伝わる。
いくら日本が高コンテキスト文化だと言っても、今は国家的有事です。そんな時に棒読みをされたら、いくら言葉が大事じゃない日本人だって、お前やる気あんのか、と言いたくなるでしょう。
棒読みはあなたのキャラクターをすべて反映している行為
そういう意味で時代の空気を読めない菅さんって、それだけでリーダー失格といえるでしょう。
「ベストを尽くしている」なんて言う言葉も、あんなヌーボってな調子で言われたんじゃ、そんなわけないだろ、という反応されてしまいますよね。
菅さんは首相はしっかり間違えなく言葉を言わなくてはならないから、棒読みをしたと言い訳していると聞きましたが、それは詭弁というものでしょう。
せんだってから参照しているリーダーシップの本、Real leaders don’t do PowerPoint P11にはこうあります。
あなたのキャラクター、あなた自身がどういう人間であるかということ、あなたがやってきたこと、あなたの価値観、これらがメッセージになるのです。
菅義偉とは何か
そういう意味で棒読みは、菅さんのキャラクターであり、どういう人間かを、何をやってきたか、どんな価値観を持っているか、それが集約されている行為なのです。
それが何を示しているか?って。
言わせるんですか?
ええっとそれは、日本的ってことでしょうね、一言で言えば。
もちろん悪しき意味で。それは高コンテキストと一言で言っていいかもしれないし、感情のない人と言ってもいいし、目立とう精神のある人じゃないと言ってもいいし、自己主張するんじゃなくて、ひたすら堅実をモットーに実直に仕事をなしてきた人、と言ってもいいでしょう。
しかし、メッセージが国民に届き、メッセージで国民の行動が変わらなければ、リーダーとは言えないのです。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
明日またお目にかかりましょう。
野呂 一郎