タガログ語の語彙を増やすためにおすすめの教材
どの言語の勉強であれ、語学の勉強で重要なのは、勉強している言語の文法を習得することと語彙を覚えることです。
それがたとえ中学校の英語の授業であっても、大学の第二外国語の授業であっても、ビジネスで必要に迫られて勉強する言語であってもです。
この記事では、私が現在東京外国語大学オープンアカデミーで教えているタガログ語について、語彙を増やすためにおすすめの教材を2つ紹介します。
語学において語彙を増やすことの重要性
どんな語学の勉強も、文法をしっかり習得することと、語彙 (ボキャブラリー) を覚えることが大切です。
その言語でどのようにして文を作るのかを理解すると同時に、文を作るための材料である語や表現を手に入れるということです。
特に初歩の段階においてはそうですね。
文法と語彙の習得は語学の二本の柱です。
この語学における大きな柱のうち、文法については勉強する機会がたくさんあります。
たとえば、学校や大学の語学の授業を受ければ、文法については一通り勉強することができます。あるいは、 語学教材を自習するなら、それを読んで勉強すればいいだけのことです。
一方で、語彙の勉強は難しいこともあります。
簡単な方法は、文法を勉強しているときに出てくる単語を覚えたり、何かを読んでいる際に出てきた単語を辞書を引いて覚えるなどです。
しかし、この方法ではたくさんの単語を一気に覚えるということや関連する単語を一度にまとめて覚えるということがなかなか難しいです。
そこで必要になってくるのが語彙に特化した語学の教材です。
今回は、私が東京外国大学オープンアカデミーで教えているタガログ語 (フィリピノ語、フィリピン語) について語彙を増やす教材を2つ紹介します。
タガログ語の語彙を増やす教材
タガログ語の語彙を増やす教材の一つ目はこちらです。
山下美知子・Leith Casel (1989)『フィリピノ語基本単語2000―聴いて, 話すためのー』東京: 語研.
この本は東京外国語大学でタガログ語を長らく教えていらっしゃた二人の先生によるフィリピノ語 (タガログ語) の単語帳で、とても信頼できる内容の本です。
簡単な文法解説のあとに、「人やものをさすことば」「たずねることば」など同じような意味の単語がまとめてあり、体系的に語彙を習得することができます。意味だけでなく発音もきちんと書いてあり、正しい発音も習得することができます。
タガログ語の体系的な勉強をしたい方、読解などに将来的に取り組んでみたい方にはこちらがおすすめです。
もう一つはこちらです。
白野慎也 (著)・朝倉千夏 (イラスト) (2005) 『旅の指さし会話帳14 フィリピン (フィリピノ語 <タガログ語>)』 第2版, 旅の指さし会話帳シリーズ. 東京: 情報センター出版局.
言わずとしれた語学本のシリーズの本です。旅行でフィリピンを訪れたことを想定して場面ごとに関係する単語がたくさん掲載されています。
このシリーズの他の本と同様に、かわいいイラスト付きです。料理名など単語だけを覚えようとすると飽きてしまうようなものも、イラスト付きなら簡単に覚えられるでしょう。
こちらはフィリピンを旅行するためにタガログ語を学んでいる方におすすめです。
どちらが自分にあっているかはタガログ語学習の目的によると思うので、書店や図書館で手に取ってくらべてみたり、そもそも安価なので両方購入してみたり、お好きな方を選んで使ってみてください。
私は両方を使って勉強しました。
語彙を増やす教材の使い方
これらの語彙に特化した教材を使うポイントは2つあります。
まずは、繰り返し使うことです。
この記事を読んでらっしゃるほとんどの方がご存じのように、語彙を覚えることはなかなか簡単なことではありません。何度も繰り返し勉強して覚える必要があります。
今回ご紹介した2つの教材は、語彙を場面ごとにきれいに分類してあるので、その場面ごとに使ってみて練習するのがよいでしょう。
次に、文法と合わせて勉強するということです。
いくら優れた語彙の教材といっても、文法を一緒に使うことができなければ意味がありません。語彙を勉強する際には文法も合わせて勉強することにしましょう。
そうすれば、 相乗効果でその言語がとてもうまくなるでしょう。
一方で、おすすめしない使い方は語彙の教材を辞書がわりに使うことです。
これは、辞書があまり簡単に手に入らない言語の学習でやってしまいがちなパターンです。 タガログ語でも時々そういうことをしてしまっている学生を見たことがあります。しかし、この方法はあまりおすすめめできません。
確かに語彙の教材はたくさんの単語が載っていて、それなりに簡易的な辞書としても使うことはできるのですが、単語集では単語の意味の一部しか掲載されていない場合が多く、発音などの情報も載っていません。
したがって、語彙の教材は辞書として使わず、辞書は辞書で別に用意して使う方がよいです。
なお、タガログ語の辞書の選び方についてはこちらの記事に書いたので参照してみてください。
語彙を増やして語学を楽しもう
語学において語彙を増やす勉強は、最も根本的なものであると同時に、最も苦痛なものです。
一方で、語彙がたくさんあれば、勉強している言語で自分について、あるいは世界についてたくさんのことを表現できるようになります。
その意味で語彙の勉強は、語学において最も役に立つ部分でもあります。
今回紹介したような語学の教材を利用して、みなさんも語彙を増やしてみてください。