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三谷さんの舞台を観に行った帰りに、 打ちのめされてやけ酒を飲む。
この「三谷さん」とは三谷幸喜さんで、
やけ酒を飲むのは、中園ミホさんだ
(先日の『TOKYO SPEAKEASY』)。
もちろん中園ミホさんだって
「西郷どん」や「花子とアン」、
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」シリーズなど、
ムーブメントを起こしたドラマの脚本を手がける大家だ。
そんな人に「打ちのめされる」と言わしめた
三谷幸喜さんの実力も凄いのだが、
中園さんは恐らくその舞台で、
自分にない個性を見たのではないか。
見た以上、そのあとで猛烈な飢餓感が訪れるのは明らか。
それが、やけ酒につながったのではないか。
翻って三谷さんにも、
「これがほしい」という、自分にはない脚本家としての感性が
絶対にあるはず、と思う。
だから三谷さんも、心の奥底で中園さんのそれに
猛烈なライバル心を抱いているのではないか。
負けてやけになるんじゃなくて、なにくそと思いながらの酒。
中園さんが負け戦のように語る「やけ酒」の裏に、そんな姿が浮かんだ。