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ファロ!~コエントロについて語るとき in ポルトガル~【サポート飯】
アンダルシアで数日過ごしながら、次はどこに向かおうか考えていた。
1週間後にはフランスのボルドーで友達と待ち合わせをしていたので、西ヨーロッパあたりでどこか1週間くらいを過ごせる場所がないかなと考えていた。アンダルシアから南下してジブラルタル海峡を渡ってアフリカ大陸に移動するのは過去にやったことがあるし、マラガ、コルドバ、グラナダも前に行ったことがあるし、どこか行ったことのない場所でわくわくしそうな場所はないかなあとGoogle Mapsを見ながら探していたら、アンダルシアってポルトガルにめっちゃ近いやん、ということを発見。
よし、セビージャからバスを乗り継いでリスボンに行ってみるか。
思えば、ポルトガルの道を2週間近く歩いていたというのに、ポルトから北しか行ったことがなく、首都リスボンを無視するのはポルトガルに失礼じゃないかという気がしてきた。首都はどの国も人が多すぎて苦手なのだが、ポルトは2回訪れるほどお気に入りの町になっているし、リスボンというビッグシティーとはいえきっと気に入るんじゃないかという予感がある。歩いてポルトガルから大好きなスペインにやって来たというのに、またもポルトガルに向かうことにした。行ったり来たりしていて、旅の効率としては悪いが、思いのままに移動しているからいいのだ。
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そんなわけで、スペイン、セビージャから、ポルトガルの首都リスボンに向けてバスで出発。直行でリスボンに行ってしまうのはもったいない気がしたので、海沿いのどこかの町まで行って、そこで1泊するプランにした。長距離国際バスのHPで調べると、セビージャからポルトガルのFaro(ファロ)というところまで行くバスが、ちょうどいい時間に出ていることを見つけたので、ファロまで向かうことに。ファロに何があるかはよく分かっていなかったが、長距離バスが停まるくらいの場所だから、何か見どころは有るんだろうなあと思いつつ、なくてもポルトガルの道を歩いてきた中で出会った海沿いの小さい町はどこも素敵だったので、ゆっくりできればいいやと思った。なんせ、ファロという名前が良い。バスの中でファロについて調べると、ファロはポルトガルのアルガルヴェ地方にある都市で歴史的な建物や美しいビーチがあり、旧市街は世界遺産に登録されているとのこと。アルガルヴェ地方はアサリをはじめとする海産物が名物らしい。これはしっかりと「アサリ=Amêijoas」とメモした。天気は怪しいが、ビーチでのんびりピクニックをしてもいいなと思いつつ、夕方にファロに到着。
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夕方にファロに到着しお腹も空いたので、ポルトガル再入国記念として、サポート飯でご飯をごちそうになろうと思います。
ごちそうしてくださるのはgonewiththewindさん(風と共に去りぬさんと勝手に呼んでいます)。
過去の巡礼のnoteを楽しんでもらえたようで、サポートをしてくださいました。
ありがとうございます!
今回、ポルトガルの道の巡礼の旅を終えて、またポルトガルに戻ってきたタイミングなので、風と共に去りぬさんにごちそうしてもらうことにしました。
それでは美味しいごはんをいただくことにして、サポート飯ってこともあり、ちょっといい店をチョイス。
ファロはアルガルヴェ地方でアサリを中心とした海産物を使った料理が名物らしいので、どうしようかな。
迷った末、お米が食べたい気分もあり、Arroz de mariscos(シーフードの炊き込みごはん)に決めた。
注文は2人前からと言われたが、「私ぐらいの胃袋を持っていれば一人でも全然2人前いけるもんね」という自信を持って注文した。
一人旅のつらいところは、料理によっては一人で食べきれないものがあることだけど、長距離バスに3時間揺られた私のお腹はペコペコなので、自信満々に2人前の炊き込みごはんに挑む。
その前に、今宵はアルコールではなく生絞りオレンジジュースを1杯いただく。
ポルトガルの巡礼旅で、何度も飲んできたオレンジジュースが美味しくて思い出深い象徴となっているので、ポルトガル再入国の記念である。
スペインで飲んできたものよりも甘くて嬉しかった。
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CARPE DIEM
今を生きる
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そして2人前のArroz de mariscosが運ばれてきた。
意外と小さいサイズであった。何事も自信を持つことはいいことだと思った。
アサリ、ムール貝、エビがドーン!
おっと、スペインで見かけるマテ貝(Navajasと言って細長くて弾力がある貝。スペインでよく食べた経験あり)も入っている!
そして、上にはどっさりパクチーが乗っている。
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パクチーについて。
ヨーロッパではあまり見かけないパクチーが、ポルトガル料理では割とよく使われている。
大航海時代に、アジアからポルトガルに持って帰って来たのだろうと勝手に思っていた。
今の今までそう信じてきたけど、今Wikipediaで調べたらパクチーの原産はポルトガルやスペインの南ヨーロッパや地中海沿岸部らしい。
なんと!
私の想像とは逆だったらしい。
ポルトガルでポルトガル料理を食べるたびに、アジア料理との味の雰囲気(方向性?味わい?)の共通点を感じることがあり、ポルトガルが世界中を航海して集めて、いろんな文化をミックスしたのだろうというイメージで、ポルトガルで勝手に壮大な世界のロマンを感じていたが、パクチーに関してはこれが間違いだったと判明。
ポルトガルから海を越えて持って行ったのか?
いやエジプトからシルクロード経由か?
スペインやポルトガルが中南米の方へ持って行ったという説はあるが、アジアはよく分からない。
ちなみに「パクチー」はタイ語で、英語で「コリアンダー」、スペイン語で「シラントロ」、中国語で「香菜(シャンツァイ)」ということは知っていた。(なぜなら私はパクチーが苦手で、旅先で現地の言葉で「パクチーを抜いてください」と言う場面が多かったから。)
そして新たにポルトガル語では「コエントロ」ということをこの店の店員から聞いて学んだ。
さらに新たな情報として、今見たWikipediaによると、日本での名前は「こえんどろ」。
こえんどろって、完全にポルトガル語のコエントロから来ているではないか。そうなると、日本へは鎖国前に南蛮人が持ち込んだ可能性が高い。
こえんどろは昔から日本にあったけど、パクチーはタイ料理ブームで日本にやってきたから呼び名が違うということか。
エスニック料理の代表がパクチーというイメージだったが、ポルトガル近辺が発祥だったとは。
なんと。
新たな発見であった。
世界の食文化の広がり方や文化の混じったものはやっぱり面白い。
パクチーの考察は横に置いといて、パクチーはあえて横に置かず食べてみることにして、実食。
では、風と共に去りぬさん、
いただきます!
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パクチーはヨーロッパの果てで食べても、ちゃんとパクチーの味だった。いやコエントロの味だった。
そして、貝がプリプリしていて美味しいし、トマト味のリゾットのような炊き込みごはんが味わい深い。やっぱり、お出汁を重視する和食との親和性をなぜか感じるんだよね、ポルトガル料理。スペインのパエリヤと似ているようで味が違う。パエリヤの方がサフランとかパプリカの味が強いけど、ポルトガルの炊き込みごはんはもう少し優しいトマトリゾットな感じ。
海鮮から出る出汁で炊いたごはんと、具沢山シーフードを2人前一人でペロリと平らげました。
ごちそうさまでした!
次の日にファロの町を散策。
ビーチのどこかでピクニックをしようと思って、パンとアンダルシアで買ったシェリー酒のジャムや、オリーブオイルやトマトピューレやバナナを持って海岸沿いに来てみた。そこに、近くの島のビーチまで行ける船着き場があったので、適当な島を選んでボートに乗って、ビーチへ向かってみた。
島に着き、ビーチでピクニックをしようといろいろと食糧を広げてみたが、バターナイフやスプーン類を忘れてきたことに気づいて、困ってしまった。小さなジャム瓶からどうやってジャムをつけようか…。パンを突っ込むにしても小さいし。
悩んだ挙句、細長い貝殻を見つけたので、それをジャムスプーン代わりにして、ジャムをすくったり、トマトピューレを塗ったりした。
貝殻でジャムを塗る自分に「私って天才やん」「人類、何でも工夫から始まるわ」と自画自賛し、また一つ自由になれた気がして、よく分からない感動があった。
しばらくすると空がどんよりしてきて、風も強くなってきて砂浜の砂が目に入ってくるというポルトガルの道を思い起こさせるような、嫌な雰囲気になってきたのでビーチからは撤退。
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オリーブオイルと塩も持ってきている。
そういう準備は万端。
パンとバナナ2本で80円の世界。
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私の旅あるあるなんだけど、なんでか知らないけど旅の間は
親指の爪がいつもどこか割れているし、さかむけ(ささくれ?)が酷いし、指がしわしわ。
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それからボートでファロの町に戻り、旧市街をブラブラして、大好きなジャカランダの花を見て懐かしくなり、コウノトリの巣を見つけてもまた懐かしくなり、スペインの巡礼を思い出す。
どちらも4~5月のスペインの巡礼路を歩いた時に出会って、印象深い思い出となっている。桜の代わりに、紫色のジャカランダの花が満開になっているのを見ると目を奪われたし、巡礼路の教会の屋根の上などにコウノトリが巣を作っているのを初めて見たときにはとても驚いた。
その後に、スペインで割とよく見かける風景だということを歩き旅の中で知り、ポルトガルのファロの教会で見つけたときには、これはまたえらく立派な巣だねえと感心してしまった。
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スペイン語ではハカランダ
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休憩がてら、ポルトガルのB級グルメらしいビファナを食べた。豚肉だけを挟んだサンドイッチ。カチョリーニョよりもシンプルに肉で良い。ポルトガルグルメのこういうところが大好きである。
ラーメン屋を見つけたので無性に食べたくなったが、日本で何杯ラーメンを食べられるねんってくらいの高級ラーメンだったので、断念。
ラーメンにとりつかれた私を、BANZAIヌードルが格安で救ってくれた。海外でカップ麺を買って食べるたびに思うことは一つ。
「日本の日清の技術の素晴らしさ」
これに尽きる。
しかしそれを確かめるがごとく、節約系バックパッカーは、これからもしょっちゅうあちこちの国でカップ麺を食べるのであった。
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爪の上半分は皮膚のみです。
ファロの町は、事前情報が全くなしでも思ったよりも楽しめた。
さて、次はいよいよポルトガルの首都、リスボンへ。
リスボンは行きたい場所だったのに、なぜかタイミングに恵まれず訪れないままだったから、ようやく行けるのが楽しみである。
続く…
サポート飯、gonewiththewindさん、ありがとうございました!
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