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【大学入試小論文】自己責任論について解答例

現代社会において、自己責任という言葉はさまざまな場面で耳にします。災害、貧困、仕事、教育など、私たちが直面する課題に対して「それは自己責任だ」と切り捨てる風潮が広がる一方で、果たしてこの考え方は社会全体の課題解決につながるのでしょうか。大学入試の小論文でも、この「自己責任論」をテーマにした問題は頻出であり、多くの受験生がその背景や是非について深く考えることを求められます。

本記事では、自己責任論に関する小論文を作成する際に押さえておきたいポイントや、実際の解答例を交えながら、その本質を一緒に考えていきます。単なる個人の責任と片付けるのではなく、どのように社会全体の視点を取り入れるかを学びましょう。

【ある人の解答例】現代日本人の自発性の欠如と他責思考の現状について

筆者が指摘するように、現代社会の多くの問題は、私たち自身の責任が関与している側面を無視できないと考える。自らの問題であることを認識せず、それを社会の責任や他者の問題として片付けてしまう傾向が、現代の日本社会に多くの弊害をもたらしているからだ。

例えば、私の住む地域では、毎年夏に開催されていた花火大会が昨年から市の財政難を理由に中止となった。当初、多くの住民はこれを他人事のように受け流し、問題に対して積極的に関与しようとする姿勢を見せなかった。しかし、中止が正式に決定すると、住民の間から突然、抗議の声が上がり、花火大会の継続を求める要望が殺到した。だが、時すでに遅く、十分な準備期間がないまま花火大会を復活させることは不可能であった。

この事例は、住民一人ひとりが早い段階で問題を自分ごととして捉え、解決に向けた行動を取っていれば、結果は異なった可能性を示唆している。例えば、クラウドファンディングを活用した資金調達や、地元企業との協力を模索するなどの手段が考えられる。しかし、問題が顕在化するまでの間、住民たちは現実を直視せず、自発的な取り組みを怠ったのである。

このように、現代の日本人は、自らが直面している問題に対して自発的に行動することを避ける傾向が強い。その結果、問題を放置し、状況が悪化してから慌てるケースが少なくない。他責思考に終始するのではなく、問題を自分の責任として受け止め、主体的に解決に向き合う姿勢が求められている。社会全体の変革には、個々人がまず自らの態度を改め、行動することが不可欠である。

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