【読書感想】レジリエンス思考
今回は「レジリエンス思考 変わりゆく環境と生きる」という本で学んだことを紹介します。レジリエンスとはどういうものなのかを勉強したいと思っていた際に本屋で見つけて面白そうであったため、購入しました。現代社会では、効率化が常に求められて最適化することが多いですが、フレキシブルに対応する上では、レジリエンスが失われていることを認識することが出来ました。VUCAの時代だからこそ、レジリエンスを高めていくことが重要であると感じました。
環境破壊と経済支援の関係性
環境破壊は自然の再生能力を上回るスピードで、自然を酷使することで常に進行し続けます。最終的には、閾値を超えることで自然を回復することが出来なくなってしまいます。現代では、自然を利用する人間の人口増加は増え続ける一方で、資源は減少しているのが大きな社会課題にもなってます。資源が減少する要因としては、下記の3つが挙げられます。近年はSDGsや環境保護の関心が高まってますが、下記のケースを適切に認識したうえで、問題解決をすることが重要であると言えるでしょう。
①やむを得ずに資源を利用しているケース
②資源の現象を故意に黙認しているケース
③世界の働く仕組みを不適切なモデルで誤認しているケース
そして、必ずしも経済支援をすることが自然環境と保護するとは限らないことがあります。例えば、干ばつ被害にあった農家に対して、補助金をだすことがあります。しかし、農家が自然のシステムとして間違った管理をしていた場合、環境破壊につながってしまいます。基本的に、人は目先の利益を追求して、将来のことを考えた行動をしないことが多いのが原因として挙げられます。
効率化と最適化の弊害
最適化とは、あるシステムを特定の最適な状態にして留めることを示します。最適な状態を保つことが出来れば、持続的に最大の利益を得ることが出来るのがメリットです。見方を変えると、ある特定の目的に対してのみ、要素を制御することで、短期的に利益を最大化しています。
また、最適化をした際にうまくいかなかった場合は、管理を強くしようとする傾向によって、悪化することが多いです。失敗やトラブルが起きた際に、今後の対策事項としてルールや縛りが強くなることが多いのが良い事例です。
一方で、効率的なシステムを実現しようとすると、冗長性が無くなりレジリエンスは失います。これは、経済においても同様で、だいたいは数10年のスパンでしか物事を考えてないです。
システムの原理
システムは本来は、複雑であるため制御が出来ないものである。また、制御するということは、本来のノーマル状態から変えているということになります。人為的な変化をする過程で、レジリエンスが失われれていきます。常に変化し続けるので、静ではなく動としてとらえることが重要です。
レジリエンスでは、大きな1つのシステムとして物事をとらえます。部分的な枠組みとして考えるのではなく、統合化して捉えることが重要です。1つのシステムを変えると全体も変化することを理解することが、レジリエンスへの理解の第一歩になります。構成要素の仕組みを理解したとしても、システム全体を理解して、振る舞いを予測できるとは限らないのです。
システムの変化
システムの状態が変化すると、レジリエンスも変化します。変化したシステムを元の状態に戻すためには、履歴効果を考慮する必要があります。そのため、元の状態よりも大幅に改善することが求められます。ただし、新しいレジームに移行すると戻りにくいケースや戻らないケースがあるので、要注意が必要です。
レジリエンスでは、システムを理解することが大切です。それは、レジーム間の閾値を決めている点を理解することです。水準とシステムの特性をレジリエンスにすることが良いといえます。そのためには、システムを閾値から遠ざけたり、到達しにくいようにすることが重要です。システムの性質事態を転換するためには、新しい状態変数を導入したうえで、システムを再定義することが大切になります。
レジリエンスを高める観点では、機能の多様性を持つことが重要です。システムは色んな役割をするグループがいて、機能を果たすことが必要です。同じ機能群でも異なる応答を示すことで、レジリエンスが高くなります。応答の多様性とは1つの機能群が持つ応答の種類の幅になります。応答の種類の幅を持つことがより広範囲の条件下で、システムを維持することに繋がります。
システムの循環
自然界のシステムのほとんどは「急成長」「保全」「解放」「再組織化」の4つの段階からなるサイクルで成り立ってます。この適応サイクルを認識したうえで、物事や経済活動をとらえると本質を気づけるようになると思います。
急成長では、新たな機会や利用可能な資源を活用する期間で、短期間で活動します。保全段階では、保守的で資源を効率的に使いながら、長期間活動します。効率化が進むことで各要素間のむすびつきが強くなり、成長率は下がります。システムが硬直して、レジリエンスは低下します。解放段階では、保全が長くなるほど、小さな衝撃で移行しやすくなります。システムが崩れて、制御が弱くなると解放されていきます。再組織化では、不確実性が優位になり、再生の段階になります。
適応サイクルには、フォアループとバックループに分類されます。フォアループは資本の蓄積や安定・保全によって特徴づけられ、システムの安寧を向上させるうえで必要不可欠です。バックループでは、付加期日性・新規性・実験によって特徴づけられ、破壊的変化が起こりやすい時期になります。
システムは階層でつながりを持っていて、各層の振る舞いが階層間に影響します。言い換えれば、階層間の繋がりは双方向に機能すると言えます。また、ヒエラルキーも重要で、システムの振る舞いに影響します。システムを考えるときに、興味のある階層に目が行きがちであるため、状態や応答を意識しながら、全体を俯瞰することが重要です。
レジリエンスな社会の実現
レジリエンスの喪失は知らないうちに起きています。レジリエンスは維持費用が掛かるので、短期的には利益になりません。場合によっては、短期的であるのであれば、効率化したシステムを取るべきであると言えるでしょう。現代社会では、資本主義であり、人は目先に利益を追求する傾向にあるので、最適化したシステムを好む傾向にあると言えるでしょう。
多様性のある組織は、組織構造と機能として権限を持たない組織になります。あくまで、情報収集や議論、合意形成などを共有する場の提供、進行役や調整役、定期的な会合を実現します。バックグランドを理解したうえで、価値観の違いを受け入れていくことが第一歩になると言えるでしょう。