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【映画感想】『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』は、ファンが喜ぶものを的確に捉えた"記念碑"だった

劇場版プロセカ、観ました!面白かった!でもだいぶファン向けでしたね!?ネタバレ気にせず書くので一応注意。1週目の通常上映を観ました(後述)。


概要

この作品はモバイルゲーム『プロジェクトセカイ featuring 初音ミク』を原作としたアニメ映画となります。
『プロセカ』はバーチャル空間と心象世界の中間のような存在「セカイ」に住まう初音ミク等のバーチャルシンガーと、セカイにまつわるアレコレによって交流する若者達(5ユニット20人)のストーリーに基づいた楽曲や既存のボカロ楽曲等で遊べるリズムゲームで、若年層を中心に支持の厚い人気コンテンツ…なのですが、楽曲PVに力を入れている反面いままで"ストーリーのある映像化"はほぼされていませんでした。
『ぷちセカ』というショートアニメと、ゲームの周年で今までのストーリーのいくつかのシーンをかいつまんだアニメPVくらいだったので、今回ついに待望のアニメ映画という事になります。
 

先に微妙な点を吐いてしまう

正直言うとストーリーの大筋は悪い意味での王道で「なんかプロセカっぽい話を映画の時間制限でまとめたもの」そのものでしか無いと思いました!
原作プロセカのストーリー自体は面白いのですが、映画でも良くも悪くもいつも通りの話運びで"今回のゲスト"であるバツミク(「謎の初音ミク」の便宜上の表現)と、それにまつわる人々を間接的に救うというあらすじ。
エポックメイキングさというか、「初音ミクならではの仕掛けで逆転!」みたいなのが感じられなかったのはちょっと残念だったかな…
また、基本的に作中人物の紹介が無いので「映画になったからここから入ろうかな」という人には全く向いていない映像作品になっているのも気になりました。私は知ってるからいいんですが…
なので『プロセカ』に触れたことが無かったけどこの映画が気になっている、というのでのであればまずは公式YouTubeに上がっているユニットメインストーリー動画を一本でも見てみる事をお勧めします。

但し、上記の不満点ってこの映画の狙い,ターゲッティングを考えると"そうする必然性"があるので仕方ない要素なんですよね。極端な言い方ですが私がアプリを気軽に遊んでいる超ライトファンで一歩引いた視点で考えてしまった結果、映画としての汎用性(オススメ度 とかそういうステータス)を考えてしまったせいで良くなさそうな部分が先に目に付いてしまったのだと思います。完全に私が悪い。
前段が長くなりましたがここからが本番です。
 

この映画の「本質」

突然ですがこの表を見て下さい。

『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』公式サイト内 劇場情報ページ( https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=pjsekaimovie )より引用

すごく簡略化して言えば特典映像が週替わりですよという掲示なのですが、それにしたって映画本編以外の要素が多すぎます。
・上映前アナウンス
・アフターライブ前アナウンス
・アフターライブ(週替わり特典映像)
・上映後アナウンス
一週目はそれに加えて
・初音ミク舞台挨拶
まであります。週替わり要素のアナウンスのための表なので当然かもしれませんが「映画本編」が肩身狭そうに置かれているのがシュール。
アフターライブは後で話すので一旦置いておいて、各アナウンスについては名の通り映像無しでそれぞれのユニットの各キャラクターが案内をする。という内容でした。
なぜコレをこの段の最初に紹介したかというと、この映画ってこのアフターライブやアナウンスが楽しい人向けの映画だからなんですよね。私は5ユニットの中では「ワンダーランズショウタイム」が好きなのでアフターライブのある2週目に行こうと思っていたのですが、冒頭舞台挨拶が1週目だけなのと上映後アナウンスがワンダショ(上記略語)な事に賭けて1週目に行って大正解でした。上映プログラムの要素が多くて満足感が高い。「わんだほい締め」最高。
つまりモバイルゲームのプロセカで登場人物の事を知っていて、プロセカの世界観に浸かっているファンに向けた映画なので登場人物の紹介なんて省いて問題ないんですよね。ファンサービスに特化した映画なんです。

舞台挨拶の撮影可能フォトセッションの様子。スクリーンの下の方に(おそらく)等身大の小さいミクさんが出てくるのでピントや絞り等撮影難度が高い

で、ファンサービスを中心にするなら「問題が発生する下げ展開の長さをもっと短くしたり無くしたりして、ライブを連発するお祭り映画にしちゃえばいいのに。『KING OF PRISM -Dramatic PRISM1-』みたいにさ。」と素人なので一度思ってしまったのですが、それもまた否なんですよね。何故かというと…

プロセカってそういうお祭りはもう、ライブ興行でやっちゃってるのでわざわざ映画にする必要が無いんです。こういうやつ。

なのでアニメ映画にするにあたってライブではないファンサービスはどういうものになるかというと、
"映画"をやるよ。という劇場体験への補助線としてのアナウンスのワチャワチャと、ゲームの文章&ボイス&立ち絵で普段見ている問題解決ストーリーの中で各キャラの対話やら反応やらイチャイチャやらをアニメ映像で見られるところに最大のダシが出ているんですよね。
そのためには不満点で話した「よくみたプロセカっぽい話」もそうである必要があったという事なんだと思います。まとめると
・完全にプロセカファン向けの
・ライブでは表現しきれない部分の魅力を伝える
ための劇場版アニメとして完璧な作り方をされている作品が、この『壊れたセカイと歌えないミク』なのかな、という結論になりました。

なので煮干しのくだりとか、端にいるネネロボとか、一歌ちゃんのソロ路上ライブとか、天馬家がめちゃデカいとか、ビビバスMEIKOさんがまたウイスキー(ウイスキーではない)を飲ませようとしているとか、ネネロボが回っているとか、会場抑える超有能な雫さんとか、総菜作り置きとか、配信に映るみのりちゃんの腹部とか、ちゃんと補助AIしてるネネロボとか、汽車を操る妙にカッコいいワンダショKAITOさんとか、愛莉ちゃんさんの全部とか、いつものカフェの店構え別角度で見るとこんな感じなんだとか、何組かいる兄妹とか姉弟とか姉妹とかが家でどういう距離感なのかとか、ペンギン過多の部屋とか、そういうのが見られて嬉しい~~ッてなる映像こそがこの映画なんですよね。
 

それはそれとして楽曲コンテンツなので

ただ、プロセカは楽曲とライブが一番のウリなので、映画本編のP.A.Worksによる圧巻の2D作画ライブと、(おそらく)セガ3D班によるスクリーンをステージに見立てたアフターライブライブ二連撃もしっかり楽しい構成になっているのがとても良かったです。さっきライブは別でやってるからとは言いましたが、プロセカはここが本命なのでしっかりしたものが見られて嬉しい。途中で群青讃歌がかかったのも良かった。あっ何故かマルチプレイ会のシメにやることになってるあの曲だ!
今回のゲストキャラであるバツミクの歌のフレーズを元に各ユニットの個性を載せた5つの楽曲と、それを受けて完成した元バツミクの歌、毎週来て欲しいからアフターライブを週替わりにしたんでしょうけど上映期間終了間際にでも全ユニットのアフターライブやる特別上映やりませんか!?!?
ただ応援上映でない通常上映でもアフターライブのペンライトOKなのはもっと告知して欲しかったです!知っていたら持って行ってたので!
1週目の特典CDは私が観に行ったときには既に配布終了していました。観る前は別に気にしていなかった(そもそも普段使いするCD再生機器がもう家に無い)けど、観た後だと配布終了する前に行って貰っておきたかったな~と思うくらいには良い曲揃いでした。まあ特典配布CDはランダム一曲らしいですが…
 

おわりに

というわけで劇場版プロセカ、万人にオススメは出来ませんがプロセカキャラを知ってさえいれば満足感が高いのでプロセカをやっている,やっていた,配信等で見た等でプロセカに触れた事が一度でもあるなら見ておいて損はしないと思います!

こういうのが入口でもいい。

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