湖

湖水にあたる月光は
変わらずとも
月光の映し出す風景は
静かな息吹にゆれている

ボートを敲く湖水は
あたりにひっそりと響き
苦しげに嘆き続ける波
走馬灯のような思い出

現実の裂け目に吸い込まれた
憂鬱な思考の魂は
行き場の無い枯れ果てた心境に
逃げ惑う夢を追いやって行く

想いばかりがつのり
暗闇を彷徨うだけの今
恋にやつれた湖水を
救い出すのは何か

投げられた小石は沈み続ける
私には見えない湖底に届くに違いない
そして眠っている君に呟くだろう
「夢を……、夢を浮かべてください」

私は湖に臨む
湖は私を映す
豊かな湖水に溶けた涙
悲しみは永久に漂う