リベンジしなきゃいかんな。
2018年10月、
大腸がんからの復活ライブを催したものの、
声が3、4割しか出ず
「これでもう、できなくなってもいいのかな」と考えていた
チューリップの財津和夫さん
(先日の『ザ・ヒューマン 人生はひとつ でも一度じゃない
〜財津和夫〜』)。
そんな頃、たまたま故郷・福岡の西鉄ホテルから
作詞講座を依頼された。
「故郷に帰る理由ができる」と
気軽に引き受けると、
多くが50代から70代の人々の
人生から産みだされた言葉に励まされることになった。
例えばこんな詞である。
「うちの名前がわからんの
あなたが付けた名前でも
うちが誰だかわからんの
あなたが産んだ うちやのに」。
認知症の80代の親を抱える、
50代の女性が綴った。
■人は、力
さて冒頭の一言は、
復活ライブから約2年が経った、
2020年12月、
新曲「人生はひとつ でも一度じゃない」の
オンラインライブの後で、
財津さんの口からつい出たものだ。
彼は恐らくこのときも、復活ライブと同じように声が出ず、
全盛期が遠くなったことを感じたはずなのだが、
だからこそ出た言葉なのだろうが、
この2年間で、間違いなく
気持ちの方は180度変わっていた。
病に、介護に、子育てに悩みつつも、
明るさを失わないよう心して生きる
市井の作詞家たちの生きざまに、
かつて日本中を席巻したミュージシャンは、
再び生きる力を植え付けられたのだ。
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