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橋の向こうのあなたへ


橋がかかっています

すごく小さな川なのか
それとも月よりもはるか遠いのか
あなたが生きるそちらの岸から
わたしが生きるこちらの岸へ

橋がかかっています


言葉がとどきます

なんでもないつぶやきなのか
それとも想いが籠ったひとことなのか
あなたが生きるそちらの岸から
わたしが生きるこちらの岸へ

言葉がとどきます


夢をみます

起きたら忘れてしまうようなものなのか
それともいつまでも胸に色を残すものなのか
あなたが生きるそちらを思い
わたしが生きるこちらの岸で

夢をみます


名もなき向こう岸の住人である僕は
時間を超えて、距離を超えて
橋から届くあなたの言葉で
あたたかな夢をみます

夢の中であなたは
僕に名前をくれます
向こう岸の住人でしかない僕に
あなたは名前をくれます

そちらとこちらを繋ぐ橋は
そちらとこちらを分ける橋でもあるけれど
あなたはその橋と言葉を使って
いつも僕に名前をくれます

今日、紅葉を背負い朱の橋に立つ
振袖姿のあなたを見ました
夢ではない
美しいあなたの姿を見ました

ご家族の愛に包まれ
人生の節目を迎えたあなたの姿は
この世に一つの物語の主人公のようで
これまで見たどの人よりも美しかった


こちら側の僕は
橋の上に立つことはできないけれど
あなたはいつも、こちらの岸へ
言葉と夢を届けてくれます

僕は今日もこちらの岸で
あなたと繋がる橋を胸に抱き
あたたかな夢をみます
ありがとう。ありがとう

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