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高校生に夕ご飯をつくる話

 包丁を持つ。玉ねぎやネギ、豆腐を切る。慣れない台所だが、調味料を把握して調理する。

 自分の手料理。「現代の駆け込み寺」と言われていたリバ邸と連携したり、シェアハウスに高校生たちが住み始めてから、僕は高校生たちに料理を作る。買い物をサッとして家で一緒にご飯をつくっているのである。

「これ、切って」

「ちゃんとご飯食べてる?葉物食べてるか?え、食べてない?」

「弁当ばっかりとかやばいよ」

「ええ、そうなんですか?」

「そもそも食べてないでしょ?1日1食とか2食にしてない?」

 オンライン相談でつながりをつくった高校生たちが地方から出てきて住み始めると、全然自炊経験なかったりしていることも多々ある(中には引きこもっていたことある子もいる)。なので、料理を教えるのである。

「たまねぎ切って」

「え、どうやってきるんですか?」

「こうこう」

と率先してみせる。僕は高校時代料理できなかったから内心

「すごい、がんばってるなー」

と思いながら、

「はい、ちゃんとつくるよー」

と味噌汁、カレー、トマトパスタ、サラダとかいろいろとつくってる。

 栄養学には詳しくないが、基本的に食事が心や健康に直結しているのはひきこもり、不登校、高校中退を経験している10代の高校生たちをサポートしてきて実感値として大きい。

 お金ないから食べていない、親がつくってくれない、ひとりで食べることも多い。出会う高校生たちはそんな状態だったりもすることも多いし、実際に出会った10代の一人は「親がつくってくれないから、他人に味噌汁作ってもらったのはのりさんが初めてかもしれない」と言われたくらいだった。

 実際に最近では子ども食堂やこども宅食など様々なNPOが子どもの貧困の問題のひとつの「食」の問題解決に動こうとしている。

定時制高校を拠点に高校生と食をつなげる

 僕は自分の時間ができたら、シェアハウスなどでご飯は作っている。そして、うちのスタッフたちが関わっている定時制高校では地元の飲食業者さんたちが協力して僕たちが食事を買わせてもらい、食事提供をさせてもらっていたりいる。食は基本だし、スタッフたちもだからこそ居場所事業に力をいれている。そこで一緒に食を通じて日常的な話をしていく。

「この前さ、卒業したら一人暮らししろっていわれたんだけど、いくらぐらいかかるんやろうな」

「最近学校おもろない」

 会話しながら、抱えている課題を自然と聞いていく。

 その場づくりに「つながり」を生む力があるから。それは高校生たちだけでなく、地元とボランティアさんたちとのつながりも含めて。うちのスタッフたちだけではなく、地元の人たちも参加するようになってきた場で貴重だ。そして、ここから企業や仕事とも繋がる場になりつつあり、定時制高校を拠点につながり、仕事、食を含めて総合的にサポートする場を僕が代表を務める認定NPO法人D×Pはスタッフとともに4年かけて作ってきている。

 日々は地道だ。それは他のNPOのサポートしている人たちもそうだ。僕たちは日々、地道に積み重ねていってる。期待はできない、10代の高校生で関わっていたりしていても突然いなくなることもあるから。とはいえ、どこかで帰ってくるかもしれないし、僕たちはいつも待っている。

 それでも、孤立しがちになっている10代とつながりを作る。これを創業以来、僕たちはずっと続けてきた。国が、社会が貧しくなっていく一方、自分たちでセーフティーネットを再構築していくことも考えなければ、と。

 未来をつくるのは声をあげること、そして自ら作ること。モデルを自分たちで作りつつ、行政に提言し自分たちは自分たちで広げられるように寄付も集める。

 常にそれをやり続ける。今日も明日も。仕組みまで作り続けるまで諦めない。こういった地道な仕事が10代のひとりひとりが希望を持って生きれる瞬間が多くなるよな、と。常に希望を持てる人なんていない。幸せと同じように「あ、自分が生きていてよかった」「これからがんばれるかな」みたいな瞬間をたくさん作っていけることが安心や自分の肯定感にもつながるし、僕たちはそれを常に一緒に10代と一緒に作っていくんだとおもう。きっと困難を抱える10代へのサポートは、それの連続なんだろう。

 スタッフのみんなもいつもありがとう。ボランティアのみなさんも、サポーターさんも。そして、まだまだこれからやり続けたい。

#DxP冬季募金 #残り7日

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