本5
朝日新聞の「折々のことば」から教えられた詩人とその作品であり、それまで僕は彼の名前を聞いたことがなかった。若くして病で亡くなった青年の遺した詩集である。
命と向き合って言葉を紡いでいるのが、ありありとわかる作品だ。痛々しいほどに。
年代的にはかなり昔の作品にはなる。なので表現に時代の古さを感じることもある。
しかし、すぐれた詩に時代は関係ない。
中原中也であれ、アレン・ギンズバーグであれ、友川カズキであれ、時間軸というものはたいして役に立たないものなのだ。
それにしても若い人の詩はいい。すべての子供たちの絵が善い様に、若い人の詩は、いい。
未熟さ拙さがそのまま鮮度を保ち、それを触れる者たちの心に直に訴えかけてくる。それって一体何なのだろう?
その時間、その瞬間でしか得られないものを彼らは間違いなく持っているのだ。かつてあなたも私も持っていたはずの何か。そしていつかそれを失う。多くの「大人たち」は。
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