フランス式ピクニックのススメ
Bonjour! 東京フランスかぶれこと新行内です。陸サーファー的にフランスを語っております。
誰かと一緒に楽しい時間を過ごしたいと思い立った時、一番必要なことはいい意味での「アバウトさ」だと思う。
その概念を説明するのにちょうどよいものがある。「フランス式ピクニック」だ。
フランス式ってどういうこと?何か特別な作法でもあるの?と思われた方、ごめんなさい。これはあくまで私が考える「フランス式」である。以下でどういうことかを説明したい。
まず、日本人が「友達とピクニックがしたいな」と思い立った時、どうするか。
まずは一緒に行けそうな人数人に連絡をして、スケジュールの確保をする。あまり急ではいけないので遅くとも10日前までには連絡を入れなくてはいけない。みんなから空いている日を聞いて(調整さんとかを使ったり)なるべく全員が来られる日にする。雨が降った場合に備えて予備日まで押さえられれば尚よい。
日程が決まったら、Googleに「ピクニック 公園 駐車場」なんていうワード検索をかけて、参加者全員が集まりやすい場所を決める。公園の中での詳細な待ち合わせ場所と集合時間も決めておく。
ピクニック前日の仕事終わりには、スーパーマーケットに駆け込みいつもより豪華な弁当用食材や飲み物、参加する人たちで分けられるくらいの量のお菓子を買い込む。帰宅後はリュックサックを引っ張り出してきてそこにレジャーシートやおしぼり、紙コップ、フリスビーや虫よけスプレーや日焼け止めを入れる。
当日主催者は約束時間より早めに集合場所に着き、レジャーシートを敷いて場所取りをする。参加者全員が到着したら乾杯をしてお弁当をみんなで分け合って食べ、持ってきたフリスビーをしたりする。少し暗くなってきたら解散。朝早くから弁当作りをしたので疲れも出てきて、そのまま電車に乗って帰宅。
日本式ピクニックてこんな感じではないだろうか?少なくとも私はピクニックやお花見となるとかなり念入りに準備をする。そしてこれはこれで、とても楽しいのだ。よく準備しただけあって美味しいものも食べられるし、きちんとスケジューリングしたおかげでトラブルに遭遇することもない。しかし根がいい加減な私は少し疲れてしまうことも事実だったりする。
ではフランス式はどうなのか?
まずピクニックをするのを決定するのは前日の夜か当日の朝。友人①と②に声をかけ自分が決めた場所とだいたいの時間、例えば「昼ぐらい」だけを伝える。
出かける少し前になったら、冷蔵庫を漁ってだいぶ前に買った半分だけ使ったハムのパックと、先週ママンにもらったブリーチーズ、今朝食べたバゲットの残りをキッチンクロスに包む。そしてひと房のぶどうと一枚の板チョコレートはビニル袋に入れる。栓を抜いたワインと水のペットボトルを見つけ出し、大きめのトートバッグに入れる。読みかけの本か今朝の朝刊もそこに突っ込み、時間ぎりぎりに家を出る。
約束した公園の花壇のあたりに行くと、友人①と知らない男の人がレジャーシートの上に寝ころんでいる。挨拶をすると、友人①の新しい彼氏だそうだ。友人②の姿は見当たらず。
友人①とその恋人は朝食が遅くてまだお腹が空いていないとのことなので、自分ひとり、持ってきたナイフでパンを半分に割りチーズとハムを挟んでぱくつく。ワインをぐいっとあおってから、近況や昨日観た映画の話をする。友達の彼氏がゴムボールを持ってきたので素手でキャッチボールをしていると友人②から電話があり、今から出ようと思っていたが雨が降りそうだからやめておくと。
雨の情報を聞いて、解散することに。すぐに別れるのは寂しいのでそのまま友人②の家に行って騒ぐことにしよう。
こんな感じで、とにかくアバウトに、無計画に外に出て何もしないことを楽しむ。ゆっくり陽の光に当たり、本を読んだりおしゃべりをしたり自由に気ままに時間を贅沢に使う。これが私が思う「フランス式ピクニック」だ。
私はフランスに行く前まで、こんなピクニックの楽しみ方を知らなかった。
何も気負うこともなく特別な準備をしなくてもよいフランス式ピクニックをするのはとても気楽である。それだけが理由ではないと思うが、フランス人は日本人よりもずっと頻繁にピクニックをする(と思う)。
まだまだ寒い日が続いているが、暖かくなってきたらフランス式ピクニックをしたいと思っている。みなさんもいかがでしょうか?
それでは A bientôt!