誕生日
「雪が降る日に生まれたのよ」
私が生まれたのは極寒が一番の大寒の日
しかもそこは雪の降る北陸地方
母の実家の少し奥まった静かな小部屋
座敷では従姉が友達と生まれくる私のことを待ち望んでいた
「男かな女かな、女かな男かな」とくるくる回っていたと言う
夕方の五時過ぎに
私は首に臍の緒を巻いて
仮死状態で泣きもしないで生まれ出た
父は母の実家に身を寄せていたがスキーに行っていたという
ふたりにとっては初めての子である
この間、生まれたばかりの孫っちを息子が抱くように父も私を抱いてくれたに違いない
ふと浮かぶのは、祖父がいて、祖母いて、伯母がいる温かい、懐かしい母の実家
今、そこは荒れ果てた家
ただ従姉がひとりで暮らしている
そうあの座敷で遊びながら私のことを待っていた彼女が
小牧さん
いつもお題をありがとうございます🙏
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