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Aux Bacchanales オーバカナルにて

とらやさんで展示を見て栗おこわを堪能したのち、まだ別れ難かった私とTさんはそこから歩いて10分ほどの場所にある、Aux Bacchnales (オーバカナル)紀尾井町店に移動した。

とらやさんの展示の話はこちらに書きました!↓


オーバカナル、私の青春の思い出が詰まった場所だ。

高校3年生の時、日本放送のスぺシャル企画で「小沢健二のオールナイトニッポン」が放送され、オザケンがまだオープンしたばかりのオーバカナルから生中継をしたのを聴いて知った。私は自室で、もちろんカセットテープをセットして録音しながらその放送を聴いた。

カフェのテラス席で収録しているのだろう、ラジオからは原宿の喧騒と、オザケンのハイテンションな声が運ばれてきた。「今オーバカナルにいるからみんな来て!2時間やってるから茨城くらいからでも車ぶっ飛ばしたら来られる!」みたいなノリだ。あいにく車にも乗れないし、地元からは原宿までは2時間では行けない。放送が終わるまで、ここに駆け付けられる高校生がうらやましくて仕方なかった。

大学生になり、初めて原宿のオーバカナルを訪れた時は感動だった!テラス席に座るのは恥ずかしくてとても出来なかった。店内に入って隅の方の席に座りオザケンがラジオの中で飲んでいたサンペルグリーノというお水と、大学のフランス語の授業で出てきたクロックムッシューを注文した。初めて飲んだガス入りの水は思ったより美味しくなかったけど、水にバイト代叩いている自分が誇らしくもあった。メニューが日仏語で表記されていたり、お勘定を席でギャルソンに支払ったりと、まさにフランス式の営業を貫いており、まだ一度もフランスに行ったことのない私にとってそこは疑似パリだった。

フランスが好きだったり、フランス語を学習している人たちは、皆きっとこのカフェには思い入れがあるのではないだろうか?

そんな原宿店はパレフランスがなくなるのと同時に閉店してしまった。私も出産育児で遠出してゆっくりカフェに寄るなんていうこともしなくなってしまった。

その後東京に複数の店舗が開店したとは聞いていた。

ある時、所用で二人の息子たちと高輪のホテルに泊まっていた私は、そのホテルの近くにオーバカナル高輪店があるのを見つけて息子たちと入店した。ケーキと飲み物を楽しみながら息子たちに私のオーバカナルの思い出を語った。高校生の頃に憧れた店にもうすぐ高校生になる息子と来るなんて、とても感慨深い時間だった。

時を戻そう。

Tさんと私はオーバカナル紀尾井町店に入店した。

Tさんは紅茶とクレーム・ブリュレ、私は栗おこわを食べた後にもかかわらず、ディアボロマントとパテのサンドイッチを注文した。

ディアボロ(Diabolo)とはシロップをレモネードか炭酸水で割った飲み物で、パリのカフェでの定番メニューだ。
マント(Menthe)はミントのこと。なのでディアボロマントはミントシロップのレモネード割りである。

パテ(Pâté)とは細かく刻んだ肉や魚をペースト状に練り上げた料理。サンドイッチに挟むのはもちろん、フランスでは前菜としてもよく食べる。オーバカナルのパテサンドイッチにはコルニッション(Cornichons)という小さなキュウリの酢漬けがたっぷりと添えられている。これがとってもフランス的。


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美味しい食事と楽しい会話。それが一番フランス的なポイントかもしれない。ぜひ訪れてみてください!








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新行内紀子(しんぎょうじのりこ)
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