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立山、雷鳥沢で食べる夏休み
3年ぶりに帰ってきた立山、雷鳥沢キャンプ場。
ここに来た一番の目的は剱岳に会うことだが、同じくらいの目的として、この地で立山に抱かれながら、いろんなものを食べること。
わざわざ重い荷物を背負って、大阪からはるばるこの地にやって来た。
剱岳に会いに行きつつ、わざわざお湯を沸かしてラーメンを食べたり卵サンドを食べたり、親子丼を食べたりをした。
剱岳に会いに行ったハードな一日の翌日以降の、立山での過ごし方(食べ方とも言う)を旅の相棒カメラGRで紹介したい。
まずは朝。
テントの中で寝袋に入って少し寒さを感じながら眠りつつ、朝になると気温が上がってきて、寝袋のファスナーを開けて2度寝。ダウンジャケットを脱いで3度寝。トイレに行ってダウンパンツを脱いで4度寝を重ねる。
とにかくいつも、キャンプ場で一番遅くまで眠る大会、連続優勝の私。
それでも立山では、私にしては早く目覚める朝10時前。気持ちいい。
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12時頃に昼食を食べる予定だったので、簡単に済ませる朝食。
献立:
・塩昆布のおにぎりに、ごはんですよを添えて
・ジョンソンヴィルととろけるチーズを挟んだホットドッグ
・セブンイレブンのポテトサラダ
・ピーチティー
ちなみにおにぎりとホットドッグはアイラップに入れてお湯で温め直すという手間は惜しまない。
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塩昆布の混ぜ方、味付け海苔の巻き方はワイルド(いいかげんとも言う)な仕上がり。
なんてことない献立も、立山に囲まれて涼しい気温の中食べると最高だなとしびれる。ちなみに普段の生活では朝食抜きのライフスタイルだが、旅に出るととにかく朝食にこだわりたい人である。
朝食を食べてから、ゆっくり準備をして、狙っている昼食場所へ出発。サブリュックには温泉グッズも入れている。また、雨予報も出ているからレインジャケットもin。立山はガチ登山以外にも散策と温泉を楽しめるから、そこも好きなところである。
と言いつつも、雷鳥沢キャンプ場から脱出するためには地獄の上り坂があり、絶望の階段を上り続けなければいけない。この時ばかりは、雷鳥沢キャンプ場のこの立地を恨んでしまう。
ヒイヒイ言いながら坂を登り切り、いつもの雷鳥荘に到着。後でカフェと温泉に寄るため、営業時間とメニューを確認。牛丼があることを把握し、夜は牛丼もありだなと狙いを定める。
地獄谷と呼ばれるガスが噴出し続けているゾーンを見ていると、何となく日本じゃない別の国に来たような気持ちになってくる。私は油断するとすぐ思い出や妄想の世界に飛べるので、日本じゃないみたいという感想から、ああ私は、昨年ほぼ1年間、日本じゃない国にいたんだったとふと思い、いろんな国で見てきた山の景色が浮かんで、ぼーっとしてしまう。
昨年の前半にインドの山で喘息を患ってから、標高の高い場所や空気の悪い場所などは少し神経質になっていたし不安もあったが、10月に4500mくらいのペルーの山を登ってからは、少し自信がついた気がする。この地より2000メートルも標高が高い場所の山を私は登ったんだったという脚力と心肺機能への少しの自信。だからか、今年の立山は呼吸の苦しさは特に感じない。あの苦しさを知ってしまったら、それまでの苦しさはそれほどでもないと思えた。これは、40代後半からの人生を少し楽に生きる上でヒントかもしれない。ポジティブに考えるタイプではないので、この先もっと楽しいことがあるかも!とあまり思えないのだが、なにか辛いことがあってもこれまでのあれよりはマシかもと思えたり、この後の人生にもっともっと苦しい何かが待っているとしても、いつかそれは終わるし、それを超えた後に生きるのが少し楽になるかもしれないしと、ネガティブなりの前向きな考え方を持てている。
そんなことを考えながら、アップダウンを繰り返す道を休み休み歩いてみくりが池に到着。ソフトクリームを食べようと思っていたのに、突然ここで雨が降り出したので、ソフトクリームはお預けにして、先を急いだ。
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室堂のバスターミナルに到着し、立山ホテルのレストランへ入った。団体客が列をなしていたが、一人旅なのですんなり待たずに入店。何を食べようか迷ったが、富山名物の白エビを使った白エビ天丼を注文した。
白エビは白エビとしておいしいのだが、やっぱり巨大なエビのエビフライの方が好きだと思いつつ、天丼のたれをたっぷり追いがけすることができたので満足。ペロリと完食してしまった。
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立山は3年前と違って、どこも観光客であふれかえっている。
レストランに入れずに並ぶ客、ツアーのバス、雷鳥沢のテントの数、お土産屋さんのレジの列。私の知らない立山の姿。
3~4年前のコロナ禍真っただ中と比較すると、自由に外出できる世の中は願っていた姿だが、何もここまで増えなくても…と思ったりもする身勝手な考え。
室堂でゆっくりし、湧き水を汲んで飲んだり、みくりが池をぶらぶらしたり。天気は小雨が降ったり止んだりで曇っていたが、レインジャケットを着て散歩する人はそれほどいなかったので、のんびり散策ができた。
雷鳥荘に戻って、以前と同じホットココアを注文。
以前と変わらない味だが、以前と違って寒くなくて、今年は蒸し暑さに汗を流しながら飲むホットココア。今年は、例年と比較して暑すぎるという見方はやはり間違っていないなと、ホットココアを飲んだ時に確信した。
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雷鳥荘の温泉で山を見ながらゆっくりお湯に浸かって、体の隅々まで洗って汗も汚れも洗い流し、風呂上がりのビールお代わりと牛丼。
くぅぅ。
このために、山に登ったり山に抱かれてキャンプ生活をしていると言っても過言ではない。最高やで。独り言を言いつつ完食。
身体は清められ、お腹も心も満たされた。
雷鳥沢のマイホームまで長い長い下り坂を下りる。夜はやはり冷えるのでダウン上下を重ね着して、ブランケットを持ってわざわざテントの外に出て椅子に座ってぼーっとする。
厚着して寒い中わざわざ外に出るというところがポイントである。これがしたくてここに来ているのだ。お湯を沸かし続けるターンに入る。魔法瓶にお湯を入れ、ナルゲンボトルとホット用ペットボトルにもお湯を入れ、1つは膝の上に、1つは寝袋の中に放り込む。お湯を沸かしすぎたという言い訳が先か、そのために沸かしたというのが真実かは置いておいて、沸かしたお湯でビーフシチューを作ってしまった。ぺしゃんこにつぶれたホットドッグ用のパンとアマノフーズのビーフシチューで2回目の晩御飯。回数がオーバーしているが、関係ない。私は、そういった一日3食という決め事からも解き放たれた人間なのである。そして、苦手なキノコはきっちり残してしまう自分を許す広大な心を持つ人間でもある。知らんけど。
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ゲバラマグは、黄色い矢印の裏面は、パタゴニア地方のエルチャルテンで買ったフィッツロイのステッカーを貼ってます。
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ちょうどテーブルにいい岩。
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食べてないけど。
最終日の朝。
撤収をするからできるだけ食器を使わず食べられるものを食べるのが常。
カレーヌードルと塩昆布おにぎりにごはんですよを混ぜて食べる。瓶のままのごはんですよは嵩張るから、こういう百均のミニボトルに詰めてくるのをお勧めします。これで、持ち込んだすべての食糧を食べ尽くした。
満足である。
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幻ボトルは立山の緑によく合う。
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この辺の写真はiPhoneです。
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上、左から順にギアを羅列すると、
①バックパックのチャチャ、石ころを踏んで痛くならないようなウレタンマット・トレッキングブーツ
②ジップロックに汗臭い服・白いテント・ミニテーブル
③オレンジの袋に寝袋とダウン上下や靴下、枕、膨らませるマット、
その上にメキシコのランチマット、ポシェット、水筒ホルダー
④買ったばかりの立山ポーチにヘッドライトとランタンなど、黒ポーチに調理器具、水色バッテリー、ケーブル、緑ポーチにタブレットや三脚、
ジップロックタッパーにガスバーナー類、
⑤緑のNASA開発のシート、ブリタボトル・幻ボトル・ナルゲンボトル・黄色矢印マグ、スノピマグ(ボトル類多過ぎ)、日焼け止めや保湿クリーム
⑥トレッキングポールとヘリノックス風椅子とASOKOのレジャーシート
写真以外に、出たごみをまとめたジップロック
かなり荷物を削ったとはいえ、それでもこれだけの量があり、これが全部チャチャに収納できたのだからすごいと思う。
これを背負って、えっさほいさと室堂のバスターミナルに向かった。
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富山まで無事下山したが、今回はギリギリで富山から大阪へ直通のバスが満席で取れなかったため、金沢から大阪へ帰ることにした。昨年の世界多分一周旅の中で、南米のペルーとアルゼンチンで共に過ごした旅仲間の男性が金沢で飲食店を経営しているため、そこで再会するため、おいしい料理をいただくために金沢に電車で向かう。
食べに行く前に腹ごしらえ。
電車に乗るなら駅弁だろうということと、ごちそうが待っているということ。
この2点を勘案して、こうなった。
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金沢に到着し、駅前のアパホテルのスパでのんびり温泉に浸かり、リフレッシュしてから旅仲間の店へ。
2人でゆっくり互いの近況を報告し、ベルギービールを飲みながら旅の話を振り返り、次の旅の構想を話し合った。今回の久しぶりの旅らしい旅のフィナーレにふさわしい時間であった。
この彼についてはいずれ書きたいと思っているが、ペルーのマチュピチュに歩いて向かうロードで出会い、同じ宿だったこともあり、一緒に飲んだり市場でロモサルタードを食べた。そして、彼はそこから南米大陸最南端ウシュアイアまでバスを乗り継いで陸路で旅する予定で、私は最南端まで一気に飛んで、そこから陸路で北上する予定で、ペルーで別れた。それから月末に彼は北から、私は南からアルゼンチンのエルチャルテンという町に偶然同じ日に辿り着いて再会した話についてはまた別の機会に。
さよなら立山、金沢、北陸。また来るね。
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