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清々しい残り香

久しぶりにするすると読めた、気づいたら読み終えている

学生時代からの親友が教えてくれた書籍である
彼女はお茶をやっている訳ではないけれど
昔から趣味が合う

わたしは半年前から否応無しにお茶を習い始める
とてつもなく不器用で、不思議なことばかりをやらかしている
お師匠さんには呆れられるより関心されるくらい

それは一年前のお盆のお茶会から始まった
母の新盆でお茶会にいらっしゃいと誘われる
たかを括っていた
作法など全く知らないど素人がポンとひとり、お茶会に放り出される
還紙もない、扇子もない…
わたし以外は皆さんご存知で
頭の中は真っ白白

「日日是好日」は読んでいた
お茶のお稽古の話しである
でも全くの他人事
内容もすっかり忘れていた

日々折々のお茶について書かれている
母が読んでみたいと言うのでわたしが買って母のところへ持って行く

母は娘時代にお茶を習っていた
でも私には知らん顔
私は伯母からそのことを教えられる

祖父は抹茶茶碗でご飯を食べ
半生菓子が好きだった
ハイカラさん
私の記憶に薄っすらと自分でお抹茶を茶筅で立てて飲んでいた

やしろさんは四十年間お茶を習っている
最初はお手伝いをしている方にお茶を教え始める
私は端から呼ばれない
呼ばれた方が大変だ
呼ばれなくていいから

そのうちに年に一度お茶会がある
いえいえ結構
知らんぷり

お社さんは表千家である
お茶に表と裏があることくらいは分かっている

「日日是好日」の著者が表千家だと「青嵐の庭にすわる」を読み、初めて気づく
いかに自分がお茶に興味がなかったか良く分かる

お社さんのお茶会に呼ばれ、お茶道具が無茶苦茶高価な品々だと肌身を持って感じた後にこの本を読み、茶碗一つがウン百万⁇
それは扱い方が雑だと流石にご注意をされると分かるのである

お茶に人生を賭ける
お茶は生き方そのものと言われる
お茶をやる人にはそんな風に感じるらしい

私は母と同じ裏千家のお師匠さんのすずさんとご縁があり
最初の触りだけを教えてもらうことになる
すずさんは「友達には教えない」と言うポリシーを持っていた
触りだけのはずなのに母の帛紗が見つかっていつの間にかハマっていた

すずさんは友達には教えないと言いながら私には二十年計画で私を茶人として一人前にすると言われる

「日日是好日」を書いた時、著者はお茶を習い始めて二十年
映画化決定する時には四十年

一生掛かってもお茶の道を極めることは難しいのか

母の帛紗を持ち
お茶のお稽古をすると
身も心も背筋を伸ばしたように
しゃんとする

母が心を込めて物事をやっていた
その気持ちも分かって来る
少しだけ

お茶は人生
お茶は生き方に通じている

清々しい残り香が私の身体の中を駆け抜けてゆく


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ノリかな
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