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雨降り

暑い、暑い猛暑日に
午後から雨が降らないか
そんなことを思っていると

急に暗くなり
空から涙が落ちてきた
少しだけ涼しくなる

こんな日は
ふとさみしくなる
母がいないと実感する

いつも一緒と言われても
もう見えない
それでも側で見守ってくれている

もうひとりぼっちはイヤだよと
こころの中で叫んでいる

みんながやさしくしてくれる
それは思いやり
分かっている、分かっている
母を亡くしたあの人も憂いのある目で微笑んで

ものかなしい夕暮れに
夏を惜しむ蝉が鳴く

もう少ししたら
また降るのだろうか
うす暗い雲が西から動いてる

変わる、変わると言われても
何がどう変わるのか
さっぱり分からない

わたしの周りだけは動いている
わたしは変わるのか
わたしが変わるしかないのだけは分かっている

どうしたら変われるのですか

また庭のオリーブが揺れ出した
今日はアゲハ蝶は見かけない

御霊様はどこに行ったのか

夕暮れの後
雨は本降りになる
わたしは買い物に行く
スニーカーは濡れ
紐は解ける

買い物を終え
リュクの中からものを落とす
「落ちましたよ」と教えられ
ついでに紐の解けを指摘される

紐を結び直していると
お父さんに連れられた幼い男の子がベビーカーから靴を落とす
お節介かと思ったが靴を拾い
履かせようとするが
上手くいかずにお父さんにバトンタッチ

母は子供が好きだった
どんな子にでも
微笑みかけていた

その子には少し障害があるように見受けられた

きっと魂の綺麗な子
わたしはバイバイとその子に手を振る

お父さんだけが頭下げてくれる

子供は親を選んで降りて来る
やさしそうなお父さんは選ばれた人

わたしはまた雨の中を歩いて帰る
幼子は元気をくれる

ちょっとだけあたたかい気持ちになれた

雨降りの日

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ノリかな
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