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地図から消えた東京遺産(田中 聡)

 図書館で書架を眺めていたとき「タイトル」に惹かれて借りてみました。

 江戸期から昭和にかけての東京の名所がテーマです。
 数多くの名所の中で、この本が取り上げたのは、今はもう取り壊されたり廃れてしまったりした「かつて名所」です。その名所(東京遺産)が脚光を浴びていたころの様子と今の姿を紹介したものです。

 具体的には、

「1章 文明開化の歩き方」では、
  浅草十二階(凌雲閣)、鹿鳴館、銀座煉瓦街、築地・外国人居留地
「2章 教科書ではわからない東京、教えます」では、
  日本橋・白木屋、巣鴨プリズン、日比谷・進駐軍接収施設、新宿・ムーラン・ルージュ、淀橋浄水場、麻布・東京天文台
「3章 時代劇に出てくる名所に行きたい」では、
  小石川養生所、谷中・五重塔、小塚原刑場、小石川・切支丹屋敷
「4章 あの頃、彼らは若かった」では、
  本郷・菊富士ホテル、田端文士村、池袋モンパルナス
「5章 遊郭という場所があった」では、
  吉原、玉の井、州崎

以上、20の東京遺産について語られています。

 江戸期から昭和の時代までの「遺産」なので、「遺産」といってもまだまだ生々しいものです。どの名所も、その歴史が、そこに生きた人々の息吹とともに紹介されているのですが、特に、「浅草十二階(凌雲閣)」や「吉原」に代表される浅草界隈は、往時の賑わいが髣髴とされました。

 いくつかの場所は結構職場の近辺だったりするので、今の様子と比べながら興味深く読めましたね。
 エピローグでは、お台場の「臨海副都心」が取り上げられています。
どうやらここは、早々と「遺産」の仲間入りをしてしまったようです。


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