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盲点力(多湖 輝)
私の幼いころ、強烈なインパクトを受けた本のひとつが「頭の体操」という本でした。
ありきたりの言い方ですが、「発想の転換」によって「目からうろこ」の解法が示され、「んんん・・・」と結構悔しい思いをしたものです。
発想の転換は、ある程度考えが進んだ思考回路の途中からは無理です。そもそものスタートの角度や次元が違うのです。(ちょっと複雑な数式で「解く」のではなく直感的な図で「見せる」というように・・・)
ということなので、「多湖輝」氏の名前には弱く、つい中も見ないで買ってしまいました。
なかなか面白かったのは、「無・能力」or「無能・力」という捉え方。
(p48より引用)能力がないと思えばいじけるだけです。けれども無能を力と思えば道は開けます。なぜならこの力は、「教えを乞う力」であり、「失敗を許される力」であり、「助けてもらう力」でもあるからです。それぞれに命名すれば、「質問力」、「挑戦力」、「協力」です。
だれでも、新しい仕事につくときは「無・能力」ですが、こういうときこそ「無能・力」を発揮するチャンスです。「仏の顔も三度」ということは「二回までは許してくれる」ということです。
よく言われている「項羽」と「劉邦」の違いですが、まさに劉邦はこの「無能・力」を最大限に発揮したひとりといえるかもしれません。
この手の言葉遊び的な「対比」は、多少こじつけ的な感じがしても、一度聞いた人の記憶には確実に残るのです。