6年間、海草の研究を続けた少女が、世界最高のオペラ歌手になった。
InterFM897の「海浜くらしの研究所」の収録に同席し、著名人とのトークをコラムにまとめる仕事をしています。
各界で秀でた方々のお話はどれも興味深いのですが、情熱と集中力が超一流をつくる、と改めて思ったのは、世界で活躍する中丸三千繪さんでした。
90年に、オペラの最高峰のマリア・カラス・コンクールに優勝するなど、数多くの栄誉に輝き、ルチアーノ・パヴァロッティや、プラシド・ドミンゴと共演している中丸さんは、もちろん少女時代から音楽の道を歩んでいますが、その一方で、小学校2年から中学校2年まで海草の研究に夢中になって
いたのです。
小学生のときに波の下に潜っている間に海草に出合った中丸さんは、
「何で陸の植物には根があって根毛が生えているのに、海草は岩に付いているだけなんだろう。何とか海草に根を生やしてみよう」
と、理科室を開放してもらって、小学校2年から中学2年まで、塩分の%を変え、栄養剤を入れ、さらに酸素を送るなどの試験をし続けていたら
テングサに根が生えてきたのだそうです。
結局、試験内容の詳細を書き留めていなかったので研究発表には
至らなかったのですが、この逸話は、普通は海洋生物学者になるような方の子供時代に出てくるエピソードだと思うのです。
中丸さんをオペラで超一流にしたのは、この思いを貫く強さと情熱だったのでしょう。
中丸さんはまた、「日本ソムリエ協会」ソムリエ・ドヌールをはじめ、ワイン通でも知られていますが、「ブルゴーニュワイン騎士団シュヴァリエ」の表彰式では、「DRC(Domaine de la Romanée-Conti)=ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティの(特級ワイン畑)ロマネ・サン・ヴィヴァンで造られた同じ年のワインを1年間で260本飲んだと紹介されたそうです。ここにもある種の並外れた情熱を感じます。
情熱をもてる道に進めることの幸せ。
そして、その情熱を失わないエネルギー。