声かけを社員研修にしたら、企業のマーケティング力が上がるかも。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:昨日お話した、声掛けの実例報告。声かけは様々な仕掛け、応用ができ、理論と実践が両輪の和となって若手社員の研修に使えるんじゃないかという暴論。トップ画はhttps://qr1.jp/S2gGvj
四つ角で声掛けする男
デジタルマーケティング、ウェブマーケティングが言われて久しいですが、結局オンラインでの認知を得るためには、カネが必要です。
SEO対策をやるにはプロに大金を払わなくてはならないし、認知率が上がったとて、コンテンツの作り方が少しで甘ければ、逆宣伝になってしまうからです。
そもそもコンテンツの作り込みがキレイで、内容も説得力があっても、企業の信用や製品のクオリティに問題があれば、サスティナブルなつまり長期的に安定したビジネスなど望むべくもないでしょう。
デジタルマーケティングをやるにしても、フェイス・トゥ・フェイスでの潜在顧客とのコンタクトは、信用創造に欠かせない企業行動といえましょう。
昨日の日曜日、そのフェイス・トゥ・フェイスのコンタクト、つまり呼びかけを行っている企業の事例を目の当たりにしました。
声かけのリーチは意外に広い
僕の住んでいる東京23区のある街の駅前の大きなスクランブル交差点で、不動産会社のモデルルーム見学の呼びかけをやっている、セールスマンに出くわしました。
彼は大きなモデルルームの写真と宣伝文句が書かれた手作りの看板を掲げ、「モデルルーム、今すぐ見学できますよぉー」と声を張り上げていました。
こうした街中での、声かけ自体、珍しいことなので、今の時代差別化マーケティングと言っていいでしょう。
この街のど真ん中で声かけをするというマーケティング行動、ネットでは絶対に捕まえられない潜在顧客に、アプローチができます。
ネットはネットサーフィン層は別ですが、企業のサイトには目的意識がないと来ません。
その点、街中での呼びかけは、様々な層に企業の情報提供ができるのです、それと案外そのリーチ(影響が届く範囲、人の量)が大きい。
しかしながら四六時中声を嗄らし、すれ違う人たちに呼びかけをするのは、誰にでもできることではありません。
声かけというのは、メッセージを与えることがメインなのですが、声掛けする人の情報、そしてその背後にそびえる企業の様子まで、情報として行き交う人に与えてしまうという恐ろしい側面を持つ、極めて戦略的に事を運ばなくてはならない企業行動、マーケティング活動なのです。
例えば声をかけるのはいいが、やる気のない、消極的な態度が見えたらどうでしょう。
これは製品サービスだけでなく、企業イメージも悪くなりますよ。
服装もきちんとしなくてはならないし、声のトーンや張りにも気をつけないとなりません。
大きなポイントは、行き交う人達に尋ねられたときの対応です。
声かけと対応はワンセットだ
声かけの営業マンは頑張ってたので、そこに居合わせた僕はもちろん、「がんばってますね!」とねぎらいの声をかけました。
実は、半分、この声かけマンと企業の実力を試してやろうとの下ごごろあってのことでしたが(笑)。
声かけマンと僕の会話はこんな会話で始まりました。
「お近くに住んでるんですか?」
「えぇ、ここの近くに住んでいます、地元民です」
営業マンは、ちょっとがっかりしたような顔色を浮かべました。
地元に住んでるんじゃ、ここにある物件を見せてもしょうがないな、という感じでした。
でも、すかさず、今度は情報収集の構えを見せ、僕に質問をしてきました。
「お住いは賃貸ですか、持ち家ですか?」
中年世代のすまい状況を、なまで把握しようとしているのです。
「ここは、若い人に今すごく人気が出てきてるんですよ」
「でも、飯屋がな。美味しい店がすくないんだよね」
「牛丼でいいじゃないですか(笑)」
潜在顧客である僕は、こんな会話から声かけマンの知性、信頼性、そして背後にいる不動産企業が信用できるかのジャッジができるのです。
経営に関心が深いあなたなら、こう考えるかもです。
「日曜日のもう夜8時だってのに、若い社員を街中営業に動員し、くたくたになるまで働かせてるって、ブラック企業認定だな。
こんな企業が売ってる住宅は手抜きが怖い・・」
声かけのバリエーション
今回の声掛け、メインの目的はお客をモデルルームに呼び込むことです。
アナログの呼びかけでいいところは、アドリブで工夫ができることです。
声を張り上げても道行く人は忙しくてかまってくれないならば、カンバン作戦です。
複数のボードデザインを、前もって用意していくのがいいでしょう。
着ぐるみを身にまとうことだってできます。
声かけの他に、カンバン、ボード、人形など連れて行ってもいいかもしれません。
日本人は一生懸命な人が大好きですから、そんな小道具を使わずとも、真面目に懸命に呼びかけるのが一番かもしれませんね。
社員教育に声かけを
それにしても、声かけ、です。
声かけは、マーケティング技術として正面から研究がされてきたスキルではありません。
誰も、真剣にこれに関わってないと思います。
でも経営学やマーケティングを学べば、自ずといろいろな仮説、つまり効果が上がるかもしれない法則やルールが見つかるはずです。
問題は、こうした営業(マーケティング)が若い人に人気がないことです。
企業も下手に街中に声かけ要因として出して、嫌がられてやめられては元も子もないと考えているはずです。
僕は、声かけを座学と実践に分けて、遊び感覚で社員教育に取り入れたらどうかと思うのです。
例えばこんな感じの半日セミナーはどうでしょう。
タイトル:マーケティングの基礎としての「声かけ」スキル
内容:
1.声かけとは何か
2.マーケティング技術としての声かけ
3.グループ演習:20代の若者へ、どう声をかけるか
4.グループ発表:グループディスカッションで声かけ案をまとめる
5.街に出て実地トライアル 1時間
6.クラスに戻り、感想発表
ポイントは、声かけは根性でなく、知性であるべき、という考えを徹底することです。
お後がよろしいようで。
野呂 一郎
清和大学教授