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【高校生物基礎】細菌の炭酸同化と窒素同化
生態系の中で細菌は、目に見えないながらも重要な役割を果たしています。その一例が「炭酸同化」と「窒素同化」。炭酸同化では無機物から有機物を作り出し、窒素同化では生物に欠かせない栄養素である窒素化合物を取り込んで利用可能な形に変えています。これらの働きは、生物の栄養循環やエネルギー供給に欠かせません。本記事では、細菌による炭酸同化と窒素同化の仕組みや意義についてわかりやすく解説します。地球規模での生命のつながりを感じてみましょう!
細菌の炭酸同化
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細菌の炭酸同化は、光合成のほか、酸化反応を行って生じた化学エネルギーを用いて二酸化炭素から炭水化物を合成する化学合成がある。
光合成細菌(紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌)
光合成細菌(紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌)について、光合成色素はバクテリオクロロフィル。水素源は硫化水素(HAS)→酸素は発生せず硫黄が蓄積。
6CO2+12H2S+光エネルギー→ C6H1206+12S+6H2O
化学合成細菌
光化学反応系はないので酸素は発生しない。
亜硝酸菌…アンモニア→亜硝酸
硝酸菌…亜硝酸→硝酸
硫黄細菌…硫化水素→硫黄
鉄細菌…硫酸鉄(Ⅱ)→硫酸鉄(Ⅲ)
生じたエネルギーを用いて 水素+二酸化炭素 → 有機物
窒素同化
窒素同化は、有機窒素化合物(タンパク質、ATP、核酸など)の合成。
植物…無機窒素化合物→アミノ酸→高分子の有機窒素化合物
動物…食物中のアミノ酸→高分子の有機窒素化合物
硝化
土壌中の硝化菌(=硝化細菌。亜硝酸菌と硝酸菌)の作用。
アンモニウムイオン(NH4+)→亜硝酸イオン(NO2–)→硝酸イオン(NO3–)
植物の窒素同化
植物は吸収したNO3–をNH4+に還元してから窒素同化に利用する。
NH4+とグルタミン酸からグルタミンをつくり、このアミノ基(-NH2)を利用して各種アミノ酸を合成する。
窒素固定
空気中の窒素N2→NH4+
逆の反応は脱窒脱窒素作用)。根粒菌、アゾトバクター、クロストリジウム、ラン藻のはたらき。
菌類・細菌類
土の中などに生息する微生物が分解者です。具体的には、菌類と細菌類が分解者になります。土の中のダンゴムシやトビムシなどの小動物も分解者に含めることもありますが、これらは、土の中の生物の死がいやふんを細かくするだけで、完全に二酸化炭素と水まで分解することはできません。
菌類…カビやキノコ
細菌類…枯草菌や大腸菌などの菌
植物と動物の窒素同化の問題
次の文中の空欄に、最も適切な語句を記せ。
植物は根から水に溶けた状態で吸収したアンモニウムイオンや( 1 )から有機窒素化合物( 2 )を合成し,さらに高分子の( 3 )や核酸, ATPなどの有機窒素化合物を合成することができる。硝酸イオンは植物体内で( 4 )されて( 5 )イオンになり, グルタミン酸と結合して( 6 )がつくられる。( 7 ) 転移酵素のはたらきにより,グルタミンの持つ( 7 )がさまざまな有機酸に渡されて各種の( 2 )がつくられる。植物に対して動物は,無機窒素化合物から( 2 )などの有機窒素化合物の合成ができないので,他の生物を( 8 )し消化することで( 2 )を得て,そこから体物質となる高分子の窒素化合物を合成する。
植物と動物の窒素同化の問題の解答・解説
答 1硝酸イオン, 2 アミノ酸 3 タンパク質, 4還元, 5 アンモニウム, 6グルタミン, 7アミノ基, 8捕食
植物の窒素同化の大まかな流れは, 硝酸イオンの吸収→アンモニウムイオンに還元→グルタミンの合成アミノ基の転移によって各種のアミノ酸合成→高分子の有機窒素化合物 (タンパク質,核酸, ATPなど) 合成。動物は食物中の有機窒素化合物から必要な高分子有機窒素化合物の合成を行う (二次同化)。