見出し画像

最好映画。228 「アメリカン・ビューティー」1999年

初めて観たときの衝撃は忘れられません。タイトルからして「アメリカ」の話かと思いきや、描かれるのは泥くさい家族の話。演劇界からのサム・メンデス監督が、いきなりアカデミー賞の作品賞と監督賞を持っていった、奇跡みたいなデビュー作です。25年前の映画とは思えないくらい、今でも鮮やかな印象を残してくれます。サム・メンデスといえば007シリーズの監督としても有名ですが、私は初期の「アメリカン・ビューティー」「ロード・トゥ・パーディション」「ジャーヘッド」が特に好きです。白い家と青い空、赤いバラという見事な色彩の映像美で、田舎の一家のいざこざを描いています。撮影監督のコンラッド・L・ホールは、60年代から活躍していた人で、「暴力脱獄」とか「明日に向かって撃て」のルック合わせが最高でした。物語は、娘の同級生に恋をするダメ親父、出世欲まみれの母親、そして個性豊かな人々が織りなす家庭の騒動劇。最後の展開には思わず「えっ、そうなる?」と声が出てしまうかもしれません。でも、重たいテーマを扱っているのに、観終わった後はなんだか爽快なんですよね。そこがこの映画の不思議な魅力です。キャストも最好です。ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニングとクリス・クーパーは言わずもがな、ソーラ・バーチとミーナ・スヴァーリのキャラクターも秀逸。トーマス・ニューマンが手がけた音楽がまたいいんです。静かで不穏なんだけど、どこか優しいメロディが物語を包み込んでいます。冒頭の「デッド・オールレディ」が流れると安心するんですが、ネタバレだよなとも思います笑。ちょっと重めの内容ですが、嫌な感じはしないので不思議です。まだ観てない方はもちろん、観たことがある方も、ぜひ久しぶりにこの映画を楽しんでみてください。きっとまた新しい発見があるはずです。

#最好映画

いいなと思ったら応援しよう!

もりぐちのりたか
www.morigu.com のんびりしてます。