2024年版 中小企業白書を読んで「なるほどなぁ」とスッキリしたこと
(今回の内容は約2,000字、所要時間:5分程度です)
5月10日。私たち、中小企業診断士の教科書、中小企業白書の2024年版が発表されました。
いつの時代も、教科書というのは本当に苦痛な読み物ですが、これを読まずして中小企業を語るわけにはいかないのです。
...一応、リンクを貼っておきますね。よ、読むならどうぞ。
ということで、教科書のナナメ読み(言っただけで先生に叱られそうな読み方だな...)をして、想ったことを少しずつ綴っていきます。
1.中小企業・小規模事業者が直面する課題と今後の展望
(1)課題は何といっても「人材不足」
中小企業・小規模事業者が直面する課題は、何といっても「人材不足」。
(2)今後の展望1つ目、「賃上げ」
つまり、直面する課題=人材不足に対する、今後の展望の1つ目は「賃上げ」して人材を確保すること。
大きな視点では、政府・日銀が言う「賃金と物価の好循環」で日本経済を盛り上げることにつながる。
(3)今後の展望2つ目、「生産性向上(に向けた省力化投資)」
2つ目は「生産性向上(に向けた省力化投資)」(本文P184)。
...ということで、直面する課題=人材不足に対する今後の展望は、
①「賃上げ」をして人材を確保すること
②「生産性向上」を図って人材がいなくても何とかすること
もう一つ。「賃上げ」の原資(付加価値)を確保するために、生産性を向上させようって文脈もありますね。
だから...
③生産性向上→賃上げ→生産性向上→賃上げの好循環をつくろう
...と、ここまでは教科書の内容そのままです(笑)
2.「なるほどなぁ」とスッキリしたこと
ここからは、私が「なるほどなぁ」とスッキリしたことを書きますね。
まずはこの図です。
(1)いま、人材不足にどう取り組んでいるか?
何を言いたいかというと、人材不足への対応として企業が実際にやってることは、圧倒的に人に対することなんです(当然か(笑)、日本語変だな)。「省力化投資」ってのは、最後の最後に書いてあって、なんなら外注とか下請けと一緒になってて、全然意識されてないんですね。
それでも白書では、堂々と今後の展望に入れてるわけです。
...なんで?
(2)やってないけど必要なこと=ニーズがあること
白書ではこう分析してるんですね。
やってないこと(省力化投資)は伸びしろがある、と言っているわけです。
こうしたことから、今年度の省力化投資の支援メニューは、すごいことになってるんです。
今やってること=ニーズがあること、ではなくて、やってないけど必要なこと、それこそがニーズで、そこに政策誘導していくんだという、とても分かりやすい事例だなあと想いました。
...ところで、そもそもニーズとは何か?
それってもしかして、ウォンツじゃないのか?
3.ウォンツではなく、ニーズを読み取る
(1)ウォンツとニーズの違い
私たちがしょっちゅう使っている「お客様のニーズ」という言葉は、残念ながら本当のニーズではない場合が多い。
「ドリルを買いに来た人が欲しいのは穴である」というドリル理論とほとんど一緒だ。この場合、ニーズ(本当の課題)は「穴をあけること」、ドリルはウォンツ(そのための手段)。
(2)ニーズを読み取る=本当の課題を探る
ここで今回の中身をおさらいしよう。
この場合の、本当の課題(ニーズ)って何だろう?と想いにふけってみる。直面する課題を一言で人材不足と片付けているけれど、余白を考えてみる。
それは、人材不足(で会社がうまく回らなくなってきたから、どうやったら会社をうまく回せるか?)、そういうことなんだろうと想う。
4.白書は続くよ(どこまでも)
(1)取りあえずの続き
実はこのパートには、人材不足(で会社がうまく回らなくなってきたから、どうやって会社をうまく回せるか?)への対応策として、①賃上げして、②生産性向上を図って、③その好循環を実現して、の続きがあって...
④しっかり価格転嫁して、
⑤働き方改革して、
⑥GXして、
⑦サーキュラーエコノミーを意識して、
⑧DXする、
と続くのです。
(2)さらに続くよ
さらに言うと、これって白書の第1部で、いわゆる前半戦の肩慣らし。
さて。第2部・後半戦を読んでみるかな。そう想ってPCを閉じました。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
後半に続きます。