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スペインへの国境越えはボートで【ポルトガルの道#4】

歩いて旅する、ポルトガルの道4日目。
3日目はすごく楽しかった。
まだ歩き始めて3日目だけど、歩き旅カミーノの醍醐味、よい出会いとよい宴と適度なハプニングに溢れた一日だった。まだソファーで寝ていたデイヴを起こして、後でねと伝え、まだ寝ぼけているクリスティーナとはヘビに襲われずに済んだことを確認しあって、いつものように一人で先に宿を出た。

世界多分一周旅中ではあるが、私のライフワークともいえる歩き続ける旅「カミーノ」を、長旅の途中に組み込んだ。
通称「カミーノ」とは、スペインの北西にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラという町の大聖堂を目指して、そこへと繋がる巡礼路がいくつもあり、道ごとが世界遺産認定されている美しい道。2015年~2017年に「フランス人の道」というフランスから東西に延びる800㎞のメジャーなルートを歩き通し、次に2019年と2023年にフランス国内のルート「ルピュイの道」を少しずつ歩いていた後、私が選んだのは「ポルトガルの道」。
世界一周の旅の途中にポルトガルのポルトに飛び、そこから海岸沿いのルートをずっと北上して、スペインへと国境を越えて、270㎞先のサンティアゴを目指して毎日歩く。その記録。
マガジン「380km歩き旅!ポルトガルの道」にまとめています。

長すぎる前置き

昨日の楽しい時間を一人で思い出しながら歩く。


この先のルートは、分かれ道があるのだが、私はその時の気分で進もうと思っていてノープランであったが、デイヴから両方の道について教えてもらって、興味が湧いたのは、「スピリチュアルの道」のルート。名前が何となくいいし、9割の人がもう一方の本筋のメインルートを選ぶらしいと聞き、人が集まる方は避けたい人間として、1割の人しか歩かないスピリチュアルの道の方を選ぼうかなあと何となく固めつつあった。デイヴもクリスティーナもそちらを選ぶと言っていたし、この先また一緒に過ごせれたらいいなという気持ちも大きかった。
私の世界多分一周旅では、常に出会った人に影響を受けながら進む旅をしているので、そういう出会いがサインだと思っている。それくらい、自分の中では他の人とは違う何かを2人に感じていた。そんなことを考えながら朝の道を進んだ。

GRだと朝の気持ちいい空気まで撮れている気がする。
Bom Caminho ポルトガルで書いてある。よい道を!
スラムダンクを思い出す
今日は食糧難になりつつある。食料が圧倒的に足りないので、どこかで買い物をしたい。
鶏と一緒に朝ごはん。

そうそう、もう一つ、大切にしたい出会いがある。
それは、チーズとろりんである。(チーズとろりんとは初日に出会った

スーパーで買った。水色はライトな味のようなので、青でいく。

途中の町にスーパーがあったので、食料を買い足した。
今日は、4日目にしてビッグイベントがある。
ポルトガルからスペインへ、国境を越えるのである。
陸路で国境を越えることにロマンを感じる人間なので、かなりウキウキしている。楽しみであるが、ポルトガルとはお別れになるので、ポルトガルスイーツとのお別れ会をした。一人でポルトガルスイーツとお別れ会をしていたら、デイヴとクリスティーナが後ろからやってきて、「A guardaで今日は泊まるから、そこで会おう!」と言われ、にこやかに二人は先へと進んで行った。

ポルトガル語ともそろそろお別れ
アズレージョともそろそろお別れ
ナタとのお別れ会。
ただチーズとろりんを美味しく食べるがための普通のパンと、甘いパン。
ありがとうポルトガルスイーツ。
またね。

しばらくして川に出た。
基本的にあまり調べずにただ歩いて旅している人なので、国境をボートで越えるとかを考えずに歩いてきた。
そうか、川が国境になっていれば、ボートで水路で国境を越えちゃうのか。
よく分からない小さなボートに乗って、川の向こう側まで運んでもらった。
スペインに上陸すると、見慣れたいつものあれが置いてあって、スペインに来たなあと実感した。

このボート、後にイミグラントボートと呼ばれる。
あっという間にスペイン入国
サンティアゴまで残り165.54kmと書いてある。

石に黄色い矢印と貝殻を表す巡礼のシンボルマーク。そして、下の方に「galicia」と書いてある。スペインのガリシア州に入ったというのがこれで分かる。以前「フランス人の道」を歩いた時は、700kmくらい歩いてきて、最後に辿り着くのがガリシア州だったので、4日目にしてガリシア州に着いてしまって、少しあっけない気もするが、いいのいいの。前回は1ヶ月以上かけて歩いたが、今回はちょっとの間、歩いてみたくて歩き始めたのだから、気楽に進もう。町の看板もスペイン語に変わって何となく嬉しい。

ガリシアと言えば、苔とシダの緑だよなあと思い出す。
スペインの黄色いポスト!

スペインに入ってずんずん歩いていたら、今日の目的にしていた町「A guarda」に14時に到着した。
その時に「しまった」と後悔したのだが、昨日デイヴとクリスティーナと連絡先を交換するのを忘れてしまったのである。
「A guardaで会おう」って言っても連絡先を知らないし、(おそらくお互いが連絡先を交換したような気になっていた。)宿泊する宿も知らない。着いてみて知ったが、意外と町が大きくて、宿がたくさんある。
私は、料金の安いムニシパル(公営の宿)にチェックインしたが、2人ともいなかったので、別の宿に泊まっているようだ。今日は会えないかもしれない。
今日は広い部屋にイタリアーノの青年と私の2人だけで、イタリアーノは昼寝をしている。まだ14時だしゆっくりするか、と思っていたら、時計を見たら15時過ぎ。ん?何でこうなった?

ここで初めて知ったのだが、ポルトガルとスペインでは時差が1時間あるようだ。ポルトガルで14時は、スペインでは15時。歩いてちょっとボートに乗って隣の国にやってきただけなのに、1時間が失われてしまった。

歩きながら後悔していたのがもう一つ。
昨日、4€(600円)をケチって冷凍食品の肉料理を晩御飯にえらんだが、4€高いものを選んだ人たちは、ギャートルズが食べるみたいなどデカイ肉の塊のステーキを美味い美味いと食べていたこと。
4€に泣いた。今日は何€上乗せしてもいいから、絶対ステーキを食べようと朝から心に決めて歩いていた。
今日は一人でステーキ!
そう決めて、町歩きをしながらいい感じのレストラン探しに繰り出した。

綺麗な色

A guardaの町を歩いてびっくりしたのは、海の色の美しさ。
湾になっていて、海沿いから小高い奥のほうまでびっしり住宅がひしめいていて、遊歩道が続いていて散歩が楽しい。
7時間以上歩いても、お散歩を楽しめるハートの持ち主でよかった。

前にガリシア州を歩いて知ったことがある。
スペインの北西部のガリシア地方は、他のいわゆるラテン系のスペインと、言葉も文化も伝統も異なるということ。ガリシア人はイベリア半島の先住民族であるイベリア人と、アイルランドやスコットランドなどのケルト民族とのミックスだと言われているとか。ヨーロッパのはしっこすぎて、キリスト教の移行が最も遅れたせいで、アニミズム(自然信仰)を基本とする土着の宗教やケルト文化とカトリックが混ざって、独自の伝統文化を持っている。(聞いた話と見た話をかいつまんだ情報なので、あくまで私の理解。)

この日はガリシア州の祝日だったらしく、ケルト民族風の衣装を来て、ケルト音楽のバグパイプを演奏している人をよく見かける。演奏会があると聞いたので、見に行ってみた。まったくもって、いわゆる「スペイン感」がない装いと音楽。地球が繋がっていて、ケルト民族が移動してきたことなどを想像して興味深い。私も少しだが歩いて移動してきている。この文化の入り混じりを実感し、そこで生まれる独自の文化を感じられるのも、歩き旅の面白さかもしれない。
木に、かぎ針編みのモチーフを巻いているのはなぜだろう。何故だか分からないけど、とてもかわいくていいなと思った。
(この理由を聞くのを忘れてしまったから、ご存知の方がいたら教えてください。)

アニミズムに関係ある?
実は、私はかぎ針を持って世界一周している。
出番はまだない。


楽しいお祭りのイベントを終え、肉の塊を食べるために店探しを開始。
ところが、なんとこの日はガリシア州の祝日のため、レストランや小さい売店なども軒並みお休みである。これは困った。さすがスペイン、休むことを大切にしている。それはいいのだが、明日の食糧を買い足すことができないのはかなりの痛手である。まあ、明日は明日の風が吹くか。

だいぶ歩き回って探して、開いていた海岸沿いのオシャレなビーチにあるレストランに入った。
マリンビューのレストランで、気付けばみんなシーフードを食べている。
店員にも魚やエビを勧められたが、それをかたくなに断った。私は肉の塊を食べると決めているのだ。そして、よく焼きの肉の塊を注文。
いい眺めの席に座り、海を見ながら、あごがはずれそうに固いビーフステーキを食らった。今日の選択も間違いなく失敗だ。
今後、海沿いでは絶対シーフードを食べようと心に誓った夜19時半。
まだまだ陽は落ちない5月のスペインであった。

このランチマットのガリシア州の地図がステキだったので折りたたんで持って帰った。
今、PCの上にそのランチマットを広げてみてる。

デイヴとクリスティーナはどうしてるかな。明日は会えるかな。
もう一度会いたい人ができたのは、幸せなことだなと会えないこの時にそう思った。




毎日の必需品↓

(朝ごはんの時に飲むために、朝起きたら熱々のお湯でカモミールティーやはちみつ紅茶をマグに入れて出発。キューバで買ったゲバラステッカーが日に日に薄れてきている。)

本日の宿↓


国境越えました!

ポルトガルの道4日目
CarreçoからA guerdaまで
4万歩、23km、7時間
ポルトから114km進んで、
サンティアゴまで残り166km。

続く

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のりまき
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