親から見た不登校☆ゲスト 佐原 智子さん /今窪 一太(いまくぼ かずた)トークセッション#010
ES-TV note 【2023.1.23ライブ配信】
子どもの不登校を経験して、ママたちの居場所がないことに気づいた
昨年(2022年)の文科省の発表によれば、小・中学校の不登校児童生徒の数は24万人を超えて過去最高になっています。
これは学校カーストやいじめによるストレスなどネガティブな原因もあるでしょうが、それだけではなく、不登校がレアケースではないということから多様な学び方が認知されつつあるというポジティブな原因もあると思います。
さらに加えて、コロナパンデミックの影響もあったのでしょう。
今回は、ご自身が不登校の子どもさんを持つ母親としての経験を活かして「親子の居場所応援ラボ」を立ち上げて代表を務めている佐原智子さんをゲストに迎えてお話をうかがいました。
親子の居場所応援ラボの活動とは
ーーさっそくですが、「親子の居場所応援ラボ」の活動についてお話しいただけますか?
佐原:「親子の居場所応援ラボ」では、主に3つの活動を行なっています。
まず、1つ目ですが、子どもが不登校になると、誰にも相談できずに孤立してしまうお母さんが少なくないんですね。
私自身がそうでした。
お母さんたちが悩みを一人で抱え込んでしまわないように、ママカフェという交流の場を立ち上げました。
毎週水曜日の10時から情報交換や悩み相談ができる交流会を開催しています。
遠方の方はオンラインでの参加もできます。
2つ目は、お母さんたちは進路についてお悩みのことが多いので、進学や学校選びに関する情報を提供する進路セミナーを開催しています。
そして3つ目ですが、学習がうまく進まないというというお母さんたちの悩みに応えて、学習支援活動を行なっています。
息子の突然の不登校で会社を退職
ーーなぜこうした活動をしようと思ったのでしょうか
「親子の居場所応援ラボ」立ち上げまでの経緯を教えていただけますか?
佐原:息子が中学1年生のときに突然学校に行かなくなりました。
最初は、学校に行こうとするとお腹が痛くなって行けなかったんです。
私はずっと働いてきていたんですが、子どもが不登校になって、気が気ではなくて仕事が手につかなくなり、会社を辞めることにしました。
学校に行かないなんてことは、私の中ではとても受け入れられるものではなかったので、パニックでした。
でも、どこに相談して良いのかわからなくて、誰にも相談できずにいました。
子どもが学校に行っていないことを責められるのではないかとか、好奇な目で見られているのではないかと思うと、心のどこかで隠しておきたいという気持ちがあって、誰にも正直に話すことができないまま、悶々とした日々を半年くらい過ごしてしまいました。
息子は学校には行けなかったんですが、家に引きこもっていたわけではなくて、外出することはできましたし、塾にも通えていたんです。
あるとき、塾の先生に「息子さん、ちょっと元気ないようです」というお話をされたので、思い切って先生に、学校に行けていないことを打ち明けました。
そうしたら、先生と、塾のオーナーが、「行かなくてもいいじゃないですか。少し様子を見ましょう。」と言ってくれたんです。
ずっと誰にも言えなかったことを言えたこと、「助けて」と言えたことで、心が解放されて、すごく楽になりました。
息子と二人でマレーシアに学校視察旅行
塾のオーナーの知り合いに、子どもが日本の学校に合わなくて、マレーシアの学校に通うことにして親子で移住した方がいるのですが、その方を紹介してもらいました。
お母さんはマレーシアで留学先の学校を紹介する会社を立ち上げているので、私たち親子も一度マレーシアの学校を見学してみたいと思い、4泊5日で3校ほどの学校を見学するツアーにアテンドしてもらいました。
マレーシアの学校を見学して、観光をして、美味しいものを食べて、気候も良くて、本当にその5日間はかけがえのない日というか、ターニングポイントになったと思っています。
プロジェクト型学習塾
息子が通っている塾はシードハウス湘南台という塾なのですが、プロジェクト型学習塾を特色としていて、「マイプロジェクト」というプログラムがあります。
マイプロジェクトでは自分が好きなこと、やりたいことを書き出していきます。
私の息子は電車オタクで、大きなジオラマ作品とかを作ったりするのですが、それが新聞で取り上げられたこともありました。
それから子どもと大人が真剣に対決するゲーム大会の企画を考えたりもしました。
YouTubeが好きでよく見ていまして、見るだけじゃなくて、小学校の高学年からは見よう見まねで動画作成などにもチャレンジしていました。
当時私はそれを良いとは思っていなくて、やめなさい!と言っていましたが、不登校になってから子どもと一緒にYouTubeを見て、動画の魅力を理解できるようになりました。
そして、息子に手伝ってもらって試しにYouTubeを配信してみたことが応援ラボの前身となり、また、現在の応援ラボの活動の一つである親子の居場所応援チャンネルにつながっています。
シードハウス湘南台は、昼間はコワーキングスペースとして活用され、女性の起業家が集まって仕事をしています。
私は自分が起業するなんて少しも考えてもいなかったのですが、子どもに親の背中を見せることは必要かもしれないと思い、長くやってきた営業の経験を活かして、営業代行の会社を開業しました。
日中私はそこで仕事をして、息子も一緒にそこでマイプロジェクトの企画を考えたりする日を過ごしてきました。
ーー息子さんが鉄道好きという話がありましたが、今窪先生も鉄道ゼミを運営されていましたよね?
今窪:私が勤務していた学校では、毎週金曜日の午後がゼミ活動の時間となっていまして、私は鉄道研究ゼミを担当していました。
鉄道好きの生徒はすごく多くて、一番人気のあるゼミでした。
私はもともと鉄道が好きというわけではなかったのですが、活動をしているうちにゼミの時間が一番楽しい時間になりました。
今思い返すと、好きなことをやれる時間というのは、自信のない生徒たちが自信を取り戻す有意義な時間だったと思っています。
お母さんだけでなく、先生の力にもなりたい
ーー学校の先生との関係はどうだったのでしょうか?
佐原:担任の先生は、すごく真面目な先生だったのですが、毎朝「今日はどうされますか?」と電話をしてくれるんです。
先生としては心配してのことだったんだと思いますが、自分も息子も後ろめたさがあったので、電話が鳴ることが実は怖かったんです。
先生との面談のときに、そのことを話して、「行けるときはこちらから連絡をします」と伝えて了承していただきました。
私が応援ラボの活動をはじめてからは、新聞などでその活動を知って応援してくれましたし、不登校の生徒が増えている状況もありましたので、逆に先生から相談されることもありました。
自分の担任のクラスで不登校の生徒が出てしまうと、先生はかなりたいへんになりますし、そしてまた、先生も誰に相談して良いのかわからなくなる状況があると思います。
そうしたときに私がしているような活動があることを知ってもらえたら良いなと思っています。
新入生の保護者への説明会のときに、応援ラボのチラシを配布してもらったこともあります。
オンラインサロンも運営していきたい
ーー今後のビジョンをお聞かせいただけますか?
佐原:コロナ禍でオンラインにシフトせざるを得ない状況もありましたが、今後はまた対面の交流会やセミナーを増やしていきたいと思います。
しかし、逆にオンラインの方が良いというお母さんもいますので、オンラインサロン的な展開もしていきたいと思っています。
セミナーも積極的に開催していく予定です。
ママカフェに参加しているお母さんたちは、ご自身が得意な分野があって、そうした分野で講座を実施してもらえたらと思っています。
大人がイキイキしている姿を見せることが、子どもにとっても良いことだと思うのです。
それから、高卒認定試験の仕組みでなど、きちんと理解されていないお母さんも少なくないので、そうした情報を提供するセミナーも実施していく予定です。
ーーいざ自分の子どもや、担任のクラスの生徒が不登校になってしまったら、親御さんや先生もパニックになってしまうかも知れません。そうしたときに佐原さんの活動のような相談できる取り組みが世の中にあることをしっておくことは大切なことなのかも知れないですね。佐原さん、貴重なお話、ありがとうございました。(MC:善福 真凪)
最後までおつきあいいただきありがとうございました。
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