我が母校オケ部の演奏旅行 Helsinki, Finland
厳密に言うと、ここで演奏はしておらずトランジットで立ち寄っただけ。
フィンランド出身の作曲家、シベリウスを記念した公園に行き、北欧のしんと澄んだ空気を楽しむ。当時のオケ部内に複数名いた、名字がKatoさんたち(かとうず)、シベさんの前で記念撮影をする。
このとき同時に、彼が作曲した交響詩「フィンランディア」を演奏したことを思い出していた。私はティンパニで、なかなか重要な役回りだったため、来る日も来る日もメトロノームを友として一生懸命練習したことも。社会人のアマチュア演奏家とは違い、中学生や高校生は、技術は未熟でも時間が味方してくれるのだ。
「いきなり『フィンランディア』って言われてアツく語られても…何のこっちゃ?」という方々へは、映画『ダイ・ハード2』で使われていると言ったら少しは思い出してもらえるのかな。古すぎか。
監督さん、フィンランド出身の方だったのですね。
この動画の1:00過ぎにちらっと流れるが、おわかりになるだろうか。この曲中盤のカッコいい部分がガッツリ流れるラストシーンは、さすがに転がってなかった泣笑
原曲はこちら。
ここからは、個人的な「フィンランディア」リストが連なります。
時は19世紀末から20世紀初頭にかけて。当時のフィンランド大公国は帝政ロシアの圧政に苦しんでおり、独立運動の気運が高まりを見せていた。そんな中で作曲されたこの曲はもともと、新聞社が主催する、フィンランド創生から現代までを描いた歴史劇の伴奏音楽、8曲あるうちの最終曲だった。
フィンランドの自然と共に。美しい。
フィンランドの方々による演奏。
山田和樹さんの指揮最高。
帝王カラヤンと比べてみて。
からのN響もよき。
BBC響による、100周年記念演奏も捨て難い。
弦&金管の低音が大好物の私は、何度聞いても卒倒しそうになる。
冒頭の重苦しい旋律からは、当時の怒り、絶望、苦悩が想起される。
ややあって、ティンパニ(私が担当した楽器です)に先導され、金管楽器群が闘争の予感を伝える。ジャンジャカ鳴るクラッシュシンバルも緊迫感を煽りまくる。
その後曲調は打って変わり、現在でも第二の国歌として親しまれている「フィンランド賛歌」の透き通るような美しいメロディと合唱(ない場合もある)が流れる。この辺りから滂沱の雨。
そのまま晴れやかな雰囲気へとなだれ込み、勝利の予感に満ち溢れる中、ラストの大団円へと向かう。涙腺崩壊。
シベさんありがとう~~~
帝政ロシアが演奏禁止処分にしてしまうような、愛国心も民族意識も高揚させ過ぎる、ロックでカッコええ胸熱な曲を残してくれて。貴方が生まれた後に生を受けたことに感謝の念しかありません。
そして、
この旅行中ではないもののこの曲を演奏する機会に巡り合えたこと、
彼が生きて暮らした国を、高校生のうちに訪れることができたこと、
日本から遠く離れた地で自分たちの演奏ができ拍手をもらえた僥倖に感謝。
音楽やってて本当によかった。
もうこの、お客さんから喝采をもらうって体験、やみつきになる。高揚感をもたらす音楽と一緒に、史上最高に承認欲求が満たされるからかなと、自覚はしている。
だから私は今も、どんなにヘタクソだとわかっていても、舞台に上がることをやめられない。
そこに、聞いてくださるお客さまがひとりでもいる限り。
COVID-19によるパンデミックが収まったら、音楽を愛するみんなと、また同じ舞台に立ちたい。
※1998年3〜4月のおはなし。