人の上に立った時、キミが考えるべき唯一のこと(高校生のキミへ)
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:世界の労働市場を巡る最大の問題・リモートワークの現状。公平か公平でないか、それが問題だ。リーダーシップとは公平性のこと。
リモートワークに噴出する問題点
世界の企業がいま直面する最大の問題は、リモートワークに関わることだ。
労働者は皆、「よりフレキシブルな働き方」に賛同し、リモートワーク派が圧倒的だ。
オフィス出社させたいのが本音の企業は妥協策として、ハイブリッド方式、つまり出勤とリモートワークをミックスさせた働き方を提案している。
それが一律に週3回オフィス出社となればいいが、強制をすると社員がやめかねない。
コロナが少し落ち着いたが、働き方をめぐる問題は着地点が見えない。
そして今、リモートワーク派の社員から、こういう問題提起が出ている。
「仕事の量と質が変わらないのに、リモートワークの労働者は不公平な扱いを受けている」。
どういうことか。
それは、オフィスに出ずっぱりの社員の方が、上からの覚えが必然的にめでたくなり、仕事上のチャンスを与えられたり、昇進、昇給する可能性が高い、という不公平感だ。
たしかに、会社のリーダー層は毎日出社している。同じく出社している社員は会社のリーダーたちと顔を合わせる機会が多くなる。
そうなると、「キミこれをやってくれないか」などというチャンスが増え、結果的にリモートワークで家に閉じこもっている社員より、出世する可能性が高くなる、というわけだ。
リモートワークvsオフィスワーク、理想は機会均等であるべきだが、現実はオフィスワークのほうが有利なのだ。
人事評価という新しい問題
別の観点から、オフィスワークの有利さを指摘する声が上がっている。
それは、人事管理の観点から、リモートワークのグループとオフィスワークのグループの2つのカテゴリーができると、公平な人事評価が難しい、というのだ。
リモートワークは基本上司が仕事ぶりを監督することはない、ないことはないが困難だ。一方オフィスワークは常に上司とのコミニケーションが発生する。
通勤時間とそれに伴う様々な不便を抱えるオフィスワーク労働者と、そのハンディがないリモートワーク労働者を、そもそも同列に並べられるのか、という問題がある。
企業はリモートかオフィスがどちらか一方にしないと、人事考課の公平性が保てないと悲鳴を上げているのだ。
この流れからすると、今後の働き方はリモートに傾いていたが、にわかにオフィスの対面方式にズルズルと戻っていくかもしれない。
さて、高校生のキミが経営者だったら、どうするだろうか。
もちろん、経営に正しい答えなどはないが、経営学の立場からの答えなら、ある。
それは、「公平性を守れ」、ということに尽きる。
歴史の流れに逆らうのは得策でない
会社にいかに有利をもたらす案でも、それが従業員間に不公平を生むようでは、それは採用してはならない。
前述の現実が変わらないのなら、企業はすべて「毎日リモート」か「毎日オフィス」かの一択にすべきだろう。
経営学の立場からの正解という言葉を使ったが、これは言葉を変えれば、「労働の歴史の流れ」でもある。
それは1964年アメリカに公民権法が成立して、労働における一切の差別が禁止された。
この歴史の流れに逆らえば結果は自ずと明らかだ、ということなのだ。
詳しくはこの本を読んで勉強してくれたまえ。
高校生のキミに贈る今日の一言。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー