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最好映画

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最も好きな映画を書いてみます。
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2021年2月の記事一覧

最好映画。190 「裏切りのサーカス」 2011年。

渋〜〜い、冷戦下のスパイ映画。ジョン・ル・カレといえば、「寒い国から帰ったスパイ」1965年「鏡の国の戦争」1968年「テイラー・オブ・パナマ」2001年、と映画化もたくさんあるスパイ小説の巨匠。彼の小説の中に登場する、ジョージ・スマイリーを主役としたいくつかのお話の一つが「裏切りのサーカス」です。監督のトーマス・アルフレッドソンはスウェーデンの監督で「ぼくのエリ 200歳の少女」が有名な方。多作ではないんですが、渋いものが多い印象です。特にこの映画は役者が渋い。ゲイリー・オ

最好映画。189 「時の面影」 2021年。

サットン・フー。イギリスのサフォーク州で発見された、7世紀の舟。アングロ・サクソンの文化を証明した遺跡のことです。この映画で初めて知りました。発掘したアマチュア考古学者と、地主である女主人の地味な地味〜〜な物語。夕方と曇天、逆光とローコントラストの美しい映像の中で、原題の「The Dig」に相応しくともかく掘る、掘る、掘る。心優しい老考古学者バジル・ブラウンをレイフ・ファインズ、この土地に何かがあるはず、と依頼する地主エディス・プリティをキャリー・マリガンが演じています。もう

最好映画。188 「I Am Easy To Find」 2019年。

「人生はビギナーズ」「20センチュリー・ウーマン」のマイク・ミルズ監督。ザ・ナショナルのアルバムと同時発表の26分のショートフィルム。モノクロで、ひとりの女性の一生を描いています。「エクス・マキナ」「トゥームレイダー ファースト・ミッション」のアリシア・ヴィキャンデル主演。1ショットで表される各年代の表現がシンプルだけど、わかりすぎてスゴい。アルバム(1時間の内容)なのに、26分なところがスゴい。赤ちゃんから老婆までをアリシア・ヴィキャンデルが合成でも吹き替えでもなく一人で演

最好映画。 187 「mid90s」 2018年。

90年代愛に溢れた映画でした。全編を16mmフィルムで撮影し、1:1.66のスタンダードサイズで仕上げ。VHS-CやHi-8のカメラでスケーターを撮影する文化が始まり出した90年半ばのロサンゼルス・モンテベロ。カッコよかったですもん、どう見ても子どもにしか見えない子たちがスケートに興じているところ。グラフィティやテレビも当時のままにしたというこだわりは、当時ここで生きていたジョナ・ヒル監督。「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」「マネー・ボール」に出てきた、小太りの相棒といえ