「8Kで勝利せよ」という日本のモノ作りのミッション
【SONYの一般消費者向けの4K120fpsカメラの登場】
この程、SONYが「4K120fps」のスローモーション動画撮影ができるコンシューマー向けカメラ「FX3」を発表した。実際、プロ用では既に「8K60fps」のカメラは高価ではあるけれども、商品として売られている。一般には、NHKの技術研究所が「SHV(Super HIgh Vision) - 実質的な8K」として、毎年発表していたものなのだが、この数年で8Kが大きな変化を遂げたのは、高画素(8K)・ハイスピードの撮像素子からの画像読み込みの技術が成熟してきた、という証でもある。なにせ、8Kは「2020東京オリンピック」に間に合わせるために、技術立国日本の威信を賭けて開発が進められたものだからだ。既に、一般消費者向けの「8K60fpsカメラ」は、いつでも発売できる状況にあるだろう。当然、これに伴って、既にその伝送路のデジタル化が達成された放送波の、さらなるハイスピード化、インターネット配信なども考慮すれば、当然のことながらインターネット全般のハイスピード化・底上げが必要になってくる。5Gなどの流れも、この流れのうち、という見方もできる。
【「8K以上」の現在の相場は。。】
8Kの規格をあれこれ見るとわかるのはそのどれもが3千万画素超の解像度の画像を動画として記録できる、ということがわかる。NHK技研の主導するSHVは「33,177,600画素」となっており、かなりの高画素化が行われているのがわかる。なお、プロ用の機器では既に1億画素超の静止画、5千万画素超の8K動画ができる機種も既に存在している。もちろん、高価なものではあるうえ、この画素数の映像を扱え、編集も短時間でできる機器やソフトウエアも、専用のものを持たねばならず、こちらも非常に高価だ。おそらくその全てを揃えるのには、安くても250万円、通常は500万円以上は現在の時点で必要になるだろう。プロであれば、一千万円の支出は覚悟する必要がある、というような感じだ。「それでもメリットがある、っていうプロであれば、どうぞ買ってください」という感じだ。趣味でそれが買える身分になりたいものではあるんだけど。しかし、これ、映像関係だけの値段だからね。映像を作るには、映像の「もと」となる「現実」を見に行く必要がある。すごく良い景色のところに行くとか、ドローンの空中撮影なら、この重さの機材を飛ばせるドローンが必要だとか。。。いや、それならヘリコプターをチャーターするほうが安いか、とか、ヘリコプター使うにしても、三脚じゃダメで振動吸収装置必要だとか。。。モデル撮影ならスタジオ借りて、ライトもそれなりのものにして、モデルさんに来てもらうとか。。。きりがない。
【8Kでなにが変わるか】
しかし、やたらと動画の画素数を上げて、どうなるもんでもなかろう、と思う人も多いだろう。しかし、このように動画の画素数が上がり、撮像素子の感度も上がって来ると、「動画の1コマが静止画として使える」のだ。つまり、どこかに撮影のために持っていく機材は8Kの動画撮影機材だけでいい。スポーツの映像なら、動画の一コマを静止画として引っ張り出して、十分にスポーツ雑誌のグラビアに使える品質の画像が手に入る。つまり、8K(以上)の映像機器は撮影時において「動画用」「静止画用」という区別がなくなり、単なる「映像記録機器」の一種類となる。
【「工業デザイン」がまだダサい】
そうは言うものの、大衆向け製品としては「スチルカメラではない」「ビデオカメラでもない」デザインが必要な時代になっていると思うんだよね。静止画カメラと動画カメラの区別がなくなるんだから。だから、工業デザインとして「静止画カメラでもなければ動画カメラでもないデザイン」があると、もっといい。でも、今はまだ使う側の使い慣れ、ってのもあって、8Kの映像機器は「ビデオカメラ型」「スチルカメラ型」「どっちでもないのは、単なる箱型」くらいしか、デザインがない。
【新しい「8Kカメラのデザイン」を】
だから、これに先に手を付けて、できるだけ早く「一般消費者向け8K映像記録機器の工業デザイン」の「答え」を作ったところが、この業界の「勝ち」になるよ、ってことだ。ここにビジネスチャンスがある、と、私は思う。この手の機器では、日本を離れれば有名な「BlackmagicDesign社」でさえ、一般消費者向けやプロ向けの8Kカメラが、スチルカメラ型にしようか、ムービー型にしようか、迷っているこの段階で、やるべきことだよ。「日本のモノ作りの再興」を言うのであれば、この道にカネかけて突進すべき、と思うけどね。8Kの話を聞いた10年前から、自分の言ってることは同じで申し訳ないんだが。。。