世界の日本人ジョーク集 (早坂 隆)
いつも拝見している会社の先輩のブログで紹介されていたので読んでみました。
(p64より引用) 「エスニックジョークとは、他の民族集団と一線を画す独自の社会文化的アイデンティティを持つあるひとつの民族集団成員の行動、慣習、性格、その他集団としての特質を笑うユーモアである」
そこには、各民族に対するイメージがステレオタイプとして凝縮されている。
とあるように、本書は、日本人が登場する世界各地のいわゆるエスニックジョークを中心に収録し紹介したものです。
経済成長期、日本は経済大国というイメージを抱かれていました。
1979年出版されたEzra F. Vogelの「Japan As Number One: Lessons for America」は大きな反響を呼び、そういったイメージ形成に大きな影響を及ぼしました。
そのころの日本及び日本人像を踏まえたジョークです。
(p76より引用) ある時、学校の先生が「象」を題材にした作文を書いてくるよう、子どもたちに言った。
フランス人の生徒は、象の恋愛についての短編エッセイを書いてきた。
ドイツ人の生徒は、象の生態についての分厚い研究論文を書いてきた。
インド人の生徒は、象と宗教の関係について調べたレポートを書いてきた。・・・
日本人の生徒が書いてきた作文は、「象と日本式経営術」だった。
やはりこの時期は、経済的側面一辺倒といったステレオタイプ的日本(人)イメージが、様々なジョークネタになっているようです。
もうひとつ日本以外の国々から異質に見えるのが、いわゆる日本人の国民性、日本人的アイデンティティに関わる姿です。
その典型的イメージが日本人の「集団性」です。以下のジョークは、日本以外の国々のものも上手く特徴を捉えていて“なるほど”と思えますね。
(p110より引用) ある豪華客船が航海の最中に沈みだした。船長は乗客たちに速やかに船から脱出して海に飛び込むように、指示しなければならなかった。
アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄ですよ」
イギリス人には「飛び込めばあなたは紳士です」
ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則となっています」
イタリア人には「飛び込むと女性にもてますよ」
フランス人には「飛び込まないでください」
日本人には「みんな飛び込んでますよ」
ジョークは、話し手も聞き手も周りの人も「そうだね」と共感して、みんな一緒に笑えなくてはならないものだと思います。その笑いは、爆笑の場合もあれば、苦笑いの場合もあります。ただ、兎にも角にもやはりジョークは、その場の空気を和らげ、人と人を近づけるものであって欲しいと思います。
ジョークは、「違う」ということで笑いを誘います。相手との「違い」を知らなくては、それを際立たせたフレーズも浮かびません。
「違い」には善悪や貴賎等の概念はありません。
ジョークと「侮蔑」とは別物です。「侮蔑」は笑えませんし、親しみも生まれません。
ジョークは、会話のスパイスであり潤滑油です。
うまいジョークは、相手に対する理解を深めますし、親近感を高めます。また、自己を映す鏡として自分自身の身だしなみを整えるのに役に立つものだと思います。
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