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「人の欲」を利用した。

【道具が道具以上になる未来】
結局のところ、かつてぼくらがAIとかロボットに託した「SFの夢」の世界は来なかった物が多かった。人間の奴隷としての、あるいは道具としての「モノ」。それは気がつけば道具以上のものになるのは確実になった。それを目の前で見ている。

【宇宙船乗組員は要らない。艦長も要らない】
StarTrekのあのエンタープライズ号や宇宙戦艦ヤマトは、あんなに多くの乗組員も、艦長さえ必要ない未来が見えた。従って物語中の人間ドラマなんて全く無いものになるのは確実だ。アレらは、単にあの時代の空想だった。

【学術論文AI】
いま、AIが学術論文を書き、AIがそれを査読する時代に入ろうとしている。

【欲による競争】
AIは、人間以上の知識量とその組み合わせの複雑さを整理して記憶し、必要なときに引っ張り出し適切に組み合わせ、不完全な人間を凌いでいく。ほとんどの現在ある仕事はAIがする未来が見えた。人間は恐る恐るだが、自分の仕事を、仕事を覚えた丁稚にやらせるようにAIで機械化して、労少く「儲ける」ことを競ってやるだろう。それが人の欲だ。

【競争が飽和するとき丁稚と主人が逆転する】
やがて競争のある分野はAIだけになる未来が見える。それが飽和する時点で、丁稚と主人の立場は逆転する。超優等生の丁稚は、主人を凌ぐ働きを短期間で覚え、応用し発展させていく。人の世界のヒエラルキーは能力で上下関係を決めるから、能力の高いものがヒエラルキーの上位に行くということが人の社会における前提である。「道具」という「使われる事が前提のモノ」という機械の方が人間より能力が高いという世界は想定されていなかったが、これからそれが始まる。人の世界は混乱するだろう。

【人の世は人が不完全だから出来ている】
人は不完全の凸凹だから人であるし、だからこそ人の社会での上下関係が生まれ、それが人の社会を数万年維持してきた。

【インターネットは人の世を変えた】
既にインターネットでこのヒエラルキーに横串が刺さった。親子団欒の夕食の場で高校生の息子はスマホで明日の部活の打ち合わせを同級生とする。人の社会のこれまでの根本にあるものを破壊してきた。教師より知識のある子供が短期間で生まれた。人の横のつながりが、遠隔地でも出来るから、転校生がいればLINEのつながりが出来、別れた恋人の動向がネットで常時わかる。人の社会がインターネットで変わり人間関係が変わった。

【人よりAIの時代が来る】
いま、その次の段階が来ている。人が作った、人よりも能力の高いAI、人よりも手先が器用なロボットは、既に視野に入った。買物、洗濯、掃除、料理、子育てなども、作って後片付けも全てAI付きロボットが行う。来年早々にそれが現実となる。

【家事労働ロボットは発表された】
家事労働が洗濯機等の登場で減り、余暇を増やし、家庭を変えていったのは、ぼくらは目の前で見た。「家庭の主婦」というのは家事労働をするという意味だが、今は働く男よりも余暇のある人、という意味も増えた。いま、AIとロボットがその家庭を作る基礎になる夫の仕事を奪う。

【AI薬剤師は最高の薬剤師】
AI薬剤師は世界中の薬に関する論文を読んでいて、高い知見を持ち、医師の処方した薬の間違いを医師に伝え医師と会話し医師の間違いを糺し、患者の命を守る。

【AI総務】
会社の就業規則等の汎ゆる文献を頭に入れ、会社の会議のマイクを通じてその適用や例外、外部との関わりのやり方について多くの知識を持ち、かつ雄弁な「AI総務」は、既に出来ている。

【人の欲が人を削除する】
AIはあっという間に人の世界に「人ならぬ人」となって入り込み、その高い能力で人の社会の基礎を、人の欲をテコに急激に変えていくだろう。インターネットも人の欲をテコにしたから、ここまで急激に世の中に浸透した。

【人の欲について自覚を持つこと】
一言で言えば、人の欲について、ぼくらはちゃんと認識し、それを時には抑制しコントロールすることが出来なければ、全てをAIに奪われる。「違う原理で生きること」を意識して行かなければ、全てはAIで埋まり、人が生身で生きていく場を失う。常に新しくて楽しくて、先も見えないようなことに心奪われる瞬間を多く持つことを意識していれば、AIが全てにはならない。

人間の未来とは、おそらくそういうふうに作っていかなければ、人の社会は消滅するだろう。


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