
本7 泣いたあとは、新しい靴をはこう。
こんな相談がある。親の都合で行きたい学校に行けない。塾に通えない。
そこで作家の浅田次郎はいろいろとアドバイスをしたあとに、つけ加えて、「親の都合」などと云ってはいけない。せめて「家庭の事情」と云いなさい。
この毅然とした大人の姿勢を見せるだけでもよい。学ぶべき姿勢であり見方・考え方である。
ラジオの人生相談などを聞いていると感じることがある。
悩んで相談している人の多くは、悩むために悩んでいるのではないかと。
もちろん悩みのない人なんかこの世にはいない。
深刻かそうでないかの個人差はあるにせよ、あるいは主観客観に関わらずその悩みの軽重はあるにせよ。
回答者のアドバイスを受けて相談者は「でも・・・」と立ち止まる。その「でも・・・」が彼の動きを止めている。悩みの種は「起こっている状況」もさることながら、彼のその「立ち止まり」にある。そんな風に思うのだ。
まずは歩きだすことなのかもしれない。
やってみること。
負け戦だと最初から決めつけないで、新しい靴をはいて、勇気の一歩を踏み出してみるのもいい。無理のない程度で。