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【海外幼児教育&カナダ公立小学校】問題行動が多い子ども達をサポートする方法
こんにちは!
カナダの小学校でお仕事をしているNorikoです。
今回は幼児教育者の私が職場で実践している「子ども達をサポートする方法」をお話したいと思います。
カナダでも9月から新学期が始まりました。新学期開始の2〜3週間過ぎたあたりから、生徒の個性やキャラクター、色々な表情が浮き彫りになってくると思います。特に自分の感情をコントロール(self-regulation自己制御能力)することが苦手な子は目立ってきますよね。
私のクラスでは、クラスルームのパートナー教育者と協力して初めの1〜2ヶ月は土台作りに全力を注ぎます。この土台作りが10ヶ月を無事に乗り切れるかのカギになってきます。
私もまだまだアプローチ方法を模索中なのですが、今のところ迷ったら基本のきに戻ります。それは「マズローの欲求段階説」を元に、どうやって対処していくかを探る方法です。
ステップ1:生理的欲求が満たされているか?
自己コントロールが苦手な子の特徴として、教育者の説明を聞けない、課題に取り組めない、問題行動を起こすことがあると思います。そういう時に私は先ず「昨日ちゃんと寝れた?」と聞きます。子どもにとって睡眠は本当に大切で、集中力や体力維持に必ず影響が出ます。ずっと机に顔を伏せた状態、集中力が続かない、ずっとイライラしている、テンションが高い興奮状態が続いている、そういう状態がずっと続くようであれば子どもや保護者に睡眠がきちんととれているか聞きます(夜中に目が覚めてないか、夢遊病ではないか、夜更かし、早起きすぎることはないか等)。
そして「もしかしてお腹すいてたり喉が乾いてる?」と周りに聞こえないように聞きます。もし本当にお腹が空いている子には廊下に出てスナックを食べることを勧めています。私の勤務先教育委員会では各学校に健康的なスナックを学校で提供する予算が組まれているので、私の教室にもパンやフルーツを用意しています。もし空腹状態を継続的に訴えるようであれば、保護者に糖尿病の疑いがないかお医者さんに確認してもらいます。
ステップ2:学校/家庭環境で心配事、不安を感じていることがないか?
以前の記事でもたくさんお話しした子どものストレス。ストレスが小さくても、それがずっと頭の中にあると健全な学校生活を送ることが難しくなります。両親がずっと家で喧嘩している、生まれたばかりの弟妹が心配、集団生活が苦手、字を書くのが苦手、ハサミやノリを使うのが苦手、昼休みが苦手、昼食が苦手、新しいことに取り組むのが苦手、人前で話すのが苦手、など子どもにとっては色んな環境に馴染むのが大変に感じることがあります。
私は、特に新学期の1ヶ月は必ず子どもの話をちゃんと聞くようにしています。どんなしょうもない話でも最後まで聞きます。ほんと時間もかかるし仕事も捗らないし、めんどくさいけど、子どもとの信頼関係を築くにはこれしか無いんです。信頼関係ができたら子どもと会話が成り立つので根本的な問題が見つかりやすくなります。
ステップ3:トリガー(問題行動のきっかけ)を見つける
問題行動が続くようであれば、その行動の前後、その日のできごとなどのメモを記録します。そうするとパターンが見えてくることがあります。細かい作業が苦手、座って取り組む課題が苦手、集団行動が苦手、課題を時間内に終わらすことができない、次の行動に移る行為が苦手、昼食の前後、20分休憩の後、など色んなパターンが浮かび上がると思います。
ステップ4:状況を解説し、助けを申し出る
小さい子どもが問題行動を起こすのには原因があります。ですが一旦その原因は置いておいて「今のあなたの状況を一緒に見てみよう」と提案してみてください。小さい子どもは自分の感情や感情の名前を知らないことが多いです。そこで役に立つのが”Zone of Reguration”という、感情を4つの色に分けた表です。青緑黄赤それぞれに感情を表す意味があります。
青(悲しい、疲れた、つまらない、体調が優れない、体が重い)
緑(嬉しい、落ち着いている、いい感じ、集中力がある、学ぶ準備が整っている)
黄(イライラする、心配事がある、おちゃらけモード、興奮状態、感情のコントロールが少し効かなくなっている)
赤(怒っている、意地悪な気分、恐怖心、叫びたい、手足が出そう、感情のコントロールができな状態)
小さい子どもには表情のイラストを各色の表に合わせて視覚的に感情の名前を覚えてもらう。例えば「〇〇ちゃんは怒っている/悲しい/つまらない/んだね。じゃあ今は青/黄/赤色なんだね」というような感じです。2回目からは「〇〇ちゃん、今どこのゾーンにいるか分かる?教えて」と聞いて表の前に来てもらいます。
ステップ5:問題解決策を提案し、一緒に練習する
感情が理解できたら、次は緑のゾーンにするにはどうしたらいいかを一緒に考えてみます。小さな子どもは問題を解決する方法を知りません。気分転換や感情を落ち着かせる練習を実践してもらいます。私の知っているカナダ小学校の教室内には「Quiet/Calming Corner(静かにする/おとなしくする場所)」を作っている先生がたくさんいます。私の教室内にもあります。まずは子どもをその場所に移動させます。場所を変えるというのは簡単で初歩的なアクションです。移動して「今の感情を教えてくれる?」「そっか〇〇ちゃんは__っていう気持ちなんだね」というだけでスッキリして大丈夫になる子たちも多いです。次は子どもが抱えている問題が小さい場合はケルソーズチョイス(9つの選択肢の中から2〜3つのアクションを実行して問題を解決するというもの)を勧めます。以前にも紹介しましたが、これは子どもが自ら選択する&自分で問題を解決できる力をつける練習にとても効果があります。あとはコーピングスキル(ストレスを緩和するアクション)を選び実行することも勧めます。例えば、塗り絵、簡単なパズル、深呼吸、ヨガ、スクイーズトイ、などです。問題やストレスを一旦置いておく、そして身体や脳を落ち着かせることにフォーカスし、後に問題について話し合ったり解決方法を探り出す。
ステップ6:問題解決方法を練習しても効果がない場合
問題行動が多すぎてクラスマネージメントに支障が出だしたら私のクラスでは①Eメールで保護者に連絡②電話で対談③保護者と面談する、という段階で勧めていきます。連絡する内容は主に他の生徒に危害を加えた、問題発言(脅しや他の生徒/教育者に影響のあるネガティブ発言)です。Eメール&電話では主に報告が多いです。そして問題が大きくなって来た場合には面談の提案をします。
大まかな流れはこんな感じです。セルフレギュレーションについては私も学び中なので新しい発見があればまたシェアーしたいと思います。引き続き応援よろしくお願いします。