狼花 新宿鮫IX (大沢 在昌)
最近、小説はほとんど読まないのですが、この手の小説で唯一能動的に読んでいるのが大沢在昌氏のこの「新宿鮫シリーズ」です。
今回手にした「狼花」は、前作の「風化水脈」から数年ぶり、久々の新作(注:このBlog投稿時)です。
私も、はるか昔はミーハー(今でも本質的には不変)でしたから、大薮春彦氏の「野獣死すべし」「蘇える金狼」といった当時正統派?のハードボイルドにはまっていた時期がありました。映画化されたときの松田優作さんのイメージも強烈でした。
この新宿鮫シリーズの主人公新宿署鮫島刑事の人となりは、「主流を外れたキャリア」という如何にもわざとらしい(当然作為ですが)感じがする設定ですが、それゆえに彼をとりまく登場人物との絡みにおいて多面的な魅力を醸し出しています。
“真っ当なはみ出し者”の強烈なキャラクターです。
舞台も「新宿」というこの手のプロットとしては“直球ど真ん中”の設定ですが、その時々の世相をリアルに取り込んでストーリーに厚みを持たせています。今回も、最近の歌舞伎町の新たな構図をうまくモチーフに活かしていますね。
小説ですから引用して内容をご紹介しても意味がないでしょう。好き嫌いもあるでしょうし・・・。
少なくとも、次の作品(いつになることか?)も、私は手に取ると思います。(ただ、こういう人気シリーズものは、「最初の作品」のインパクトを越えるのはなかなか難しいようですね。それだけ読者側の期待が大きくなっていきますから。)
(注:このブログは、今から15年ほど前に書いたものですが、その後も「絆回廊」「暗約領域」とシリーズ続編が発刊されています)
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