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月額寄付の法人が128社に

13期目の寄付型の認定NPO法人D×P(ディーピー)の代表を務める今井です。私たちのNPOは10代の孤立を解決するためにオンラインや繁華街でのセーフティネットづくりや機会創出の事業を行っています。具体的にはユキサキチャットという14000人を超える登録があるLINE相談から食糧支援、給付支援を行い、卒業や就職、社会保障制度までつなげることを行っていたり、大阪ミナミで道頓堀から徒歩4分ぐらいの距離の場所に50坪ほどの場所を借りてナイトユースセンターというグリ下の子たちのための支援拠点を作っています。予算規模は2023年度で約2.7億円となり、そのうちの8割は寄付で運営しています。

2023年度の収入内訳

そのうちの、法人寄付は約5400万円、中小企業さんを中心に法人寄付が広がってきています。

様々な法人が寄付参加してくださっています

そして、私たちのNPOでは月額1万円以上寄付して参加してくださっている法人をD×Pでは「マンスリーサポーター企業」と呼んでいますが、128社になりました。

なぜ法人が寄付をするのか

よく寄付してくださっている企業の社長さんに言われるのは「D×Pさんが自分がやりたかった子どもたちの支援をやってくれていたから」と言われます。「元々、私は子ども食堂をしたかったんですが、代わりに全国的に支援しているD×Pさんが既にやっているから、それを応援したいと思っていたんです」と言ってくださる社長さんももいらっしゃいました。

あと、静岡県の掛川にあるエンジニア派遣で著名な企業であるリツアンSTCさんも私たちのNPOに長年寄付してくださっているのですが、代表取締役の野中さんは以下のことを話してくださっていました。

世の中って、役割分担なんだよ。お金を稼ぐことが得意な人もいれば、今井ちゃんのように、政府や行政の手が行き届かない社会課題を解決することが得意な人もいる。僕はお金を稼ぐことは得意かもしれないけれど、社会課題を解決するプロフェッショナルではない。

だったら、寄付という形でお金を投資して、そのお金で、D×Pのような人達に社会課題を解決してもらう。

https://www.dreampossibility.com/times/8755/ の記事より

実際に何に共感していただいているかというと、ユキサキチャットの事業でした。

LINE相談「ユキサキチャット」は冒頭で書いた通り、14000人を超える子どもたちや若年層が登録しています。現在では食糧支援は約24万食、給付支援は8500万円以上給付しており、国や自治体がオンラインでの困窮支援や相談をしていない中で、私たちのNPOの支援は子どもたちのセーフティネットとして活用されています。

歴史的には経営者が寄付して学校法人や社会福祉など、先進的な事例を作ってきた

ここで視点を変えて、経営者の寄付がいかに社会に影響を与えてきたのか考えたいと思います。

例えばですが、岡山県で著名な上場企業クラボウの第二代社長である大原孫三郎さんは日本で初めての孤児院、今でいう児童養護施設を作っています。また、現在でも非常に有名な大原美術館も設立しています。

大原孫三郎さんの医療や福祉、芸術、またインフラへの貢献や同時代の起業家の社会に対する影響などはこちらの著書によくまとめられています。

また、進学校で著名な灘中高も日本酒のメーカーがお金を出し合って造られた学校です。

 灘は、灘の酒蔵がつくった学校だ。「菊正宗」の嘉納家と「白鶴」の嘉納家と「櫻正宗」の山邑家という3つの豪商が出資した。創立者とされるのが「柔道の父」と呼ばれる嘉納治五郎(1860−1938)。菊正宗の嘉納家の分家筋に当たる。かつて幕臣・勝海舟(1823-1899)が海軍操練所をつくるとき、嘉納治五郎の父のところに身を寄せていたというエピソードも残っている。大阪もまた江戸時代には幕府の直轄地であり、周囲には大きな藩がなかった。特に阪神間は商人の街として栄え、民間主導の文化の強い土地柄だった。

上記のURLより引用

あと、リツアンSTCの野中さんは梅屋庄吉に関してもインタビューで触れていました。

小学校の時に親父から聞いた「梅屋庄吉という日本の実業家」の話が今でも印象に残っていてね。彼は、中国で1911年に起こった辛亥革命の時、指導者である孫文の想いに共感して、自分の持つ多額の資金を投じて、人生をかけて支援した。

※辛亥革命:1911年に中国で起こった、清朝を倒し中華民国を樹立した中国の共和主義革命。この年が干支の辛亥の年にあたる。

今の紙幣価値に換算すると、1兆円以上の資金援助だったらしいね。孫文は梅屋庄吉やその他の支援者からの援助を受けて革命を進め、それによって中国の新たな歴史が開かれた。表向きにはあまり語られないけれど、孫文の影にはそうした多くの支援者がいた。

そんな支援者達の生き方に、僕は男の美学を感じるし、自分も少しでもそこに近づきたいなと思ってる。

https://www.dreampossibility.com/times/8755/ の記事より

このように教育や医療、芸術、福祉面、社会運動など経営者(この当時だと法人、個人どちらかの口座から資金が出たのかはここではわからないのですが)がお金を出して先進的な事例を作ってきたことがわかります。

法人の寄付参加は社員や会社にも影響する

「法人の寄付のメリットとは何か?」と言われると、それは法人にもよると思います。野中さんのように自分の意思で寄付している場合もあると思いますし、また結果として「会社の社会的信用度が上がったこと」と話していただいていました。

やっぱり会社の社会的信用度が上がったことだと思う。僕も社員も「自分たちは社会を良くするための意義ある仕事をしている」という誇りを持って働いているけれど、その価値が、世間にうまく伝わっていないと感じることも正直ある。

でも「NPO法人への寄付」という形で社会貢献を行なうことで、リツアンの信用度が上がり、就職を希望する学生さんが増え、さらには関係者や取引先からの信頼度もぐんとあがったと思う。これは非常に有り難いことだよね。

https://www.dreampossibility.com/times/8755/ の記事より

これは広報面で寄付したことを書いていただいたりしているからだと思いますが、別の観点だと法人寄付がきっかけで私や社員が社内で講演し、社員さんの意識が変わったことも聞いたりもしています。

社員さんの声の一例

このように経営者の判断で法人寄付が決まった後、それだけでもいいのかもしれませんが、広報での活用や社員さんへの講演等で社内への影響もあるのだと思います。

寄付は株式会社や国などができていない子どもたちのセーフティネットなど社会の新しい仕組みを作ることができます。「月額寄付で何が変わるのか?」と思うかもしれませんが、例えば個人の月額1000円の寄付者さんの力で年間約1700万円の予算が私たちのNPOにはあります。継続寄付だからこそ、ユキサキチャットのような食糧支援や給付支援が大きな規模でできて、親に頼れない様々な子どもたちの支援ができたりします。

親に頼れない、というのは親から奨学金を取られて使われてしまっていたり、親の介護をしていたり、親に毎月稼いでいるお金を取られてしまっている高校生、大学生、専門学生など様々です。そういう子どもたちや若年層を支援していくことで、進学や卒業ができたり、それで就職できたりします。また、生活保護などの制度につながって安心できる環境に一度なったりできる子もいます。

ぜひ子どもたちのセーフティネットを一緒につくりませんか?

こちらのURLから法人寄付は参加できます。ぜひ一緒になって支援をお願いしたいです。

お読みいただき、ありがとうございました。

認定NPO法人D×P 理事長
今井紀明

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