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都会を抜けて、お祭りの町へ【ポルトガルの道#7】
ポルトガルの道、歩き旅7日目。
今日でポルトガルのポルトから歩き始めて1週間である。
「ポルトガルの道」という名称だが、すでにスペインに入っている。
今日歩く道は、これまでとは少し趣が異なる。旅仲間の巡礼者たちもいつもよりも少しワクワクしている雰囲気があった。何が違うかと言うと、ルート上に大都市があるのだ。
世界多分一周旅中ではあるが、私のライフワークともいえる歩き続ける旅「カミーノ」を、長旅の途中に組み込んだ。
通称「カミーノ」とは、スペインの北西にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラという町の大聖堂を目指して、そこへと繋がる巡礼路がいくつもあり、道ごとが世界遺産認定されている美しい道。2015年~2017年に「フランス人の道」というフランスから東西に延びる800㎞のメジャーなルートを歩き通し、次に2019年と2023年にフランス国内のルート「ルピュイの道」を少しずつ歩いていた後、私が選んだのは「ポルトガルの道」。
世界一周の旅の途中にポルトガルのポルトに飛び、そこから海岸沿いのルートをずっと北上して、スペインへと国境を越えて、270㎞先のサンティアゴを目指して毎日歩く。その記録。
マガジン「380km歩き旅!ポルトガルの道」にまとめています。
スペインのガリシア州最大の都市、Vigo(ヴィーゴ)に立ち寄ることになる。前日に宴会をしたコリアン夫婦は、ヴィーゴにある韓国料理屋でキムチを食べて、少しいいホテルに宿泊するのを楽しみにしていた。
私はと言うと、大きな街は通り過ぎて、あえて小さな町や村に宿泊することを好んで歩いてきている。人が多いところは好きではないし、宿の争奪戦が激しくなるし、物価も高くなるから、さっさと通り過ぎがちである。
とは言え、1週間ぶりの都会なので、少し心も躍る。都会の店をのぞいたり、大型スーパーを冷やかしたり、雑貨屋でしょうもないものを買ったりしたい。メインで使っていたiPhoneの充電ケーブルが断線してしまって使えなくなったから、ケーブルも新調したい。海岸沿いや田舎の町ばかり歩いてきたので、ひと時のシティライフを取り戻したい。そんな思いでvigoを目指して出発した。
いつものように6時前後に出発すると、vigoに早く着きすぎて、どこも店が開いていないことになるので、せっかくの都会でそれは避けたいと思い、ゆっくり7時に起きて出発した。
海岸を少し離れ、山の中に入っていく。サンティアゴまであと116㎞のサインを見つけた。今日はどこかであと100㎞のサインに出くわすはずなので、記念に写真を撮りたいと思い、いつもよりもサインに書かれた残りの距離に注目しながら歩くことにした。山の上から見下ろす海も、また別の良さがあるなと思いながら進む。
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私の大好物というか、中毒にもなっているチーズとろりん(ご存知ない方は#1に戻ろう)がそろそろ終了しそうな気配。都会のvigoでチーズとろりんを何とか探して追加購入したいところ。都会への期待が半端ない。
途中の果物屋でさくらんぼを買ってボカディージョとともに食べる。
食糧不足にもなりつつある。
毎日毎日、食糧と向き合って、歩く距離と向き合って生きている今日この頃。
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町にグラフィックアートの落書きが増えてきた。
大型団地も出現し始める。
歩いて田舎町から大型都市に近づいていく時に目立ってくる特徴である。
スペインのカミーノを初めて歩いた9年前に学んだことだ。
そういう町のつくりなども感じることができるのが、歩き旅の面白さでもある。
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海岸沿いに沢山の建物や大きなスタジアムが出現。
大都会vigoに着いたらしい。
何でも自分の知ってるものに例えたがる大阪人的発言をするなら、神戸の街みたい、と思った。まだ午前中だったので人は少なかったが、沢山の店が並んでいた。ハイブランドの店も沢山ある。私はというと、まずはスペインに来たら必ず通う雑貨屋ALE-HOPへ一直線に向かった。事前にGoogleで調べてあったので、迷わずに行けた。安くてかわいい雑貨屋のチェーン店で、マドリードでは、ちょっと歩けばすぐにALE-HOPの牛に出くわす。その牛に久しぶりに再会できて、嬉しかった。
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それから、大型スーパーDiaへ。
焼きたてのパン、いろんなお菓子、食品、コスメ、日用品など、あるわあるわの世界。スペインのスーパーに必ずと言っていいほどあるオレンジジュース生絞りマシーンにも久しぶりに会ったので、喜び勇んで購入。238円とポルトガルよりも少しだけ高くなったが、大満足。ただ、以前にカミーノを歩いていた時にも感じたが、ガリシア州のオレンジジュースはやはり酸っぱい傾向にある。なんでだろう。以前も思ったのだが、答えは見つかっていない。でもスペインのオレンジジュースは酸っぱくても不思議と美味しくて好きだから、良しとする。
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最近、全自動のオレンジジュース生絞りマシーンが大阪にもあちこちに見られるようになった。1回だけ買ってみたが、高かったしスペインほどおいしいと思わなかった。
やはり毎日8時間以上歩かなければ感じられないおいしさがあるのかも。
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ランチの時間帯になったら、異常に人が増えてきたので、逃げるようにvigoの街から出た。vigoに泊まって都会の生活を1日だけenjoyするチャクちゃんと山Pのコリアン夫妻に「ええ?まだあと13㎞もこれから歩くの?」と驚かれながら見送られた。今日で彼らよりも13㎞先まで歩くため、距離の差がかなり出てしまうので、もしかすると、もう道で会えないかもしれない。
この先にくる分かれ道で、彼らはメインルートを選び、私は9割の人が選ぶらしいメインルートではなくスピリチュアルの道の方を進む。
「次に会うのはサンティアゴ(ゴール地点)かもしれないね」「また会おうね」「その頃には山Pはきっと感動で泣いてるね」と言い合って別れた。
巡礼路は出会いと別れの繰り返しである。
だけど、Instagramという文明の利器を使って私たちはお互いの日々の様子を共有し合えて、励まし合うことができるから、都会の素晴らしさも文明の利器も悪くないなと思った。
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残り、96.44㎞。
え?!
二人と別れて、vigoの街を抜け出すのに時間がかかり、ぐるぐるしていたら、うっかり100㎞のサインを見落としてしまったようだ。記念すべき残り100㎞のサインはどこにあったのだろう…。知らない間に96.44㎞になってしまって、少し肩透かしを食らった。やれやれ。
都会のvigoのイケてるレストランでのランチは諦めて、ハンバーガーを食らうことにした。自分でチーズとろりんを塗って、カスタマイズ。ボカディージョ続きだったところに、ハンバーガーを挟む(ハンバーガーだけに)と、ハンバーガーの良さに気づいた。パンが柔らかくて食べやすいのである。当たり前のことを大発見のように驚きながら食べていたら、ロシア人の友達デンが現れて「ハンバーガータイム?君は常に何か食べてるね」とクールな顔して言って去って行った。
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大阪人なのでまた知っているものでつい例える癖が出てしまうが、ここの景色は明石海峡大橋と淡路島みたいだな、と思う道を進む。兵庫県に偏りがちな本日の例え。
ズンズン進んで、今日の目的地Redondela(レドンデラ)という町に到着。
いつの間にか、サンティアゴまで残り87㎞になっていた。
なかなかいい感じの宿で、そんなに大人数が泊まれないちょうどいいサイズ感。宿の中は、キッチンもシャワー室もベッドも、全てが飛びぬけて清潔でびっくりした。どこもかしこもぴかぴかで、チェックインしたときもオーナーが床を磨いていた。ベッドも、シーツが綺麗で荷物を置くスペースなども機能的でとても良かった。
居心地の良さに私がいちいち感動していた時、ソファーに、日本人に見える女性がスマホでNetflixの韓国ドラマを見ていた。声をかけようかと思ったが、ドラマに夢中だったので声をかけずにいたのだが、私がシャワーと洗濯を終えてもまだ彼女はドラマに釘付けだった。
1人のアメリカ人の女性が私に「韓国人?」と聞いてきたので、日本人だと答えると、自己紹介をし始め、そのアメリカ人のジェーンがそこらにいる人たちの紹介までし始めてくれた。「彼女が友達のアメリカ人のシャーリーンで、そこにいるのがシール、韓国人よ。」と言い、ドラマに夢中だったシールがようやくこちらを見て、「ハロー」と言ってかわいく微笑んで、すぐに視線は韓国ドラマに戻った。
ちなみに韓国ドラマはチラッと見たところ、「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」だった。私もそのドラマを全部見たから分かるが、なかなか目を逸らせないストーリー展開だから、夢中で見るのは仕方ないと思った。それがシールとの出会いだった。
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気持ちがアガるからカラフルな小物はいいよね。
それから、ジェーンとシャーリーンから、「今日はレドンデラで大きなお祭りがあるのよ」と聞き、フェスティバルのパンフレットを見せてもらった。
私は、お祭りが行われるタイミングに合わせて旅先を選ぶことをよくやる。世界のお祭りシリーズとして、宮川大輔と張り合えるくらい、いろんな祭りを楽しんできた。しかし一方で、こういう小さな町で開催されるお祭りにも、偶然出くわすことがよくある。
これは私に、お祭り運があるのかなと思っていたのだが、最近は少し見方が変わってきた。
世界中のあちこちで、毎日いろんなお祭りが行われているのだなと考えるようになった。毎日、広い世界のあちこちで人が死んで、あちこちで人が生まれ、あちこちでいろんな結婚式があって誕生日があって葬式があって、あちこちで祭りが開催されている。
それが人間の営みで、ハレとケのバランスの間を縫うように無職の長期旅行者は旅をして移動しているから、祭りに出くわす確率が高いのだろう。そんな考えに至った。
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小さい町をマーチングバンドが演奏しながら練り歩き、音楽と笑顔にあふれた祭りだった。
途中美味しそうなパン屋を見つけると、デンがコーヒーを飲んでいて、「一緒にどう?」と誘われたが、宿に帰ってゆっくりしたかったからこの日は断り、宿で簡単な晩ごはんを食べた。
昨夜は宴会で食べ過ぎの飲み過ぎだったため今日は軽めにし、韓国ドラマを見終えたシールと一緒におしゃべりをした。明日はシールのおすすめの宿を予約した。シールから、「明日の宿は大人数収容型の広くて大きい宿で、共用のキッチンがあるから、晩ご飯を作ってあげるから一緒に食べよう」という嬉しいお誘いを受けた。シールちゃんが言うには、大人数の巡礼者が泊まる宿には必ず余った食材を無料で使っていい制度があるはずだとのこと。調味料や野菜、米などが無料でもらえるコーナーがあるはずだから、明日は米を炊ける、一緒にお米を食べよう、とアジア人同士で盛り上がった。
韓国ドラマを見終えたシールちゃんはとてもオープンマインドで感じのいい同世代の女性だったので、この夜も一緒に楽しく過ごすことができた。
毎日毎日、1人で歩いて誰かと出会って、誰かとごはんを食べて誰かと仲良くなり過ごす日々。サンティアゴまでの残りの距離が二桁になったので、終わりが少し見えてきた。終わりを意識する中で、こんな日がずっと続くのも、それはそれで楽しいなと思えた夜だった。
そしてまた思うことは、クリスティーナとデイヴは一体どこにいるのだろうということ。
同じ道を歩いていて同じ目的地に向かって進んでいるのに、あのヘビの宿以来会えていない。スペシャルを感じられた2人だったのに、連絡を交換し忘れて、また会えるものだと思って別れてしまったことを後悔している。
会いたいな。もう会えないのかな。
いつかまたどこかで、私とクリスティーナ、デイヴとの道が重なる時が来ることを信じて、明日もまた歩こう。
そう思って眠った。
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スペイン名物YATEKOMO(カップ焼きそば)
フラン(スペインのプリン)4つ、
ツナのパテ、バゲット。
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ポルトガルの道7日目。
SaiansからRedondelaまで。
44,000歩、30km、9時間。
ポルトから193km進んで、
サンティアゴまで残り87km。
本日の宿↓
本日の必需品↓
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カメラ、イヤホン、タブレット、モバイルバッテリー、iPhoneの充電をいつも大体3つくらいは、これ一つで一気にしてた。
もう売られてないので、Amazonの紹介は2口タイプのになってます。
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![のりまき](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/22390255/profile_a19e0ca41f9b11b93ce464844cb1d8ac.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)