ドミノのキャッチフレーズがちょっと残念な件。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:ジョブチューンを見たよ。ドミノピザ、9品合格新記録だって。結構食べてる僕は嬉しいけれど、Hungry to be betterっていうキャッチはやめた方がいい、オレは不合格にするな。
ドミノの社長出演でわかった言葉の意味
ドミノピザは、30数年前にアメリカ留学していたときに、料理をする暇がなくてよく頼んでいました。
いわば青春の味、なんです。(笑)
それ以来、日本でもよく頼むようになりました、結構僕はドミノピザのヘビーユーザなんですよ。
ところで、ドミノの配達が来ると、ピザの箱に貼っているテープにHungry to be betterて書いてあるのが気になっていたんです。
恥ずかしながら意味がわからなかったんですよ。
でも、このあいだのテレビ番組・ジョブチューン・ドミノピザの巻で、最後にドミノピザの日本支社(だと思う)社長が出てきたとき、その謎が解けたんです。
社長が「We are hungry to be better」と言ったときに、初めてその意味がわかったんです。
「我々は少しでもおいしいピザを作るのに、いつも真剣です」という意味だったとわかったのです。
やっぱり文脈がわかると、そのフレーズの意味がわかるんですね。
紛らわしいメッセージ
僕の英語力はそんなものなのですが、hungry to be betterって、こう誤解してたんです。
「お腹すかせて食べてね!」という意味に、です。
要するにhungryハングリーという言葉を、腹減った、の意味にとらえていたんですね。
だって、ピザだものハングリーは、お腹すいたって思っちゃいますよね。
でも、そうじゃなかったんです。
この場合のハングリーは、「飢えています」の意味で、よりベターなピザ(を作ること)に対して飢えている、つまり、美味しさに真剣です、の意味だったのです。
え、英語の得意なあなたはこうおっしゃるんですか。
うーん、なるほど、いまやっとわかった。
でも、これは釣られるぞぉ、ピザだからハングリーは腹減ったとしか、意味とれないじゃないか。
そもそも、マーケティングメッセージに、ダブルミーニングは邪道だって!
そう、経営学の立場から反論する僕がいます。
でも、大事なメッセージはやっぱり、万人がその意味を同じにとらえなくっちゃ、ですね。
ドミノが世界標準戦略で失ったもの
ドミノのようなグローバル企業は、基本的にマーケティングは世界標準です。
これをマーケティング用語でスタンダーダイゼーション(standardization世界標準化)といいます。
つまり、日本とアメリカで広告宣伝も変えないんです。
スタンダーダイゼーションの代表はコカコーラです。
外見もマーケティングも世界で同じ、統一されています。
だから、アメリカでもドミノピザのボックスには、hugry to be betterの殺し文句(笑)が貼ってあるはずです。
本来は、国によって宣伝文句を変えたり、少なくとも同じメッセージでも、現地語に置き換えることが、マーケティングの王道です。
でも、それにはコストがかかるため、世界中で同じキャッチフレーズを使うのです。
でもねえ、ちょっとだけ英語ができる僕でも、hungry to be betterが通じないんだから、英語に興味のない日本人には伝わらないんじゃないかなあ。
ましてやダブルミーニングっていう荒業まで、駆使された日には。
でも、「おいしさに真剣」のほうが、僕は結論としていい、と考えます。
なぜならば、ピザ各社がイメージ戦略というものを持たないからです。
例えば、ピザーラはどうでしょう。
「ピザーラお届け!」だけでしょ、キャッチフレーズは。
おいしさや品質を謳っていません。
シェーキーズは?
口コミで、食べ放題いいね、が一部で知られているだけです。
やはり、ドミノとしては、だからこそ戦略的な差別化できる殺し文句が必要です。
「おいしさに真剣」はジョブチューンでも、見せつけたドミノの隠された真実でした。
いまこそ、hungry to be betterなんて意味のない、日本の消費者にアピールゼロの英語表記をやめて、「おいしさに真剣」にしましょう。
えっ?
ダサすぎる?
あえてそこを狙った、と言ってもダメ?
おあとがよろしいようで。
野呂 一郎
清和大学教授
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