高校生よ、成功するには時代を読むだけでは足りない。歴史の理解が必要
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:成功するためには歴史を理解すべしという考え。岸田長期政権という理由。トランプ失脚の理由。
昨日、キミたちが成功するためには、ドン小西さんにならえ、といった。
成功の秘訣は、「政局や世界情勢など世の中の動きを身体に染み込ませる」ことだ。
そのためには、どうすればよいかをお話した。
The Wall Street Journalを読むこと、日本の新聞、経済雑誌を読むこと、観察すること、書くことがそれだ。
あえて僕はもう一つ加えたい。
それは自国と世界の歴史を知ることだ。
岸田首相とトランプ前大統領を例に取ろう。
トランプ敗因は歴史を踏まえなかったこと
トランプの敗因だが、それはアメリカの、世界の歴史を理解しなかった、いや無視したからだ。
それは、人間性尊重の流れである。
具体的に言えばポリティカル・コレクトネス、Wokeの流れだ。
一言でいえば差別やあらゆる力による他者の心身への攻撃を、否とする思想だ。
アメリカの近現代史を僕流に解釈すれば、こうなる。
1964年の公民権運動に始まる差別撤廃の動きは現代まで続いているが、それは表面的なものにすぎない
アメリカはまだ、レイシズム(racism人種差別主義)が厳然として存在する
世界での相対的な力が弱まり、また貧富の差が拡大しすぎて、世界の警察官の使命を自ら放棄し、資本主義に対しての疑問が広がり、それが民主党バーニー・サンダース氏の提唱する社会資本主義運動に火をつけた
しかし現在は、ポリティカル・コレクトネス、非差別、社会主義的なるものへの、バックラッシュ(反動)が激しく起こっている
トランプはただ、この社会資本主義つまり共生、平等へのアンチテーゼがうずまき始めた、という時代の流れに乗っただけなのだ。
これを便宜上、資本主義vsアンチ資本主義と言おう。
この拮抗に乗じたトランプだったが、これは危ういバランスの上に立っており、コロナ無視で世論が反トランプに少し傾くと、転げ落ちてしまった。
岸田、菅、河野3氏の明暗を分けたもの
岸田さんにとっても、世界情勢はトランプ氏ともちろん同じだ。
岸田さんは人間性尊重への流れは理解している。
なぜ彼が首相になり、共通テスト別室受験騒動に見られるように、朝令暮改でリーダーシップがない、などと批判されても支持率が上がっているのか。
それは、彼の聞く姿勢にある。
この聞く姿勢を、もし岸田さんが故意にこさえたとすれば、歴史の流れに沿っている。
聞く姿勢は人間性の基本だからだ。
それは誠意の表れであり、民主主義の根本であり、しかし、ほとんどの政治家から無視されてきた特質である。
聞く姿勢と反対なのは傲慢さであり、強い自我だ。
菅氏、河野氏には、その欠点があった。
菅前首相がなぜ失脚したのか
それは国民に対して聞く耳を持たなかった、からだ。
説明を丁寧にしないことが彼の一大特徴だったが、それは誠意の無さ、もっと言えば傲慢に他ならなかった。
河野さんがなぜ、首相になれなかったのか
それは”おこりんぼ”だったからだ。
おこりんぼとは、自分の意に沿わない意見を怒鳴り散らす、聞き上手とは正反対の態度だ。
それはマスコミに自民党総裁選の敗戦の弁を問われたときに、奇しくも明らかになった。
質問を無視して「新首相をしっかりサポートしていきます」と、木で鼻をくくったような答弁をくり返したのだ。
国民にはぶっきらぼうで、無愛想に映った。
そこで、正直に「いやあ、私の魅力が足りなかった。出直します」とでも言ってれば、次期首相の目もあったのに。
それより何より、あの答えはマスコミ、そしてわれわれ国民に対して誠実でなかったのだ。
腹立ちまぎれの答弁でもあり、おこりんぼの本性が垣間見えた。
総裁選挙権のある同僚政治家、自民党員はバカではない。
彼の人間性に逆行する部分を、しっかり見てたのではないか。
岸田長期政権という理由
岸田さんは、首相になって、その良さが発揮された。
誠実で、相手に向き合っている。目線の置きどころがいい。
しっかり相手を見ている。
「聞き上手」の真骨頂は相手の目をしっかり見ることだ。岸田さんはそれをやれている。
表面的なものに過ぎない、そうキミは突っ込むかもしれない。
でも政治家は見られる商売だから、表面的なことが大事なのだ。
表面こそ内面の写し鏡であり、人間性はそこにおおむね表れる、と信じよう。
政策もほぼ、人間性を重んじるものになっている。
もちろん、それなら北京五輪は少なくとも外交的ボイコットをすべきだろう。
ウィグル民族迫害の件、尖閣諸島中国漁船衝突事件などを見過ごすことは、民主主義排撃、人間性軽視に他ならないからだ。
しかし、国際政治はさまざまな駆け引き、国内事情の調整の産物なので、弱者を助けるだけが正解でない。
岸田さんは、日本の歴史、それは政治の、自民党の歴史でもあるが、きちんと理解していたフシがある。
自民一党支配の長い歴史が、10年前民主党政権で一旦ピリオドが打たれた。しかし、民主党の政権運営の大失敗で、また自民党が息を吹き返した流れ。
しかし、菅政権で民の支持を失うと見るや、実力はともかく、表面的であっても人間性にすぐれた、つまり「聞く態度」を持つ岸田文雄を選んだ。
健康に気をつけさえすれば、岸田政権は長命とみる。
歴史認識とはキミの価値観次第だ
「お前のいう”歴史認識”ってその程度なの?」
キミは言うだろう。
いいんだ、その程度で。
歴史認識って、キミがそれをどう見るか、っていう視点なんだよ。
だから勉強量っていうよりも、キミの経験とか、価値観なんだ。それを持て、と言っているんだ。
歴史がキミの目にどう映るか、ということなんだよ。まずそれを踏まえよ、ということだ。
もちろん、アメリカの流れも、いろんな見方があるに違いない。
例えば貧富の差も、資本主義の行き着く必然であり、社会主義なんかダメなんで、ジェフ・ベゾスが資産20兆円持っててどこが悪い、という歴史観だってあっていいに決まってる。
競争社会で落ちこぼれるのは、資本主義の必要悪だ。
アメリカバンザイ、競争のない日本に勝ち目は100年たってもない、それも正論だと思う。
時代認識もそうだけれど、歴史認識も、自分の価値観次第だ、と思う。
時代とは風である
時代とは風である。風が吹いているだけに過ぎない。
しかし、風はやがては止む。
それは人間性とは、違うよ。
起こったり、怒鳴ったり、すぐ感情的になる人は、一時的に時代の波に乗って成功することはできるよ。でも、長期に渡って成功することは、絶対にできない。
トランプも河野さんもおこりんぼ。それじゃあ、時代の徒花にすぎない。
これ以上は、人に好かれない僕が言っても説得力がないのでやめる。
でも人に好かれて、時代の風を受けなければ、永遠の成功はできない、これは真理だと思う。
また明日会おう。
寒いから着込んでね。
野呂一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー